VIPアイロンシュー交換(番外編)

私も含めて、ラジコングライダーや飛行機を作っているモデラーにとって、OK模型のVIPアイロンと言えばバルサ製飛行機のフィルム貼りに欠かせない道具という答えがほぼ当たり前、というか普通ですね。
ところが、最近日本ヴォーグ社から発売された「キルトジャパン」という雑誌、もちろんラジコン関係の専門誌ではありませんが、こちらにVIPアイロンType-Fが紹介されているとの情報がお客様から寄せられました。

模型以外の分野でどんな使い方をされているのかが気になって、早速その「キルトジャパン」誌を書店から取り寄せて記事を拝見しました。
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素晴らしいパッチワークのかずかずが掲載されています。
素人の私の目でも十分楽しむことが出来ました。
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その中にはこんな作品も。
1930年代に活躍したカーチスF9C スパローホーク戦闘機の様ですが、羽布貼り主翼表面の凹凸表現や張り線、アンテナなど機体のディテールが精密に再現されています。そのほか周囲にあしらわれた同時代の飛行機も秀逸ですね。
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ついつい話が飛行機の方に行ってしまいましたが、本題に戻ってVIPアイロンの紹介記事ではこのアイロンをアップリケ布に接着芯(飛行機用フィルムのようにドライタイプの糊がついているようです)を貼り付けるのに最適だとか。
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私はキルトやパッチワークのことは全く判りませんので記事の受け売りになってしまいますが、それによりますとVIPアイロンが200度の高温を出せる事、その温度をダイヤル一つで簡単に設定出来る事、軽くて使いやすいこと、そしてTYPE-Fの平らな底面がきれいな仕上げに最適であることなどが説明されていました。

なんだか模型用のフィルム貼り作業に共通する点が多いと思いませんか。

それもそのはずですよね。
VIPアイロンが登場する前、私は家庭用の大きくて重いアイロンを使ってフィルム貼りに悪戦苦闘していました。
そんな事を考えると、家庭用のアイロンも模型用のVIPアイロンも元をただせば同じアイロン、記事で取り上げて頂いたVIPアイロンの(私から見れば)新しい使い方もVIPアイロンの正しい使い方の一つだな、と思った今回の話題でした。

さて皆さんにお知らせです。
只今当店では3月17日午前10時まで「送料無料キャンペーン」を実施中です。
いよいよ春本番、お得なこの機会にぜひショップを覗いてお買い物をお楽しみください。


VIPアイロンのシュー交換(後編)

VIPアイロンのシュー交換、前回は分解してシューを取り外すところまでを解説しました。
今回は新しいシューの取り付けに移るわけですが、その前に交換シューの種類について説明させていただきます。

VIPアイロンにはシュー(コテの部分)の形が2種類あり、底面が全く平らなVIPアイロンTYPE-Fとコテの周り、左右のエッジ部分が丸みを帯びているVIPアイロンTYPE-Rの2種類があります。
ちなみに、このTYPE-Fはフラット(FLAT=平ら)の頭文字で、一方のTYPE-Rがラウンド(ROUND=丸い)の略だという事です。

私もこのレポートを書きながらTYPE-FとTYPE-Rが何度も出てきてややこしくなった時がありました。
皆さんも混同しないよう、特にパーツを注文する時は間違えないようにしてくださいね。

 

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ちなみに二つのコテ先(シュー)を並べてみました。
こちらは底面(フィルムなどに当る部分)です。
完全にフラットなVIPアイロン用交換シューTYPE-F用と周囲が丸みを帯びたVIPアイロン用交換シューTYPE-Rの違いが良く判りますね。

 

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こちらは上面です。こちらもかなり形が違う事がお判りになるでしょう。
でも、違いは形だけでなく、他にもあるのです。

 

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ところで、当店に「VIPアイロンTYPE-Rを持っているんだがシューを交換して(TYPE-F用のシューをつけて)TYPE-Fにすることが出来ないか」とか、反対に「シューを取り換えてTYPE-FをTYPE-Rにすることが出来ないか」というお問い合わせが時々寄せられます。

その答えは、ずばり「出来ません!」です。

上写真でお判りになる通りネジ穴の位置(上下の間隔)が異なっていますので、それぞれのアイロンの本体に取り付けることが出来ないのです。
シユーを交換する時にはTYPE-F用交換シューTYPE-R用交換シューを間違って注文しないよう、くれぐれもご注意下さい。

今回はVIPアイロンTYPE-Rのシューを交換しますので、「VIPアイロンTYPE-R用交換シュー」を用意します。

 

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前置きが長くなりましたが、交換シューの取り付けに入ります。
まずシューの上面(内面)を見てください。
写真の例のように、丸い形の抜型跡があるのですが、まれにこの周りにバリが出ていることがあります。
バリが出ていると、ヒーターの熱がうまくシューに伝わらず、その部分のヒーター―(熱線)が過熱、故障する恐れがあります。
そうならないように写真のように工場でバリを取ってあるのですが(当たり前ですがバリが無ければ写真のような修正跡はありません)、指で内部を撫でてみてバリがある(ひっかかる)様ならきれいに取り除いておいてください。

 

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次に、分解した時と逆の順序で元通りに組み立てていきます。まず内部にヒーターを置きます。
配線が窮屈ですので引っ張りすぎないように気をつけて下さい。

 

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ヒーターの上に金属製の押え板を置き、前を短いネジで止めます。
このネジ、いまは軽く締め付けるだけにして、押え板が前後に動くようにしてください。

 

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センサーを取り付けます。写真で白く映っているリング状の部品はセラミック製ですから、極端に強く締め付けると割れてしまう事がありますので、取扱いには注意が必要です。写真は締め付ける前の状態です。

 

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センサーをきっちりと取り付けたなら、前端の短いネジも完全に締め付けます。

ここまで来ればほぼ完成したも同然です。

 

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最後にシューを4本のネジで本体に取り付ければ、シューの交換は完了です。

なお、この作業はあくまでお客様の自己責任で行っていただくものです。
分解、組み立てのやり方によっては、交換前にうまく動作していて物が、作業中に配線が断線するなどして故障してしまう可能性が無いとは言い切れません。

どうか作業は慎重に。特に、窮屈な配線に無理な力をかけて断線などを起こさないよう、くれぐれも注意して下さいね。

 

 

 

 

 


VIPアイロンのシュー交換(前編)

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フィルム貼りに欠かすことのできない小型アイロン、中でも当店が取り扱っているOK模型製のVIPアイロンは軽くて扱いやすく、温度設定が自由にできるというので私も愛用している逸品です。写真は私が長年愛用しているVIPアイロン TYPE-Rです。

このアイロン、長年使っているとテフロン加工が摩耗してきたり、不注意で裏面に傷がついたりすると、フィルムに細かい傷がついて仕上がりが見苦しくなってしまいます。
そんな時のために交換用のアイロンシューが販売されていますので、その交換方法をご紹介します。

 

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長年使っていると、このようによく当たる部分のテフロンコートがすり減ったり傷がついたりします。

 

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最初に、矢印の4カ所のネジを外して古いシューを取り外します。
ここはタッピングタイプのネジで止まっていますので、かなり力を入れて戻さないと駄目です。

 

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中はこんな感じです。
コードにあまり余裕がありませんので、無理をせずに写真のように拡げることが出来る位置を探してください。

 

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まずセンサー止めビスを外します。
センサーを止めている部分のアップです。
複数のパーツを組み合わせているのはここだけです。外す前のセンサーコードの向きと部品の組み合わせ順をよく覚えておいて下さい。
次に先端の「ビス1」を外して押え板を外すと、押え板の下のヒーター(白銀色の部分)がシューから外れます。

 

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分解したところです。アイロンがVIPアイロン TYPE-Rですから、シューはPILOT V.I.Pアイロン Type-R用交換シュー になります。

次回は交換シューの説明と、再組立ての説明をさせていただきます。


アイランドブリーズ箱開け(番外編)

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これまで3回にわたってセットの中身を見てきたOK模型のアイランドブリーズ
すらりと伸びた楕円形の主翼にフラップを装備したマイルドな飛行性能で、どちらかというと低翼入門者やのんびりフライトがお好みの中級フライヤーがターゲットかと思われます。

ところが、その優しい飛行性能が組立にもそのまま通用するかというとどうもそうではないんですね。
数多く機体を作った方ならともかく、初めてガソリンエンジンを使われるかたや初めてフラップ付の機体を組み立てる、というようなかたには戸惑われる部分もあるかと思います。

そのような方のお役に立てばということで、今回はいくつかのポイントを説明させていただく事にします。

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まずはエンジンまわりです。

これはガソリンエンジンに限った事ではないのですが、写真のようにエンジンのスロットルアームと防火壁(第一胴枠)が近い場合、スロットル(エンコン)プッシュロッドをUターンさせないとロッドの動きがしぶくなってしまいます。
この部分の工作ですが、ループプライヤーを使うときれいにU字型に曲げることが出来ます。ちょっとしたことですが、きっちりと仕上げたリンケージはいつ見ても気持ちがいいものです。

また、FG11のスロットルのストロークですが、アイドルはかなり開いていないと安定してアイドルしません。
それにFG-11の下半分の反応は良くないのでエキスポをかける必要もあるみたいです。

なお、FG-11の排気管は、少し曲がっているのでこれは後ろ向けずに外へ向くように固定します。
こうすれば、カウリングを被せた後、マフラーが取り付け可能になります。

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ところで、ガソリンエンジンにはグローエンジンにない装置が必要になります。

その一番手がエンジンのプラグに火花を飛ばすイグニッションユニットで、これは写真のようにタンクの前、第一胴枠の後側に写真の様に取り付けます。

燃料タンクは、薄いスポンジを敷いてベルクロで固定、その時にオンボードタコメーター用のコネクタ(イグニッションユニットから出ています)も止めておきます。
このタコメーター、機体に取り付けたままにするのでなく、エンジンを調整する時だけキャノピーを開けてこのコネクタに挿してエンジンの回転数をチェック、飛行時には取り外しておくという使い方を店主はしています。

次にリモートキルスイッチ、これもガソリンエンジン特有のもので、送信機の操作でイグニッションユニットの電源をON/OFFするものです。機体に手動のスイッチを取り付ける方もおられますが、飛行終了時や緊急時に送信機の操作一つで即座にエンジンを止めることが出来るスグレモノです。
安全のためにもぜひ装備したいもののひとつだと思います。

また、タンクの配管は3本配管で給油用のチューブは写真のような位置に配置します。
こうすることで、ガソリンの給油はキャノピーを開けて行い、飛行時には給油パイプを胴体の中にしまっておくことが出来るので、外に余分なパイプが露出せずスマートですね。

 

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受信機バッテリーとイグニッションバッテリーは共用にしています。店主は2.4GHz帯のプロポ装置を使っていますが、これで問題なく使えています。

使用するバッテリーはリポ3セル(11.1V)、1000mAhのタマゾー受信機用リポバッテリーLP-3S1000RIG。これをカンザシとタンクの間に立てて搭載しています。こうすると場所を取らずに良いですよ。

更に、リポバッテリーはレギュレーターSVR3-6Vを使って出力電圧を6Vにしています。
この写真では見にくいですが燃料タンクの横の側板にとりつけてあります。

イグニッションユニットは受信機の空きチャンネルからリモートキルスイッチを介して電源を取ります。

受信機はサーボの前に斜めにマウントを作って縛っています。こうすることで、受信機から延長コードを出さずにエルロン、フラップのサーボコードを直接受信機に挿す事が出来ます。

使用する受信機ですが、フル装備だと最低8チャンネルの受信機が必要になります。
内訳はエルロンx2、フラップx2、ラダー、エレベーター、スロットル、リモートキルスイッチです。

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アイランドブリーズの組立の中で、戸惑う人が多いのはエルロンとフラップのリンケージではないかと思います。
写真は主翼裏面(下面)のサーボ搭載部分を見たところです。
ピアノ線のプッシュロッドが主翼の上面を貫通してコントロールと繋がることになります。

前々回、2月1日の当ブログで図面を使って説明しましたように、下から上に主翼を貫通するリンケージ方式になっています。
ここで使うサーボはタマゾーTS-D1022MGが指定されており、それ用のマウントがキットに付属しています。

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最後にこの写真ですが、プッシュロッドガイドホルダーはこんな感じでサーボベッドに接着します。
セットに付属している組立説明書の図では少し判りずらいと思いますので掲載してみました。

また、オンボードリポメーターは、受信機/イグニッション用電源リポバッテリーの残容量を見るためのものです。
リポバッテリーとレギュレーターを使用した電源システムの場合、受信機/イグニッションにはレギュレーターで調節した6Vの電源が常に供給されます。
ですから今まで通り受信機側で電圧を測定しても変動がほとんど無く、肝心のバッテリーの残容量のチェックが出来ないのです。
そのため電源となるリポバッテリーの電圧を見るオンボードリポメーターが必要になるという訳ですね。

初めてガソリンエンジンに挑戦されるかたもターゲットにしている機体という事で、ガソリンエンジン関係パーツの説明が多くなってしまいましたので、大変そうに思われたかも知れません。
確かに最初は戸惑いがあるかもしれませんが、それでも燃費の良さ、燃料の安さなどガソリンエンジンを使うメリットは大変大きいのではないでしょうか。

間もなく、待ちに待った春のフライトシーズンに入ります。
アイランドブリーズとSAITO FG-11ガソリンエンジンの組み合わせで、静かに、ゆったりと、しかも燃料代を気にすることなく思い存分フライトを楽しんで頂きたいと思います。


収縮チューブでサーボを搭載する方法

急に季節が進んでいきなり冬に入ったような感じですが、皆さんいかがお過ごしでしょうか。
そのせいか、このところ天候不順が続き、連載中のPIXHAWKのフライトテストも思うように進んでいません。
そこで、今週はちょっと趣をかえてグライダーネタで行ってみようと思います。

 
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さて、皆さんはグライダーの薄い翼にサーボを搭載するのにどのような方法をとられていますでしょうか。
写真のように薄く窮屈なスペースにエルロンサーボやフラップサーボを、比較的簡単に横積み(平らに積む)するにはどうすれば良いかというのが今日のテーマです。

 

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そこでご紹介するのが当店オリジナル商品のサーボ取付収縮チューブを使う方法です。

なお、この方法では一旦取り付けたサーボを付け替えるというのはなかなか面倒ですので、作業の前にはサーボが正常に動くか、作業前に必ず動作チェックをしておいてください。
それと、サーボのコントロールホーンは、ほとんどの場合は作業後に取り付けたり取り外したりたり出来ませんので、事前にリンケージをきっちりと行い、仮付けをしてエルロンなど動翼の動作巾のチェックをきちんとしておく必要があります。

さて、このサーボ取付収縮チューブですが、上写真左の黄緑色の「TOPMODEL サーボ取付収縮チューブ 幅56mm長70mm 3枚入」と右側、ブルーの「TOPMODEL サーボ取付収縮チューブ 幅41mm長120mm 2枚入」があります。

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まず、こちらの「TOPMODEL サーボ取付収縮チューブ 幅56mm長70mm 3枚入」は折径(折りたたんだ時の横幅)が56mmです。当店で取り扱っているウイングサーボTahmazo TS-D1022MGを入れてみるとすんなりとうまく収まりました。もちろんTahmazo TS-D1016MGもほぼ同じサイズですから問題なく使えます。

 

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一方、こちらは「TOPMODEL サーボ取付収縮チューブ 幅41mm長120mm 2枚入」にTahmazo TS-1014を組み合わせてみました。
Tahmazo TS-1014はウイングサーボに代わって中、小型機のエルロンによく使われているサーボです。こっちのほうは、上のようにすんなりとは入りませんでした。測ってみるとTahmazo TS-1014は外周84mm(「耳」も含む)で、チューブの外周は82mm(折径41mmの倍)です。
計算通りですとチューブの外周が2mm不足する勘定ですがグライダーマニアの多くはサーボの「耳」を取って使われるので、その方法なら全く問題無いのですが・・・。

 

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でも、そこを何とか「耳」をつけたままで、ということでやってみたら、入りましたよ。
一つ上の写真の感じで、サーボを少し斜めにしてサーボの下側(写真では左側)から、両方の耳にチューブが被さるようにダマしダマし被せます。フィルムは少しは伸びますので、そのあたりを加減しながら入れていきます。
まあ、とにかくピッチぴちですけどね。
両耳にチューブが被さったなら、残りのチューブをサーボホーンの下あたりまで被せます。下側はサーボより10mmぐらい大きめに残して余分を切り取ります。

 

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次にチューブをヒートガンかドライヤで収縮させます。
あまりしつこくやるとチューブが破れたりサーボのケースが熱で変形したりしますので、慎重に、様子を見ながら収縮させます。
写真ではまだ少しシワが残っていますが、これくらいは全く問題ありません。

 

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これを翼に固定するのですが、私は写真の接着剤を使っています。
瞬間接着剤でもよさそうなものですが、翼上面の裏側はまっ平らではありませんのでサーボと翼のプランクを密着させることが出来ません。
そこでこの接着剤を、サーボ(チューブ)の中央付近に少し盛り上げるように塗り、翼の中に入れます。
今回使用した接着剤はすぐに固まりませんので、正しく位置決めをした後でチューブが翼の裏面に接触している部分、数カ所に瞬間接着剤をチョン、チョンと流し込んで固定します。

 

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取付の終わったところです。
翼の中にコンパクトに収まりました。

ところで、万が一、取り付けたサーボが故障したときはどうするんですかって?
その時は見えている部分のフィルムを切り開いてサーボを取り出します。翼の中に残ったフィルムはサーボの平面型に合わせて残しておきます。そのあとで、これまでと同じようにチューブを被せたサーボを元の位置に置き、こんどは瞬間接着剤で接着します。
最初に取り付けたときよりフィルムの厚みだけ翼の下面に近づいてきますが、普通はこれぐらいは問題ないはずですよね。