チェコ製ARTIST 1.56m 箱開け(2)

 

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トップモデル チェコ製のアクロ機、ARTIST 1.56mの箱開け、2回目は主尾翼を中心にご紹介します。

 

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まず、主翼です。
主翼は左右分割式で、胴体を貫通するアルミパイプのカンザシで左右を繋ぎます。
この形式の主翼は分割するとコンパクトに収まりますので、運搬時などは大いに助かりますね。

構造は一般的なバルサリブ組みフレームにフィルム貼り仕上げで非常に軽量に仕上がっています。

ここで目立つのは大きめのエルロンです。

カラーリングですが、写真左の黄色い方が下面、右側の白い方が上面になっています。

ところで、主翼上面の派手なマーキングはどうなってるの?と思われる方もおられるでしょうが、それについては前回少し述べましたとおり、大きなカラーフィルムが入っており、それを貼って仕上げていただくということになります。

 

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翼中央の断面です。ご覧のように最大翼厚部が少し後寄りの完全対称翼型で、翼型はNACA 64A014ということです。
中央リブにはたくさんの穴が開いていますが、前から3つ目の穴がアルミパイプのカンザシが入るところで、中にはグラス製のパイプが入っています。

 

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こちらは水平尾翼。エレベーター面積が練習機や曲技機に比べてかなり大きいですね。

水平尾翼も上面は白、下面は黄色で、主翼同様、マーキングはカラーフィルムを貼って仕上げます。

 

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垂直尾翼です。ラダーが非常に大きいのが目につきます。

 

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キットの付属パーツです。
アルミパイプのカンザシ、メインギア、尾輪、タイヤ、ヒンジやコントロールホーンなどのリンケージパーツ、などなど機体の完成に必要なパーツが揃っています。

ただ、ご覧になってお判りのように、スピンナーや燃料タンク、エンジンマウントが入っていません。
また、イメージ写真にあるような、ホイルパンツも入っていません。
電動でもエンジンでも搭載できる機体ですので、お使いになるパワーソースに合わせて最適なものをご用意ください、という事ですね。

ちなみにスピンナーは51mmABスピンナーが適合しまので、お好みの色を別途購入してください。

 

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ところで、この機体はチェコ製ということで組み立て説明書がどうなっているか気になるところですよね。
残念ながら日本語の説明書は入っていません。でも心配はご無用、写真のように絵文字をメインにした判り易いものです。
これはいろんな民族、いろんな言語が入り混じっているヨーロッパで販売されるキットならではと言うところで、万国共通の絵と数字で表現している訳ですね。
上の例では、ドリルのマークの部分は穴をあける、ナイフの絵は切りとるという事で、チューブのようなものはエポキシ接着剤で接着することを示しています。
また図に書かれている数字は別紙パーツリストの部品番号と合わせてあります。なお、別紙パーツリストは英語でも表記されていますのであまり心配することは無いと思います。

ラジコン機を初めて作るという方は別として、これまで何機かキットやARF機を作られた方なら、チェコ製とはいうものの部品の配置や組み立て方にそう大きな違いは事はありませんので、それほど苦労することなく組み立てることが出来ると思います。

どうですか、一度ヨーロッパの香り漂うARTIST 1.56mに挑戦されては如何でしょうか。

 


チェコ製ARTIST 1.56m 箱開け(1)

キットレビュー、今回はちょっと目先を変えて、トップモデルチェコ製ARFのご紹介です。
機体名は「The ARTIST 1.56m」、40~50クラス、全幅1560mmの3Dエアロバティック機で、フィルム貼りARF完成機です。

 

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エンジンは2サイクル40-49、4サイクルなら52-72クラスになっています。もちろん電動化も考えられていて、胴体の前上面はバッテリーの取り外しが簡単にできるよう大きなハッチになっていたり、モーター取付用パーツが入っていたりします。

キットは日本製、あるいは日本のメーカーが監修した中国製のARF機と比べると、組立時に戸惑う点がありますが、逆にそれがヨーロッパ的とも思える機体です。そのあたりはレビューを進めながら説明をさせていただきます。

 

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まず全体のパーツです。
ご覧になっておわかりのように、主翼や尾翼には色の塗り分けがされていません。ここは付属のステッカーを張るようになっているんです。もちろん一番上の写真のように仕上がる形にはカットされていますが、機体のマーキングというか色の貼り分けはされているのが当たり前、と思っていると少しびっくりさせられますね。このあたり、人件費の高いユーロッパならではの事情があるのかもしれません。

それでは今週は胴体まわりから。

 

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バルサ、ベニヤ、堅木で作られた一般的な胴体で、もちろんフィルム貼り完成です。このあたりはよく見るARF機と大してかわりません。
断面は縦長で、エンジンを倒立に搭載することも出来るように考えられています。もちろん斜めサイドマウントも可能ですから、エンジンの搭載方向はモデラーの選択に任せるという事です。

 

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カウルはグラスファイバー(FRP)製で、白色ゲルコート仕上げがされています。
まったく穴が開いていませんので、エンジン(モーター)シャフトの穴から開けてゆかねばなりません。
そのかわり、というか見方を変えれば、動力に応じて必要最小限の穴をモデラーの判断で自由に決める事が出来るので、余分な(大きな)穴があいているのが気になる、などという事はありません。

 

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こちらはキャノピーです。とにかく透明度が最高!写真を撮るのに苦労しましたね。

 

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前部胴体の上側はハッチになっていて大きく開きます。サーボなどのメカ積み込みや電動の動力用バッテリーの積み込みはここから楽々と行う事が出来ます。胴体下面に開口部はありませんので、胴体の剛性は充分です。

 

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ハッチを裏返して見たところ。上面のプランクには発泡プラスチックが使われています。

 

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この印刷物はキャノピーの内側に貼り付けるイラストですね。左(前)から、計器盤、床、シートになっています。

 

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計器盤はなかなかの出来ですね。

 

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第一胴枠(防火壁)です。ご覧のように全く穴が開いていません。エンジンマウントは別売ですから取付穴は同じではありませんし、電動モーター仕様にしたときには燃料タンクキャップの穴は不要ですしね。そのかわりエンジンマウント取付穴やモーターマウント取付穴を、自分が使うパーツに応じた位置に開ける事になるのですが、それに必要な各部の位置関係をあらわした基本の寸法図は組立説明書の中にちゃんと記載されていますので心配はいりません。このあたり、模型の「創る」という部分も楽しみの一部と考えれば作り甲斐もあるのではないでしょうか。

 

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胴体の中はこんな感じです。特に変わったところはありませんが、アルミパイプ製主翼カンザシの通るグラスのパイプが目を引きますね。
このパイプも胴体のネジレ剛性を高めるのに大きな役割を果たしています。

 

さて、日本製の至れり尽くせりのARF機に慣れた私にとっては、「ここから先はモデラーの仕事。余分な事はしていませんので、あなたの選んだパーツに合わせて自由に気のすむようにやってください!」とでも言っているようなチェコ製の機体は新鮮に映りました。
ARFでありながら工作の技術や知識が必要とされるヨーロッパ製の機体。次回は主翼と尾翼を中心に見てゆきます。

 

 

 


TOPMODELマルチコプター レビュー その(4)

トップモデルマルチコプターレビューシリーズ、始める前はサラッとキットのご紹介で終わるつもりでしたが、セットの内容をご紹介がてら組立を始めたところあまりに簡単に組み上がってしまったので、とうとうフライトまでご紹介することになってしまいました。

前回は狭い場所で軽くホバリングをして消費電流やフライトコントローラーの動作確認などを行いましたので、いつも飛行機を飛ばしているフィールドに出かけてフライトさせることにしました。
基本的なセッティングは出来ていますので特に問題なくフライト出来ました・・・・・・

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と、言いたいところですが、そうはいきませんでした。
当日は背景の竹のなびき具合でお判りになるようにかなりの風が吹く、初飛行にはツライ天候になってしまいました。

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同時に飛行させたGPSと高度センサーのついた機体は自分で位置を修正してくれるので比較的落ち着いて飛んでいましたがこちらはそうはいきません。風に流されない様に風上方向に傾けてないと定位置に静止しません。それでも比較的落ち着いた舵の効き具合でしたので何とか姿勢をコントロールし、ラダー、エルロン、エレベーター、それにスロットルの感覚を確認し、短時間ですが無事初飛行は終了しました。

  

 

その後数フライトをこなし、最後にヘリは飛ばした経験があるがマルチコプターは初めて、という方に飛ばしていただきました。最初はスロットルの扱いに少し戸惑われていたようですがすぐに慣れて、強風の中、飛行というかマルチコプター独特の感覚を楽しんでいただきました。

この機体は、何度も繰り返すようですが、手軽にマルチコプターにチャレンジしていただくことを第一にしていますので、複雑なシステムやセンサーは付いていません。ですから機体の製作やセッティングは超簡単ですが、そのかわりパイロットにある程度の飛行技術が要求されます。ですから不慣れな方の初飛行は出来るだけ無風の日を選ぶとか、先輩に助手をしていただく必要があるかと思います。

順序が逆さまになりましたが最後に、飛行前に行うキャリブレーション(誤差の補正)の方法とモーターの運転、停止の様子をご紹介しておきます。

まず、キャリブレーションには2つあります。1つは使用するプロポのニュートラル位置(スロットルは最スロー)を正確に認識させるための「送信機のキャリブレーション」で、その様子を動画でご紹介します。

 

 

もう一つは機体に正しい水平位置を認識させる「センサーキャリブレーション」です。

 

 

次は、飛行させるためにモーターの運転を開始する「アンロック」操作の方法です。

  

 

以上、トップモデルのクワッドコプターF450のご紹介をしてきました。
当社では補修パーツも充分取り揃えてマルチコプター入門者の皆様のお手伝いをさせていただいています。
また、F450はベーシックな「素材」という一面をもっていますので、今後改造をしたりグレードアップを図ったりする様子を後日ご紹介させていただく予定ですので、ご期待ください。

長らくお付き合いいただいたマルチコプターシリーズは一旦おしまいにし、次回はモーターグライダー「バニラ」のキット紹介をさせていただきます。


TOPMODELマルチコプター レビュー その(3)

新しくTOPMODELオリジナル商品の仲間入りをしたマルチコプターF450、セットの概要と特徴などを前2回でレポートしましたので、今回はモーターやプロペラ、スピードコントローラーなどを総合したパワーユニットについて、少し突っ込んでご紹介することにしますね。

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上はアームに取り付けたパワーユニットの様子です。
左奥が付属のアンプ、手前はモーターで、これに10×4.5のカーボンプロペラが付きます。モーターのスペックは外径28mm、ステーターは直径22mmで長さ12mm、KV値は1200です。このモーターとプロペラの組み合わせでどれくらいのパワーが出るのか皆さんにも興味のあるところでしょう。

 

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実際にフライトさせるテスト機のバッテリーやコントローラー、受信機などはこんな配置にしてみました。
ここで、黄色の矢印の先に注目です。これはJRプロポから発売されている電流計測のテレメトリーセンサーです。今回はこれを使って飛行中の動力系統の電流を計測してみる事にしました。電流値が判ればアンプやバッテリー、モーターなどへの負荷の度合いが判りますし、飛行時間を推定する元データも得ることが出来ます。

 

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当店テスト機を屋外に持ち出しました。セット付属のコントローラーは、送信機でモーターのロック解除操作をするとアイドリング状態でモーターが回転するようになっています。

 

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この時の電流は1.40Aという事が送信機のディスプレイに表示されました。
もちろん運転状況に応じてこの数値は刻々と変化するのですが、このシステムによってリアルタイムに上空の機体の状態を把握することが出来るできる訳です。
いやー、今更ですが便利な時代になったものですね。
ところでアイドリング時の1.40Aという表示ですが、コントローラーや受信機に流れる電流も含めてシステム全体に流れる電流値です。モーターを回す前は0.5Aと出ていましたので、アイドリング回転時にモーター4基に流れる電流は合計0.9A、1個当たりは約02Aになります。当たり前ですが全く問題ない数値です。

 

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 さて、スロットルを上げて目の前で停止(ホバリング)させてみました。少し苦労しましたが何とか機体をじっと停止、ホバリング時の電流値は?という事でディスプレイを見ますと13.10Aと表示されていました。モーター1個当たり3.25Aです。1150gの機体が空中で停止しているわけですから、重量に見あう推力が出ていることは間違いありません。それでは、フルパワーにしたときにはどれだけの推力が出るのかって?それはこのシステムでは判りません。
で、次の装置の出番になるわけです。

 

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これは当店でも取り扱っているTahmazoのスラストメーター、つまり推力計です。
これにF450のモーター、プロペラ、バッテリー、アンプを装着して運転すると、前に進む力、すなわち推力が測定できます。これに電流計とTahmazoレーザータコメーター(回転計)を別に準備してテストをしてみました。

まず、屋外で測定したホバリングの状態、モーター1基あたりの電流3.25Aの時の推力と回転数をチェックします。3.25Aに電流を合わせて運転するのはなかなか至難の業で、結局測定できた値は電流3.0Aで推力275gと出ました。モーター4基換算で12A、推力1100gになる勘定です。何と、ほぼ屋外での実飛行とぴったりの数値が出ました!ちなみにその時のプロペラ回転数は4600回転/分でした。

次に、このユニットをフルパワーで回せばいったいどうなるのか、ということでスロットルをフルハイにしてみました。
室内で回すと結構な風量と音にちょっと腰が引けます。結果は13.3Aで推力780g、4基合わせると53.2A、推力3120gになります。理論上は自分の重量を差し引いた2kgのものを持ちあげることが出来るという値です。当ショップで販売しているカメラジンバルは210g、これにカメラ約80gを搭載しても全く問題ないことは実証されたかたちです。この時の回転数は7720回転/分でした。

今日はずいぶん長くなって申し訳ありませんでした。
次回はコントローラーの調整方法やフライトの様子をお伝えする予定です(空模様と風次第ですが・・・・)。
ぜひお付き合いください。

 

 


TOPMODELマルチコプター レビュー その(2)

新しくTOPMODELオリジナル商品の仲間入りをしたマルチコプターF450、前回はセットの内容をざっとご紹介させていただきました。

今回はこのモデルの一番の特徴であるフレームをご紹介させていただきます。

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これはフレームにモータースピードコントローラーを取り付けたところですが、ご覧のようにフレームは4本のアームの端を上下2枚の基板の間に挟み込み、ビスで固定する構造になっています。アーム1本を6本のビスで基盤に取り付けていますのでアーム4本で合計24本ですね。ネジ24本を締めるだけでフレームは出来上がり。次にモーターを4本のネジで止めます。こちらはアーム4本分で16本です。
しめて40本のネジを締め付けるだけ、それこそあっという間にほぼ形になってしまいます。

 

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フレームが簡単に組み上がるのと併せて、動力用配線にプリント基板方式を採用しているのも大きな特徴です。これは下部基盤です。この中に配線が仕込まれています。

 

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配線は超簡単。写真のように指定のポイントにバッテリーやスピードコントローラーのリード線をハンダ付けするだけです。コントローラー1個につきプラスとマイナスが1本ずつですから、合計8カ所、バッテリー用の配線が2カ所、全部でハンダ付け10カ所で電気関係の工作は終了です。基盤にはプラス、マイナスの表示がしてありますのでプラスに赤線、マイナスに黒線をハンダ付けすることで間違いなく配線できます。本当にシンプルで、配線作業は楽々です。なお、実際の作業ではフレームを組む前にハンダ付け作業を済ませておきます。

 

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出来上がりはこんな具合です。
嘘のようにすっきりしていますね!中央の2本はバッテリーにつながる線です。普通なら結構太い配線がフレームの中を這いまわって見苦しいばかりか、接続箇所も多くなり、トラブルの火種を抱えることになりかねませんが、F450のプリント基板方式ではそんな事もなく、また点検作業も容易です。

どうですか、トップモデルオリジナルF450が短時間で簡単に組み上がる理由がお判りになったでしょうか。
六角レンチや半田ごてなどの工具の用意さえ出来ていれば、そしてあなたが電動ラジコン組み立ての経験があれば、2時間もかからずに組み上がるということに納得されたと思います。

あっ、工具ということでお伝えしておかないことがあります。
それは、このキットには六角レンチなどの工具類は一切入っていないという事なんです。"(-""-)"申し訳ありません。

ということで(どういう事でや!!と突っ込まないでくださいね)、F450の発売と同時に「TOPMODEL 工具セット」を発売致しました。マルチコプターだけでなく模型製作の色々なシーンに使える、便利ツールセットです。ぜひ一度ご覧ください。
Toolbox

 さて、次回はF450のモーターやプロペラなど、動力関係のレポートです。気になるパワーユニットの消費電流やプロペラの回転数、そして推力などのデータも調べてみたいと思いますのでご期待下さい。