ファイター25用フロートキット(2) 取付のポイント

今回はファイター25ファイター25用フロートキットを使って水上機に変更する場合の大切な事をご紹介させて頂きます。

まず、一番大事なポイントは「重心位置をきっちりと合わせる」という事ですね。
重心位置がずれていると上空での飛行性能はもちろん、離着水にも支障が出てきます。
ですから、何よりも優先して重心位置はきちんと合わせてください
これ、大切ですから絶対に守ってくださいね。

まず水上機にするファイター25は、陸上機としてちゃんと調整して飛行させておられることを前提にしてお話しします。当然のことながら重心位置は正確に合わせてあるはずですよね。

でも、これにフロートをつけるとどうなるでしょうか。
このフロートは、上の写真でもお判りになる通り、フロートのステップから後を切り取った形をしています。この大きなメインフロートを重心より前に二個も取り付ける訳ですから重心位置は陸上機の時より前寄りになってしまいます。

それを陸上機の時と同じ重心位置にしないといけませんので、テールフロートに鉛のバランスウェイトを取り付けて重心位置を調整します。
外観が気になる方はバランスウェイトをテールフロートの中に仕込んでも良いでしょう。但し、胴体後端に付けると陸上機に戻したときに重心位置が後になってしまいますので、陸上、水上の両方で飛行させようと考えておられる方は水上バージョンの時の重りはフロートに取り付けて合わせるようにした方が良いと思います。

次に重要なポイントは防水対策です。
メーカーによりますと、ファイター25シリーズは、ラダー、エレベーターのプッシュロッドが胴体から出る部分にはプッシュロッドサポートというパイプを取り付けるようになっているほか(前回のブログで触れています)、電動機とした場合の冷却空気出口は水しぶきのかかりにくい後部胴体上面に設置するなど、水上機モデルとする場合の事も考えて基本設計がされているそうです。
それでもなお追加で行わなければならない重要な防水対策を、このフロートキットの説明書に書かれている点を中心に説明させて頂きます。

水上機にとってスイッチの防水対策は重要です。そのためのパーツが、フロートキットに入っているピアノ線とプラスチックパイプです。
このパーツをどのように使うかは説明書にもイラストで書かれていますが、それに従って組み立てた状態がこの写真です。水しぶきがかかっても大丈夫なようにピアノはパイプから後方に出します。
念のためピアノ線がパイプから出ている付け根にはグリスなどを塗って防水を完全にしてください。
で、スイッチのオン、オフは機体の外からピアノ線を写真のオレンジ色の矢印の方向に押したり引いたりして行う訳です。なお、このスイッチは陸上機に戻してもそのまま使えます。

蛇足ですが、陸上型で胴体側面に取り付けていたスイッチの穴はフィルムや防水テープを貼って塞いでおいてくださいね。

続いて、最も水の入りやすい、主翼と胴体の合わせ目の防水対策です。
写真の機体は青い矢印の部分、胴体と主翼の合う面に透明(クリヤー)のシリコン充填剤を塗って水が入る隙間が無いようにしています。
その方法ですが、青い矢印の部分にシリコン充填剤を塗ります。
主翼の裏側、胴体と合わさる部分には、ポリ袋のようなものを前もって少し広めにマスキングテープで貼っておきます。
シリコン充填剤が固まる前に主翼を胴体に取り付け、主翼取付ビスを締めてきちんと主翼を固定し、シリコン充填剤の切れ目がないかを確認した後、シリコンが固まるのを待ちます。約12時間かかります。
シリコン充填剤が固まれば主翼を胴体から取り外し、主翼に貼ったポリ袋を取り去ります。ポリ袋はシリコン充填剤に接着されません。
はみ出したシリコン充填剤は、完全硬化した後にカッターナイフなどで切りそろえると良いでしょう。

最後に、これも前回のブログで触れましたが、キットにはエルロンサーボの防水カバーが入っていますす。
真空成型されたバーツをシートから切り離し、エルロンプッシュロッドの出口穴を必要最小限の大きさに切り取ります。
カバーは防水テープを使って主翼に取り付けるのが良いでしょう。

なお、重心位置は陸上型、水上型でも同じ位置にしないといけませんが、各舵の舵角なども基本的に同じで良いとの事です。
ただ、フロートが前方、下に付くために、飛行中に下向きの力がかかりダウン気味になりますので、トリムを少しアップに修正する必要があるそうです。

どうですか。
各部に水上機に対するOK模型のノウハウと細かい気配りが盛り込まれたPILOT ファイター25用フロートキット、今ファイター25を陸上でお楽しみの方はもちろん、夏に向けて気軽に水上機を楽しむ機体を用意したいとお考えの方も、ぜひファイター25とこのフロートキットの組み合わせをご検討ください


ファイター25用フロートキット(1)

手頃な価格と楽しく「遊べる」飛行性能で人気のPILOTファイター25シリーズ、当店でも品薄状態が続いていますが、そんな中、以前から雑誌などでアナウンスされていたPILOTファイター25用フロートキットが発売になりました。

まだまだ寒い日が続きますが、来るべき水のシーズンに向けて早めに準備にかかってくださいね、というメーカーのメッセージでしょうかね(笑

さて、上写真はOK模型からお借りした試作機のフライト写真です。シンプルなボックス構造の3点フロート、PILOTファイター25用フロートキットを装着しています。
このフロートは木製キットですので、組み立てた後フィルムを貼ったりして仕上げる事になります。写真の機体はシルバーのフィルムで仕上げていますね。

入荷したばかりのPILOTファイター25用フロートキット、小ぶりな箱からはキットの大部分を占めるバルサとベニヤのパーツが出てきました。
べニアパーツは精密にレーザー加工されており、飛行機のキットに比べるとパーツ数が少ないので、早速組み立てたところ、あっという間に生地完成状態になりました。

完成後のフロートです。
左のメインフロートには支柱を取り付ける2本の溝が見えます。
一方、右に見えるテールフロートにはファイター25の尾輪金具がはまり込む溝が見えます。ということは、ラダーを操作するとテールギア金具に取り付けられたテールフロートも連動して動きますので、水中舵なしで水上での方向転換が出来るようになっているんですね。

フロートの上面、下面をご覧ください。
底面はフラットボトムで、強度が必要な上面、側面、接水面はベニヤになっています。

こちらはキットに入っている金具類です。
①はメインフロートを支えるピアノ線のサポート支柱です。フロートはファイター25についているメインギアからタイヤを外して前部を支え、後ろをこの3mmピアノ線のサポート支柱で支える訳です。②についてはあとで説明します。
なお、③のパーツは、左右のメインフロートを連結してブレ止めとする張線ワイヤーです。

一方、テールフロートはファイター25のテールギアからタイヤを外し、テールギアのピアノ線を写真のように溝の中にはめ込んでビス3本で止めるというアイデアです(写真提供OK模型)
水上での方向転換は、上で説明しましたように、ラダーに連動したこのテールフロートで行います。

フロートを取り付けた機体を陸上機に戻す時はメインフロートとテールフロートを外してタイヤに替えるだけで、リンケージなどをさわる必要が全くありません。
いろいろとアイデアの詰まったこのファイター25用フロートキット、本当に簡単に陸上から水上に、また水上から陸上にすることが出来そうですね。

また、このフロートキットは水上機に欠かせない防水対策にも細かい気配りがあります。
その一つがこの透明プラスチック製のエルロンサーボカバーです。

ファイター25シリーズのエルロンサーボは上のように主翼の下面に露出していますので、そのままでは水しぶきにまみれて使えなくなっていしまいます。そのためにこのカバーが用意されているんですね。(写真提供OK模型)

防水対策には、このほかスイッチやプッシュロッド出口、主翼の取付部などへの対策などが必要ですが、そちらについては次回説明させて頂く予定ですので、ぜひ次回の記事も合わせてご覧くださいね。


シラントロ2m キット紹介(4) バラスト? 

かずかずのノウハウを盛り込んだシラントロ2mの紹介を続けてきましたが、今回はバラストについて説明したいと思います。

まず、OK模型ホームページのシラントロ2m紹介ページには機体の概要や主な特徴などが書かれていますが、その中に「競技中の気象変化に的確に対応できるようバラスト搭載を可能とした」という記述があります。
私はそこに興味を持っていたのですが、キットの図面や組み立て説明書を見てもそれらしいバラスト搭載用のパイプやバラストルームが見当たりません。
そこのところを厚かましくもメーカーさんに問い合わせました。
「あのー、バラストはどこに積むんでしょうか」ってね。
で、その答えはシンプルで「あっ、それはね主翼カンザシで調節するんですよ」だそうです。もう少し詳しく言えば、シラントロ2mのカンザシは中空の8mmカーボン材です。で、このカンザシの素材を変えるなどして重さを替えてバラストにするという事なんだそうです。
あー、なるほど!という事で直径8㎜の素材で重さを変える方法をちょっと考えてみる事にしました。

こちらがバラスト候補?ですね。
まず一番左がキットに入っていた直径8mm、長さ230mmのカーボンカンザシです。
ちなみに、手元のキットに入っていたものは重量7gでした。
これをベースにいろいろと考えてみました。
写真左から2番目は当店オリジナル「8mmカーボンロッド」です。こちらは長さ360mmで実測重量27gでしたので、カンザシの長さ230mmに切り詰めると重量は17gとなります。重量で10gの増加ですから、バラストというよりカンザシの強度が心配な方向けのアイテムと言えそうですね。

写真一番右は、これも当店オリジナルの「8mmスチールロッド」です。これも現物は333mmで130gですから、カンザシの長さ230mmに切ると重量は91gで、差し引き84gの増加になります。
これならかなり効果がありそうですね。

ここで、もう一つの手があります。
キットに入っているカンザシはパイプですので、その中に何か入れて重くするという手がありますね。
そこで上の当店オリジナル「バラスト用1mm鉛球」を入れて見たらどうなるかという事で、早速試してみました。
小さな鉛球をカーボンパイプに詰めた結果、重量は7gから47gと、40gの増加となりました。

もちろん、鉛の量を調節する事で重さを替えることが出来ます。

長々と書いてきましたが、結果を簡単にまとめるとこうなります。

キット付属カーボンパイプ7g<トップモデル8mmカーボンロッド17g<キット付属カーボンパイプ+トップモデルバラスト用1mm鉛球47g<トップモデル8mmスチールロッド91g という結果になりました。

どうでしょうか。これ以外にも素材の組み合わせ次第でいろいろな方法が考えられるんではないでしょうか。
さて、皆さんはどうされますか?


シラントロ2m キット紹介(3) 接着剤について

シラントロ2mの紹介記事やOK模型のホームページには「製作には技術や経験を必要とする部分が多くあります」とか「組み立てにはピメンタ2m以上の技術が必要となりますが、それに見合う高性能が実感できると思います」
などと書かれています。
もちろんバルサキットですから、組み立てにはある程度の技術と経験が必要なのは当然ですし、それを承知でお買い上げのお客様はあまり組立説明書に縛られず随所に自分のノウハウや技術を盛り込んで、ある意味「アドリブ」を交えて組み立てられるかたも多いでしょうが、今回はざっと説明書に目を通して気になった「エポキシ接着剤と充填剤マイクロバルーン」について、OK模型さんに聞いた話も交えて取り上げてみたいと思います。
(以下の文中の図は株式会社OK模型の許可を得て掲載しています)


まず上をご覧ください。
OK模型ホームページのシラントロ製品紹介ページで「主な別途準備品」として書かれているところの一部です。

今回、店主が気になったのは15分エポキシ」「15分」というところと「スーパーマイクロバルーン」と「ウルトラマイクロバルーン」の両方の名が挙がっているところです。

15分エポキシにこだわる訳
まず、エポキシ接着剤ですが、わざわざ「15分」としているのは何故?とOK模型に問い合わせたところ、硬化後の「硬さ」が必要だからという答えが返ってきました。
一般的にエポキシは硬化時間が短くなるほど硬化後はカチカチに硬くなります。その「硬さ」が必要なので敢えて「15分」としたのだそうです。
じゃ、もっと硬化時間の短い「5分エポキシ」ではダメ?という事になりますが、「5分」では作業時間が短すぎるので15分という事だそうです。

2種のマイクロバルーンを使い分ける訳
次に、これに関連してエポキシに混ぜる(添加する)「スーパーマイクロバルーン」「ウルトラマイクロバルーン」を使うように書かれています。
それでは、このスーパーとウルトラはどのように性格が違い、どのように使い分けるのでしょうか。
それについては、当ショップブログの過去記事「スーパー?ウルトラ?その2」で解説していますので、もう一つ違いが判らないと言われる方は一度そちらもご覧ください。
その記事の中身を要約しますと、材質はスーパーは中空ガラスの細かな微粒子、ウルトラは更に細かなウレタンの超微粒子で、どちらもエポキシ接着剤に混ぜて体積を増やして軽量化したり硬化後の成形をしやすくするために使うのが一般的な用途です。
そして、スーパーは固く仕上がり、ウルトラは硬化後も柔軟性があるというお話しになっています。

さて、実際の組立説明書には下図のオレンジ色で囲った個所のように書かれた個所があります。

主翼カンザシ受け(アルミパイプ)を接着する部分の組立説明には「周りの隙間はスーパーマイクロバルーンを1:1で混ぜたエポキシ接着剤で充填します」とあります。
これはエポキシをカチッと固く硬化させるとともに、隙間を埋める為に使うエポキシの重量軽減を図りたいという二つの意味があるのでしょう。

また、こちらの主翼の組み立てでは「後縁はエポキシ接着剤を使えば固く仕上がります」とあります。
通常、バルサの後縁プランク材同士を接着するのにエポキシは使いませんが、ここでは後縁を極限まで薄く仕上げた時に被覆フィルムに負けないようにするためと複雑な形状の後縁をカッチリ正確に仕上げるためにエポキシを使うという事ですね。更に、ここではエポキシにスーパーマイクロバルーンを「ごく少量混ぜたものを使って硬さを増すと良いそうです。
後縁の薄さがシラントロの空力性能を決める一つのキモですから、ネットに上がっているマニアのシラントロ製作情報には、エポキシだけでなく、上下の後縁プランク材の間にグラスクロスを挟むなど、皆さん自分の持っている知識と経験のつぎ込みどころとばかり工夫を凝らしておられるようですね。

一方、モーターマウントの接着の工程には「モーターマウントの前後からウルトラマイクロバルーンを混ぜたエポキシ接着剤を流しこみしっかりと固定します」とあります。
こちらは硬化後も柔軟性を保つウルトラマイクロバルーンの特性を利用したもので、振動等でマウントがFRP胴体から外れてしまうリスクをウルトラマイクロバルーンの柔軟性で軽減するという目的だそうです。

このほか、シラントロの組立説明書には瞬間接着剤を使うところなども指定されていますし、ベテランのモデラーさんはそれ以外にも木工用ボンドやセメダインC、その他色々な種類の接着剤を組み合わせ、丈夫で軽い機体を効率よく組み立てる工夫をされているようです。

このように、シラントロ2mは上級者用キットという事で、組み立ては少し手ごわいですが、色々なところに工夫を凝らす余地があり、その工夫が完成後の飛行性能にどのような違いをもたらすか、ベテランモデラーには腕の振るいがいがある楽しいキットとも言えるようです。

さて、ここでお知らせです。
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