ファイター25用フロートキット(1)

手頃な価格と楽しく「遊べる」飛行性能で人気のPILOTファイター25シリーズ、当店でも品薄状態が続いていますが、そんな中、以前から雑誌などでアナウンスされていたPILOTファイター25用フロートキットが発売になりました。

まだまだ寒い日が続きますが、来るべき水のシーズンに向けて早めに準備にかかってくださいね、というメーカーのメッセージでしょうかね(笑

さて、上写真はOK模型からお借りした試作機のフライト写真です。シンプルなボックス構造の3点フロート、PILOTファイター25用フロートキットを装着しています。
このフロートは木製キットですので、組み立てた後フィルムを貼ったりして仕上げる事になります。写真の機体はシルバーのフィルムで仕上げていますね。

入荷したばかりのPILOTファイター25用フロートキット、小ぶりな箱からはキットの大部分を占めるバルサとベニヤのパーツが出てきました。
べニアパーツは精密にレーザー加工されており、飛行機のキットに比べるとパーツ数が少ないので、早速組み立てたところ、あっという間に生地完成状態になりました。

完成後のフロートです。
左のメインフロートには支柱を取り付ける2本の溝が見えます。
一方、右に見えるテールフロートにはファイター25の尾輪金具がはまり込む溝が見えます。ということは、ラダーを操作するとテールギア金具に取り付けられたテールフロートも連動して動きますので、水中舵なしで水上での方向転換が出来るようになっているんですね。

フロートの上面、下面をご覧ください。
底面はフラットボトムで、強度が必要な上面、側面、接水面はベニヤになっています。

こちらはキットに入っている金具類です。
①はメインフロートを支えるピアノ線のサポート支柱です。フロートはファイター25についているメインギアからタイヤを外して前部を支え、後ろをこの3mmピアノ線のサポート支柱で支える訳です。②についてはあとで説明します。
なお、③のパーツは、左右のメインフロートを連結してブレ止めとする張線ワイヤーです。

一方、テールフロートはファイター25のテールギアからタイヤを外し、テールギアのピアノ線を写真のように溝の中にはめ込んでビス3本で止めるというアイデアです(写真提供OK模型)
水上での方向転換は、上で説明しましたように、ラダーに連動したこのテールフロートで行います。

フロートを取り付けた機体を陸上機に戻す時はメインフロートとテールフロートを外してタイヤに替えるだけで、リンケージなどをさわる必要が全くありません。
いろいろとアイデアの詰まったこのファイター25用フロートキット、本当に簡単に陸上から水上に、また水上から陸上にすることが出来そうですね。

また、このフロートキットは水上機に欠かせない防水対策にも細かい気配りがあります。
その一つがこの透明プラスチック製のエルロンサーボカバーです。

ファイター25シリーズのエルロンサーボは上のように主翼の下面に露出していますので、そのままでは水しぶきにまみれて使えなくなっていしまいます。そのためにこのカバーが用意されているんですね。(写真提供OK模型)

防水対策には、このほかスイッチやプッシュロッド出口、主翼の取付部などへの対策などが必要ですが、そちらについては次回説明させて頂く予定ですので、ぜひ次回の記事も合わせてご覧くださいね。


シラントロ2m キット紹介(4) バラスト? 

かずかずのノウハウを盛り込んだシラントロ2mの紹介を続けてきましたが、今回はバラストについて説明したいと思います。

まず、OK模型ホームページのシラントロ2m紹介ページには機体の概要や主な特徴などが書かれていますが、その中に「競技中の気象変化に的確に対応できるようバラスト搭載を可能とした」という記述があります。
私はそこに興味を持っていたのですが、キットの図面や組み立て説明書を見てもそれらしいバラスト搭載用のパイプやバラストルームが見当たりません。
そこのところを厚かましくもメーカーさんに問い合わせました。
「あのー、バラストはどこに積むんでしょうか」ってね。
で、その答えはシンプルで「あっ、それはね主翼カンザシで調節するんですよ」だそうです。もう少し詳しく言えば、シラントロ2mのカンザシは中空の8mmカーボン材です。で、このカンザシの素材を変えるなどして重さを替えてバラストにするという事なんだそうです。
あー、なるほど!という事で直径8㎜の素材で重さを変える方法をちょっと考えてみる事にしました。

こちらがバラスト候補?ですね。
まず一番左がキットに入っていた直径8mm、長さ230mmのカーボンカンザシです。
ちなみに、手元のキットに入っていたものは重量7gでした。
これをベースにいろいろと考えてみました。
写真左から2番目は当店オリジナル「8mmカーボンロッド」です。こちらは長さ360mmで実測重量27gでしたので、カンザシの長さ230mmに切り詰めると重量は17gとなります。重量で10gの増加ですから、バラストというよりカンザシの強度が心配な方向けのアイテムと言えそうですね。

写真一番右は、これも当店オリジナルの「8mmスチールロッド」です。これも現物は333mmで130gですから、カンザシの長さ230mmに切ると重量は91gで、差し引き84gの増加になります。
これならかなり効果がありそうですね。

ここで、もう一つの手があります。
キットに入っているカンザシはパイプですので、その中に何か入れて重くするという手がありますね。
そこで上の当店オリジナル「バラスト用1mm鉛球」を入れて見たらどうなるかという事で、早速試してみました。
小さな鉛球をカーボンパイプに詰めた結果、重量は7gから47gと、40gの増加となりました。

もちろん、鉛の量を調節する事で重さを替えることが出来ます。

長々と書いてきましたが、結果を簡単にまとめるとこうなります。

キット付属カーボンパイプ7g<トップモデル8mmカーボンロッド17g<キット付属カーボンパイプ+トップモデルバラスト用1mm鉛球47g<トップモデル8mmスチールロッド91g という結果になりました。

どうでしょうか。これ以外にも素材の組み合わせ次第でいろいろな方法が考えられるんではないでしょうか。
さて、皆さんはどうされますか?


シラントロ2m キット紹介(3) 接着剤について

シラントロ2mの紹介記事やOK模型のホームページには「製作には技術や経験を必要とする部分が多くあります」とか「組み立てにはピメンタ2m以上の技術が必要となりますが、それに見合う高性能が実感できると思います」
などと書かれています。
もちろんバルサキットですから、組み立てにはある程度の技術と経験が必要なのは当然ですし、それを承知でお買い上げのお客様はあまり組立説明書に縛られず随所に自分のノウハウや技術を盛り込んで、ある意味「アドリブ」を交えて組み立てられるかたも多いでしょうが、今回はざっと説明書に目を通して気になった「エポキシ接着剤と充填剤マイクロバルーン」について、OK模型さんに聞いた話も交えて取り上げてみたいと思います。
(以下の文中の図は株式会社OK模型の許可を得て掲載しています)


まず上をご覧ください。
OK模型ホームページのシラントロ製品紹介ページで「主な別途準備品」として書かれているところの一部です。

今回、店主が気になったのは15分エポキシ」「15分」というところと「スーパーマイクロバルーン」と「ウルトラマイクロバルーン」の両方の名が挙がっているところです。

15分エポキシにこだわる訳
まず、エポキシ接着剤ですが、わざわざ「15分」としているのは何故?とOK模型に問い合わせたところ、硬化後の「硬さ」が必要だからという答えが返ってきました。
一般的にエポキシは硬化時間が短くなるほど硬化後はカチカチに硬くなります。その「硬さ」が必要なので敢えて「15分」としたのだそうです。
じゃ、もっと硬化時間の短い「5分エポキシ」ではダメ?という事になりますが、「5分」では作業時間が短すぎるので15分という事だそうです。

2種のマイクロバルーンを使い分ける訳
次に、これに関連してエポキシに混ぜる(添加する)「スーパーマイクロバルーン」「ウルトラマイクロバルーン」を使うように書かれています。
それでは、このスーパーとウルトラはどのように性格が違い、どのように使い分けるのでしょうか。
それについては、当ショップブログの過去記事「スーパー?ウルトラ?その2」で解説していますので、もう一つ違いが判らないと言われる方は一度そちらもご覧ください。
その記事の中身を要約しますと、材質はスーパーは中空ガラスの細かな微粒子、ウルトラは更に細かなウレタンの超微粒子で、どちらもエポキシ接着剤に混ぜて体積を増やして軽量化したり硬化後の成形をしやすくするために使うのが一般的な用途です。
そして、スーパーは固く仕上がり、ウルトラは硬化後も柔軟性があるというお話しになっています。

さて、実際の組立説明書には下図のオレンジ色で囲った個所のように書かれた個所があります。

主翼カンザシ受け(アルミパイプ)を接着する部分の組立説明には「周りの隙間はスーパーマイクロバルーンを1:1で混ぜたエポキシ接着剤で充填します」とあります。
これはエポキシをカチッと固く硬化させるとともに、隙間を埋める為に使うエポキシの重量軽減を図りたいという二つの意味があるのでしょう。

また、こちらの主翼の組み立てでは「後縁はエポキシ接着剤を使えば固く仕上がります」とあります。
通常、バルサの後縁プランク材同士を接着するのにエポキシは使いませんが、ここでは後縁を極限まで薄く仕上げた時に被覆フィルムに負けないようにするためと複雑な形状の後縁をカッチリ正確に仕上げるためにエポキシを使うという事ですね。更に、ここではエポキシにスーパーマイクロバルーンを「ごく少量混ぜたものを使って硬さを増すと良いそうです。
後縁の薄さがシラントロの空力性能を決める一つのキモですから、ネットに上がっているマニアのシラントロ製作情報には、エポキシだけでなく、上下の後縁プランク材の間にグラスクロスを挟むなど、皆さん自分の持っている知識と経験のつぎ込みどころとばかり工夫を凝らしておられるようですね。

一方、モーターマウントの接着の工程には「モーターマウントの前後からウルトラマイクロバルーンを混ぜたエポキシ接着剤を流しこみしっかりと固定します」とあります。
こちらは硬化後も柔軟性を保つウルトラマイクロバルーンの特性を利用したもので、振動等でマウントがFRP胴体から外れてしまうリスクをウルトラマイクロバルーンの柔軟性で軽減するという目的だそうです。

このほか、シラントロの組立説明書には瞬間接着剤を使うところなども指定されていますし、ベテランのモデラーさんはそれ以外にも木工用ボンドやセメダインC、その他色々な種類の接着剤を組み合わせ、丈夫で軽い機体を効率よく組み立てる工夫をされているようです。

このように、シラントロ2mは上級者用キットという事で、組み立ては少し手ごわいですが、色々なところに工夫を凝らす余地があり、その工夫が完成後の飛行性能にどのような違いをもたらすか、ベテランモデラーには腕の振るいがいがある楽しいキットとも言えるようです。

さて、ここでお知らせです。
当店ではただいま「特定商品お買い上げで送料無料キャンペーン」を行っています。
今回の特定商品はAフィルム、Eライトフィルムで、これらのフィルムはもちろん、同時に合わせてお買いげになったご注文品の送料も無料になります。
本日ご紹介させて頂いたシラントロ2mなどのキットとフィルムを合わせてお買い上げいただく絶好のチャンスです。
ぜひ「特定商品お買い上げで送料無料キャンペーン」をご活用ください。


シラントロ2m キット紹介(2) 専用主翼組立治具の巻

シラントロ2mのキット紹介、今回は同時発売されたシラントロ2m専用主翼組立治具をご紹介しましょう。

シラントロ2mの主翼は左右それぞれ内翼と外翼に分けて組み立てますが、このジグは内翼の組み立て用になります。

ご覧の様にレーザーカットされたベニヤ板4枚分のパーツとヒノキ棒、そして組立説明書と、いたってシンプルなキットです。

細かいパーツもなく、あっという間に組みあがりますが、組立て後にベニヤ板のクセが出てくる場合があります。そんな時はひねったり蒸気や熱を加えて丁寧に曲りを正しておかないと治具の役割をしません。

前後縁がまっすぐになり、全体が定板の上にぴったりつくようにしっかり修正するのが肝心です。
これを左右別々に作ります。
ところで、上写真の左側、ベニヤ板のパーツが乗っているほうが後縁側になります。シラントロ2mの翼型は、この後縁が微妙に下に湾曲しているのが特徴だそうで、ジグが無ければ図面通りの翼型に作るのはかなり難しいのではないでしょうか。

上写真は、内翼のフレームを組み立て、下面プランクが終わったところで治具の上に乗せた後縁材付近のクローズアップです。
後縁材は説明書の指示によれば後端を0.3mm(上下プランクを合わせて0.6mm)に仕上げなければなりません。シラントロ2mは高性能だけれど組み立てには相応の技術と経験が必要、とメーカーが言っていますが、この部分もその一つなのでしょう。

参考までにシラントロ2mの組立説明書の一部を転載させて頂きました。図のF-1(後縁プランク材)は1.5mmのバルサ板で、幅19mmの間で後端を0.3mmに落とすわけです。削って仕上げるのは大変ですが、このあたりも高性能を追求したこだわりの一部のようですね。

上面プランクを終えて治具に固定したところです。写真のように翼パネルは翼幅方向に板材を間に挟んで、クリップや太めの輪ゴムなどを使って治具に固定します。
ところでこの輪ゴム、OK模型の「PILOT 翼止め輪ゴム」がサイズ、テンションなどがちょうど良いのでお勧めです。一度お試しください。

さて、ここでお知らせです。
当店では只今税込5400円以上お買い上げで500円値引クーポンを配布中です。
ご注文時にクーポンID欄に 2018top01 と忘れずに入力してください。その場で500円値引きされます。
なお、このクーポンは1月31日までの期間中、お一人様1回までとなっております。
どうかご利用ください。


シラントロ 2m キット紹介(1)

皆様方からたくさんのお問い合わせをいただいていましたOK模型のモーターグライダーキット、「PILOT シラントロ 2m」がついに発売されました。
と言っても、ブログを書いています1月19日現在、当ショップでは品切れのため、皆様に大変ご迷惑をお掛けしている状態で、本当に申し訳ございません。メーカーによりますと追加生産に努めているとの事で、入荷次第、逐次ショップに上げてゆきますので宜しくお願い致します。

さて、上の写真はメーカーから提供頂いたキットの内容写真です。
ざっと見たところ、バルサキットですからレーザーカットされたバルサ板、ベニヤ板がメインです。そのほか、FRP胴体ポッド、カーボンテールパイプなどが目立ちます。

それでは中身をクローズアップして見ていく事にしましょう。

まずは木部パーツです。結構な量のバルサ板とべニア板が詰まっています。

右側のグループをクローズアップしてみました。レーザーカットされたバルサ板、ベニヤ板、それに棒材などが入っています。
当然のことですが、部品の数が半端ないほど多く、そのうえ小さいものや形の似たものもありますので、組立てを始める前にシートを「一枚づつ」そっと台の上に置いて、図面のパーツ図と照らし合わせながらパーツ番号の記入などを行ってください。
何枚ものシートを一度に全部出して並べたりしてしまうと、精密にレーザー加工されたパーツがシートからはずれて散らばり、部品の照合に手間取ってしまったり、最悪パーツをなくしてしまうという事にもなりかねませんので。

次は胴体ポッドです。
FRP製で、キャノピーはプラスチックという、これまでのOK模型製グライダーの標準パターンです。

ところが、よく見てください。機首先端が切断されていませんね。
という事は、モーターを付けないピュアグライダーとしても製作できるということで、こちらを待っておられたマニアもおられるのではないでしょうか。
もちろん、メインは電動バージョンですから、その場合は機首をスピンナーの直径に合わせてカットする必要が出てきます。
その寸法ですが、直径30㎜と34mmのスピンナーに合うようにカットする治具が用意されています。

こちらはテールブームです。OK模型のグライダーとしては手慣れた、テーパーカーボンパイプを使用、軽量化と剛性の確保を図っています。

小物パーツの入った袋です。
カンザシは直径8mmのカーボンパイプで、それを受ける主翼内のパイプはアルミになります。
このカンザシ、必要に応じてスチール製に代えたり、カーボンパイプの中に鉛球を埋め込んだものに代えたりしてバラストの役目をさせる、という事だそうです。また、当店オリジナル商品のカーボンロッドに代えることも出来ます。
そのほか、主翼やモーターを止めるビスやツメ付きナット、グラスクロスなどが入っているのが見えます。

それから、こんな見慣れないパーツが入っていました。
素材はプラスチックで、真空成型されています。
このうち、右上の2つのパーツはリンケージのホーンカバーらしいと想像できますが、左側のパーツは、店主も含めて、一体何に使うのか判らない方もおられるのではないでしょうか。

正解はこちらです。
ピンクの円の中、水平尾翼とカーボンテールパイプの間のパーツ、尾翼マウントなんです。
写真はOK模型の試作機ですので白色になっていますが、今回手に入った量産モデルでは黄色になっていました。
もちろんこのパーツだけで水平尾翼を支えるのではなく、中にはしっかりしたフレームが入るようになっています。

最後は、キットに入っている組立説明書と原寸大図面(組み立ての邪魔になる強い折り癖がつかないよう、畳まずに丸めて入っています)です。

早速、組立て説明書をちょっと覗いてみましたが、「上級者向け」ということもあって、一から十まで、微に入り細に入り詳しく説明してあるという訳ではないようです。
つまり、この説明書に書いてあることは、従来の常識とは違った組み方や特殊な工作を要する個所などについての説明であって、一般的な組立方法については必要最小限のことしか書かれていないというつもりで、組み立て前には説明書、図面、図面の中のパーツリストの三者を見比べながら十分に予習をされたほうが良いのではないかと感じました。

さて、これまで雑誌やホームページの情報ではシラントロ2mの「組み立てにはピメンタ2mの組み立て以上の技術が必要」とか、「主翼の組み立ては難しい」などと書かれていました。
そこで、次回はシラントロ2m専用主翼組立治具のご紹介と、組み立てのポイントや注意点などを、図面の一部を使って具体的にご紹介したいと思います。