今回はOK模型から発売されている「タービュラーテープ」を取り上げます。
一体これは何に使うの、どのように使うの、と思っておられる方も少なくないと思います。
そもそもタービュラーって言葉自体あまり聞きなれない言葉ですからね。
ご覧の様にテープの両サイドがギザギザになっています。
どうやらこのギザギザが名前に関係しているらしいですね。
OK模型の製品説明によりますと「大きく乱流が起きて空気の剥離を起こす前に、このテープで小さな渦巻き状の乱流を作り、空気の剥離を最小限に抑えるものです。(中略)舵の効きの改善や、空気抵抗の軽減に威力を発揮します。」とあります。
要するに「タービュラーテープ」は空気の流れをわざと乱れさせるんだけど、いろいろな効果があるテープですよ、って事の様です。
念のため申し添えますが、実際のテープは厚さ0.5mmの透明プラスチックです。長さは5mで、写真で白く見えているのは裏紙です。
実際の使用例がこちらです。
垂直安定板の後縁近く、ラダーの前にタービュラーテープを貼ってありますね。
ここで空気の流れを乱すのにはどういう意味があるのでしょうか。少し難しいですが、説明にお付き合いください。
まず、飛行機が前に進むと空気は翼の表面のカーブに沿って後方に流れてゆきます。
写真の例は垂直安定板ですが、このようにラダーが中立ですと空気はスムースにラダーの後端まで流れてゆきます。
例えば、ここで大きく舵を左に切るとラダーの右側面の空気がラダーに沿って曲がり切れずに?ヒンジラインの後方でラダーの表面から剥がれてしまい、その結果大きな空気の渦がラダーの右側に出来て舵が効かなくなってしまう事になります。
これが主翼になりますと、飛行機が上を向いて迎え角が大きくなりすぎると、主翼の上面から空気が剥離、翼の揚力が無くなって「失速」という事になります。
そこにこのタービュラーテープが貼ってあるとどうなるのでしょうか。
実際の大きさは、ギザギザの頂点から頂点の間隔が約6mmの小さなものですが、これを翼に貼る事で、常に小さく空気が乱され、空気が突然大きく剥がれるのを防いだり遅らせる事が出来るという事だそうです。
このテープのギザギザ部分をアップにして見ました。
画面の上、進行方向から来た空気はギザギザに当たって流れが乱れます。
このテープの場合はただ乱れるのではなく30度の角度がついているので、空気は小さな渦巻き状に後方に流れる様になっているんです。
渦巻き状になった空気は「ボルテックス」(渦流)と言われ、このタービュラーテープのように小さな渦流を作るものは「ボルテックス・ジェネレーター」という名称で、多くの実機や、最近では自動車にも採用されています。
そして、先に言いましたように主翼の迎角が増えたり、舵を大きく切った時、通常なら空気が翼や舵面から大きく剥がれてしまう場面にこの小さな渦流があることで渦の発生を遅らせたり、小さくすることが出来るんです。
結果、主翼の失速を遅らせたり、緩やかに失速するようになったり、舵の効きがよくなるなどの効果が出ます。
実際に貼る場合は、上写真の30°がキモですから、テープは気流の流れに対して直角に貼る事が肝心です。
そのうえで、主翼の場合は前縁近く、エルロンの場合はヒンジラインの前、垂直尾翼はラダーの前(左右)、フラップはヒンジラインの前(上面)など、迎角が増えたり大きく舵を切った時に「ここから空気が剥がれる」というポイントに、流れる気流に対して直角に貼るのが効果的です。
すこし話が難しくなりましたが、タービュラーテープには裏面に粘着糊がついていますので貼るのは簡単です。
一度お試しになってはいかがですか。