ESC(スピードコントローラー)のBECについて

最近、お問合せでESCのBECシステムの電流についてのお問合せがありました。
その内容というのは、バッテリーのセル数が増えるとBECの電流が下がるのは、どうしてですかと言うものでした。

普通に考えると電源となる電圧が増えるとBECの電流も増えそうに思われる方もすくなくないとおもいます。
それは、BECの電圧が5V~6Vになるところにあります。

電気に強いかたならもうお分かりでしょうが、親バッテリーの電圧をBECのチップで下げているところに原因があります。
たとえばリポ2セル場合、7.4V(満充電のときはそれ以上になる)を5Vに下げるとすると2.4V分の電気を捨てていることになります。
3セルの場合11.1vを5Vにすると6.1Vもの電気を捨てることになります。
この捨てた電気がどうなるかと言うと熱(電力)として放出されることになります。
ここで、物理の授業で習ったオームの法則を思い出してください。

えっ!そんなもん忘れてるわいって・・・

電流I(A)=電力P(W)÷電圧E(V)という式に当てはめてみるとそのBECの性能がわかります。

たとえば、当社の扱っているMGM Com Pro社のESCのBECチップは、最大20W(1秒)の性能を持っています。
これをさっきの式に当てはめると次のようになります。
2セルの場合、8.3A=20W÷2.4V(電源7.4-BEC電圧5V)になります。
3セルの場合、3.27A=20W÷6.1V(電源11.1V-BEC電圧5V)になります。
ということで、3セルの方が電流値が低いのがわかります。
MGMの説明書では、最大が4Aになってりますのがこれは4A以上流れないように制御されている為です。
ただし、20Wもの熱量を1秒以上流すとBEC自体が熱で壊れてしまいます。
その熱量は、20Wの白熱電球を数分点けて触ると熱くて触れないほどになるのを思い出してもらうとわかりやすいでしょう。
ですから、通常は5Wが連続使用できる電力としています。

これでさっきと同じように、計算していくと2セルが2.08A・3セルが0.82Aになります。
このように電源の電圧が高くなると逆に出力できる電流が少なくなってしまうので、電動ヘリコプターのように複数のサーボやジャイロを同時に動かす場合や、リンゲージが渋くサーボに多くの負荷がかかった場合、BECで供給できる電流以上の電流が流れ上手く作動しないと言うようなトラブルの原因になります。

ESCに搭載されているBECのチップは、高性能なものほど価格が非常に高くなるため、安価なESCの場合、搭載されているBECチップの性能が低い場合があります。

たとえば、BEC出力3Aとなっていても、チップ性能が3Wのものが多く、それをさっきの計算式に当てはめると3セルで0.49Aしか実際には出てないものがあり、サーボやジャイロなどの消費電力に足らないことが起こってきます。

ですから、もしサーボなどの作動がおかしい場合は先ずBECの出力量とサーボやジャイロを動かしたときの消費電流値をみてもらうと原因を把握しやすいと思います。

ちなみに、コマーシャルになりますが、当社の扱うMGM Com Pro社のESCとOK模型さんのTAHMAZOの「Mxxxx-3x」シリーズは、同じ性能のBECチップを使用していて、内蔵BECの性能が高いESCになっています。

ちょっと長く、ややこしい文書になりましたが、参考になればとおもいます。

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