シラントロ2m キット紹介(3) 接着剤について

シラントロ2mの紹介記事やOK模型のホームページには「製作には技術や経験を必要とする部分が多くあります」とか「組み立てにはピメンタ2m以上の技術が必要となりますが、それに見合う高性能が実感できると思います」
などと書かれています。
もちろんバルサキットですから、組み立てにはある程度の技術と経験が必要なのは当然ですし、それを承知でお買い上げのお客様はあまり組立説明書に縛られず随所に自分のノウハウや技術を盛り込んで、ある意味「アドリブ」を交えて組み立てられるかたも多いでしょうが、今回はざっと説明書に目を通して気になった「エポキシ接着剤と充填剤マイクロバルーン」について、OK模型さんに聞いた話も交えて取り上げてみたいと思います。
(以下の文中の図は株式会社OK模型の許可を得て掲載しています)


まず上をご覧ください。
OK模型ホームページのシラントロ製品紹介ページで「主な別途準備品」として書かれているところの一部です。

今回、店主が気になったのは15分エポキシ」「15分」というところと「スーパーマイクロバルーン」と「ウルトラマイクロバルーン」の両方の名が挙がっているところです。

15分エポキシにこだわる訳
まず、エポキシ接着剤ですが、わざわざ「15分」としているのは何故?とOK模型に問い合わせたところ、硬化後の「硬さ」が必要だからという答えが返ってきました。
一般的にエポキシは硬化時間が短くなるほど硬化後はカチカチに硬くなります。その「硬さ」が必要なので敢えて「15分」としたのだそうです。
じゃ、もっと硬化時間の短い「5分エポキシ」ではダメ?という事になりますが、「5分」では作業時間が短すぎるので15分という事だそうです。

2種のマイクロバルーンを使い分ける訳
次に、これに関連してエポキシに混ぜる(添加する)「スーパーマイクロバルーン」「ウルトラマイクロバルーン」を使うように書かれています。
それでは、このスーパーとウルトラはどのように性格が違い、どのように使い分けるのでしょうか。
それについては、当ショップブログの過去記事「スーパー?ウルトラ?その2」で解説していますので、もう一つ違いが判らないと言われる方は一度そちらもご覧ください。
その記事の中身を要約しますと、材質はスーパーは中空ガラスの細かな微粒子、ウルトラは更に細かなウレタンの超微粒子で、どちらもエポキシ接着剤に混ぜて体積を増やして軽量化したり硬化後の成形をしやすくするために使うのが一般的な用途です。
そして、スーパーは固く仕上がり、ウルトラは硬化後も柔軟性があるというお話しになっています。

さて、実際の組立説明書には下図のオレンジ色で囲った個所のように書かれた個所があります。

主翼カンザシ受け(アルミパイプ)を接着する部分の組立説明には「周りの隙間はスーパーマイクロバルーンを1:1で混ぜたエポキシ接着剤で充填します」とあります。
これはエポキシをカチッと固く硬化させるとともに、隙間を埋める為に使うエポキシの重量軽減を図りたいという二つの意味があるのでしょう。

また、こちらの主翼の組み立てでは「後縁はエポキシ接着剤を使えば固く仕上がります」とあります。
通常、バルサの後縁プランク材同士を接着するのにエポキシは使いませんが、ここでは後縁を極限まで薄く仕上げた時に被覆フィルムに負けないようにするためと複雑な形状の後縁をカッチリ正確に仕上げるためにエポキシを使うという事ですね。更に、ここではエポキシにスーパーマイクロバルーンを「ごく少量混ぜたものを使って硬さを増すと良いそうです。
後縁の薄さがシラントロの空力性能を決める一つのキモですから、ネットに上がっているマニアのシラントロ製作情報には、エポキシだけでなく、上下の後縁プランク材の間にグラスクロスを挟むなど、皆さん自分の持っている知識と経験のつぎ込みどころとばかり工夫を凝らしておられるようですね。

一方、モーターマウントの接着の工程には「モーターマウントの前後からウルトラマイクロバルーンを混ぜたエポキシ接着剤を流しこみしっかりと固定します」とあります。
こちらは硬化後も柔軟性を保つウルトラマイクロバルーンの特性を利用したもので、振動等でマウントがFRP胴体から外れてしまうリスクをウルトラマイクロバルーンの柔軟性で軽減するという目的だそうです。

このほか、シラントロの組立説明書には瞬間接着剤を使うところなども指定されていますし、ベテランのモデラーさんはそれ以外にも木工用ボンドやセメダインC、その他色々な種類の接着剤を組み合わせ、丈夫で軽い機体を効率よく組み立てる工夫をされているようです。

このように、シラントロ2mは上級者用キットという事で、組み立ては少し手ごわいですが、色々なところに工夫を凝らす余地があり、その工夫が完成後の飛行性能にどのような違いをもたらすか、ベテランモデラーには腕の振るいがいがある楽しいキットとも言えるようです。

さて、ここでお知らせです。
当店ではただいま「特定商品お買い上げで送料無料キャンペーン」を行っています。
今回の特定商品はAフィルム、Eライトフィルムで、これらのフィルムはもちろん、同時に合わせてお買いげになったご注文品の送料も無料になります。
本日ご紹介させて頂いたシラントロ2mなどのキットとフィルムを合わせてお買い上げいただく絶好のチャンスです。
ぜひ「特定商品お買い上げで送料無料キャンペーン」をご活用ください。


4分耐熱エポキシ接着剤

先週のシリカフィラーに続いて接着剤・ケミカル製品にトップモデルオリジナルの新製品が続きます。

こちらは、国内ではあまり見ることが出来ない4分耐熱エポキシ接着剤です。

このトップモデルオリジナル4分耐熱エポキシ接着剤、ぜひお伝えしたい大きな特徴があります。
それは、優れた耐熱性4分硬化(作業時間は3分)という作業性の速さ、の2点です。
特に耐熱温度は摂氏343度になります。ガソリン機の排気管にニップルを取り付ける際などに使えますね。

この製品、特に金属製品に適しているという事ですので、金属部分の接着、穴埋め、ひび割れの補修に最適です。もちろんエポキシ接着剤ですから、木材、プラスチックも当然強力に接着する事が出来ます。

容量は主剤、硬化剤それぞれ25gずつとなっており、使い方は普通の2液混合型エポキシと同様で、主剤と硬化剤を同量づつ押し出してよく混ぜて使います。
当たり前のことですが、混合量は正確に1:1にしないと硬化後の強度が十分に発揮できないなどの不具合が出ますので注意が必要です。

ご紹介しましたトップモデルオリジナル4分耐熱エポキシ接着剤、機体製作時はもちろん、飛行場など現場での緊急作業用にもぜひ一つお備えください。

さて、ここでお知らせです。
ただいま当店では、11月7日(火曜)までの期間限定で、「機体購入で送料無料」キャンペーンを実施中です。
特に大型送料が適用されるARF機などは、送料込の価格で比較すると通常時より随分お買い得になります。
キャンペーン会場には100機種以上の機体をラインアップしていますので、一度ご訪問ください。
そして新しい機体をご検討中の皆さん、ぜひこの機会に導入をご検討ください。


新素材 シリカ フィラー

今回は、久しぶりにトップモデルオリジナル商品をご紹介します。

その前に大切なお知らせがあります。
当ブログでもお知らせをしていましたOK模型主催のTahmazoフェスティバルin京都ですが、開催予定日10月29日(日)の天候不順が予想されるため中止と決定したとの事です。
デモフライトの見学等を予定しておられた皆様方には大変申し訳ございませんが、どうか宜しく、と主催者OK模型から通知がございました。
詳細については、こちらをご覧ください

さて、本日のお題はトップモデルオリジナル シリカ・フィラーです。
シリカ=珪酸で自然界に普通に存在するものだそうで、ネットで調べると水晶も仲間だそうです。
この天然素材シリカを細かい微粒子にしたものが、今回ご紹介する「シリカフィラー」です。直訳すればシリカを使った充填剤というところですね。

現物はと言いますと、マイクロバルーンのように白くて非常に細かい粉末で、ボトルを傾けるとノズルからサラサラと流れ出てきます。
使い方はマイクロバルーン同様、エポキシ樹脂に混ぜて使用したり、コーナーに盛っておいて瞬間接着剤を流して補強するなどですね。

ラベルには特徴などが色々と書かれています。
特にこのシリカを使うと接着部分の強度が増すと書かれていますね。

マイクロバルーンとはまた違った特徴のある天然素材由来のトップモデルオリジナル シリカ・フィラー、30g入りで税込540円です。
新しい使い方、使い道が見つかるかもしれない面白い素材です。接着剤のおともにひとつ如何でしょうか。

 


ヒンジテープの使い方(2)

前回のおさらいですが、固定翼と動翼の継ぎ目を「ヒンジライン」と言います。

写真はラベンダーの尾翼部分で、黄色の点線で強調したラインがヒンジラインになります。
ラダーやエレベーターはこのラインを支点にして動くわけでが、今回はどのようにして「PILOTヒンジテープ」でこの部分を作るのかを説明させていただきます。

HingeLine2

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上図はエルロンを装備した主翼(右翼)で、動翼はエルロン、ヒンジラインはテープAとして赤で示した部分になります。
ここにヒンジテープを使ってヒンジを作るわけです。

まず、固定翼(主翼本体)に動翼(エルロン)をマスキングテープなどを使って仮止めします。
仮止めと言っても適当に止めるのでなく、きちっと正規のニュートラル位置に止めるのは言うまでもありません。
この時、ヒンジライン沿いのエルロンと固定翼の間には、上の断面図のように少し隙間を開けておきます。
ここが重要なポイントです。
「少し隙間を」ってどれくらい?とお思いでしょうが、中小型グライダーなら0.7mmから1mm以下というところですね。

動翼を仮に固定したなら、、動翼と固定翼の継ぎ目、平面図の赤線部分(上面ヒンジライン)の端から端までテープAを貼ります。
テープAはきっちり端まで貼らないとフラッターの原因になりますので気をつけて下さい。

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次に翼下面にテープB(青色で表示)を貼ります。テープBはヒンジライン全体に貼るのではなく、長さ20~30mmに切ったものを使います。
貼る枚数は動翼の巾(ヒンジラインの長さ)によって決めてください。

テープBの貼り方ですが、まず動翼を断面図のように固定翼の上に折り返します。
折り返した時、図のように浮かせるのではなく、ペタンと固定翼の上に重ねてください。

次に 折り返した面の上から(図では右側から)長さ20~30mmに切ったテープBを貼ります。
テープBは最初に動翼の両端2カ所を貼り、その後で間に数カ所貼ります。
動翼と固定翼のヒンジライン部分には隙間を開けていますので、この隙間部分でテープAとBがくっつき、ヒンジになる訳です。

テープBを貼る間隔、枚数は動翼の大きさにより変わりますが、ピンヒンジイージーヒンジなどの通常タイプのヒンジを取り付ける個数と同じぐらいで良いと思いますので、7~10cm間隔というところでしょうかね。

4hinge3-800
テープBを貼り終ったらこんな感じになります。
これで作業は終わりです。

 

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最後に動翼をくるりと元に戻せば完成です。

文章で表すと結構難しそうですが、案外うまく行くものです。
中小型グライダーの製作に欠かす事の出来ないこのテクニック、ぜひ身につけて下さい。


ヒンジテープの使い方(1)

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いきなりタイトルと関係がないようなOK模型の小型グライダーバルサキット「ラベンダー」が登場しましたが、今回のタイトルにおおいに関係があるんです。

 

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そのラベンダーの尾翼周り、水平尾翼と垂直尾翼です。
垂直尾翼にラダーが、水平尾翼にエレベーターがついているのはごく普通のレイアウトですが、この方向から見ると固定翼と動翼の間に隙間が無いのがお判りになりますか。
ラダーと垂直尾翼の間は少し判りづらいですが、水平尾翼とエレベーターとの境界(ヒンジライン)はのっぺりと平らになっているのが判りますね。
それでは、一体どうしてこんな風になるんでしょうか?

 

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方向を変えて垂直尾翼とラダー部分の境界を斜め上から見たところです。
黄色い丸で囲んだ部分を良く見てください。写真の上側(機体の右舷側)には隙間が無く、手前側(機体の左舷側)には隙間が空いているのがお判りになるかと思います。

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上写真の黄色い丸で囲った部分を真上から見た断面図はこのようになります。
垂直尾翼とラダーを繋ぐヒンジに「テープ」を使用しています。
この、ヒンジにテープを使っているのが、ヒンジラインの片面がのっぺりと平らになっている理由なんです。

前置きがずいぶん長くなりましたが、ここでやっと題名のヒンジとテープという言葉が出てきましたね。

上の写真や図にあるように、垂直尾翼とラダーの間は片面に隙間が無く、反対側(画面では下側)には切り欠きが出来ます。
ラダーはこの分だけ(図の)下に動くことが出来ます。反対方向の上には当たるものがありませんので問題なく可動出来ます。
これで舵として機能できる訳ですね。

図のように固定翼(垂直尾翼や水平尾翼)と可動翼(ラダーやエレベーター)をテープで繋ぐ仕組みを「テープヒンジ」と言います。
「ヒンジテープ」を使って「テープヒンジ」を作る・・・・・ややこしいですね。
でもこれは中小型グライダーによく使われる手法で、特にラベンダーのように厚さ3mmという薄い尾翼の機体には最適の方法なんですよ。

 

Tape1
で、これが「テープヒンジ」の材料となるOK模型製の「ヒンジテープ」、もちろん当店で取り扱っています。

 

Tape2
一見すると身近にあるセロハンテープやビニールテープのようですが、実は全く違うものです。

ヒンジとして使うには、簡単に裂けない、特にヒンジライン方向(テープの長さ方向)に裂けない事が大事です。ヒンジライン方向に裂けてしまうという事は、固定翼と動翼が分裂してしまうという事で、あってはならない事ですよね。
次に接着力が強い事。理由は言わなくてもお判りですね。
その上に、厚さはできるだけ薄く、でも強度があること。それでもって伸縮しない事。僅かな伸びは必要ですが、ビニールテープのように力がかかった時に伸びてしまうようでは困ります。
更に水に強い事。セロファンテープのように水がかかるとふやけたり剥がれたりするのでは安心して飛行機を飛ばすことが出来ませんからね。

このようにたくさんの条件をクリアーした特殊なテープがヒンジテープとして使えるものなんです。

次回はヒンジテープを使ってヒンジ部分を工作する方法を説明させていただくことにします。