スペースウォーカー箱開け(1)

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箱開けシリーズ、今回はOK模型の30ccガソリン機「V-proスペースウォーカー」を取り上げます。

実機は手作りの軽飛行機、いわゆるホームビルト機で、模型の世界ではノンビリフライト派のマニアに人気のスケール機としてよく取り上げられている機体です。このOK模型の機体は実機の1/4スケールモデルになっています。

飛行性能は低翼機ながら大き目の矩形翼を採用していますので、低翼面荷重を利してゆっくりフライトを楽しむことが出来ます。更に、キットには上の写真で見えるように、実機にないフラップを装備することで更に低速性能を向上させていますので、低速性能を生かしたスケール飛行を楽しむことが出来ます。

 

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さすがにガソリン30ccクラスともなると、箱はかなりのボリュームで、中にはびっしりとパーツが詰まっています。
箱を開けると大きなステッカーや尾翼が目に入りますが、まずは主翼のご紹介から始めましょう。

 

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まずは主翼の上面(オモテ面)です。
右の定規は30cmのものですから、翼弦は30cm以上あります。
エルロンとフラップが後縁についていますが、工場出荷状態ではテープで仮止めしてあるだけでヒンジで止り付けられているわけではありません。

 

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こちらが下面(裏面)です。
上面とはがらりと変わって大胆な赤白のストライプにして視認性を高めています。
このカラーリングについてメーカーに聞いたところ、スケール機とは言うものの実在する特定の機体をモデルにしたものではないという事です。

 

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主翼付け根を見たところです。ご覧のような半対象翼型で、バルサリブに桧のスパー、前後縁と中央部はバルサプランクという、軽量化を主眼にした一般的なスポーツ機と同様の構造です。
前縁寄りにある真円の大きな穴は、ジュラルミンパイプの主翼カンザシが入る穴です。

 

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ここで、本機の特徴であるフラップ部分をもう少し詳しく見ることにします。
定規の右上に見えるのがフラップで、スパンが30cm以上ありますね。
さらに、その取付方法が少し変わっています。下写真をご覧ください。

 

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主翼のフラップ部分を裏返したところです。
写真の矢印で示したところにピンヒンジを取り付ける穴があけられています。
同時に、主翼の後縁とフラップの前縁が隙間なくぴったりついていることに注目です。
普通は動翼側の前縁をクサビ型や斜めに削ってあるものですよね。
でも、実機に無いフラップですから、その継ぎ目を見えにくくするための細かい心配りここにあるんです。
ではどんな風にヒンジを取り付けるかを説明書でご覧ください。

 

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ヒンジはピンヒンジを使い、斜めに差し込んで使います。そうすることでヒンジの支点jが主翼とフラップの継ぎ目の下側になるわけです。こうしてヒンジの取り付け位置を工夫することで、フラップを下に大きく下げることが出来ると共に、上に引きあげた時は主翼の後縁とフラップの前縁がピッタリとくっつき、フラップ取付部のヒンジラインの隙間が目立たないように考えられているんですね。

次回は胴体を中心に見てゆきます。

楽しみにお待ちください。

 

古き良き時代・・・KMAゴールデンエージ&オールドタイマー大会

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骨組みが透けて見える主翼、主翼を止めているゴム、年季の入った工具箱、そして無心にエンジンを始動する選手。
ずいぶん昔のラジコン飛行場の風景を見るようですね。
でもこれは現在のお話なんですよ。

4月10日日曜日、関西模型クラブ連合会主催の「KMAゴールデンエージ&オールドタイマー大会」にお邪魔してきました。
70年以上前の、ガソリン・エンジンを搭載したフリーフライト機を再現したオールドタイマー機や、日本のラジコン界が世界に羽ばたき始めた1950年から1970年 代の黄金時代までに設計された機体を再現したゴールデンエージ機を持ち寄り、古き良き時代をしのんで一日を思う存分楽しもうという趣旨の飛行会で、当店も気持ちばかり の協賛をさせていただきました。

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さて、京都市伏見区の会場には、関東から九州まで全国各地から多くの選手、観客が集まり、写真のように賑やかな開会式でスタートです。
何でもこの大会、一人で2機、3機と自慢の愛機を持参するのは当たり前、中には5機以上持参する猛者もおられるとか。
とにかく多彩な飛行機の群れが会場に溢れかえる、なんとも楽しいイベントです。

 

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手前はゴールデンエイジ機の超有名機トーラス。後ろには富士、ブルーエンゼル、コルセアなど、どれを見ても懐かしいーー。
いずれのデザインも秀逸、名機はいつ見ても時代を感じさせませんね。

 

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この一角は70年以上前のフリーフライト機を模したオールドタイマー機がたくさん並んでいます。
当時はイグニッション式のガソリンエンジンを搭載したフリーフライトでしたが今はもちろんラジコンで優雅に美しく空を舞います。

 

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ピットエリアはこんな感じ。
車の中やうしろにいろんな飛行機がずらりと並び、まるでおもちゃ箱をひっくり返したよう。で、いくら眺めても見飽きません。
ご覧のように一人で何機も持参されてます。

 

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飛行順番を待つ待機エリア。こちらでも機体を覗き込みながら、大阪弁の会話が弾んでます。
「この飛行機、昔欲しかったんやけど学生の小遣いでは手が出えへんかったんや。ええなーー、このエンジンも!」
「あー、これな。オークションで落札して整備しなおしたんや。良う回るでー」
「えーーっ、ホンマに回すんかいな(運転するの?)、このエンジン。勿体ないでー!」

オークションですか・・・ 時代の変化を感じますね。

 

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こちらは1936年のフリーフライト機(レプリカ)で、ラジコンの大先輩(故人)の作品だそうですが、元気にフライトしていました。

 

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昔はなかなか飛ばなかった小型機もラジコン装置の小型化や燃料が良くなったので活発によく飛びます。

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助手に飛行機を持ってもらってエンジン始動。昔ながらの光景です。

 

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イベントのお約束、メダルや商品ですね。

 

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入賞者された熟年、いやベテランモデラーの皆さん。
皆さんあまりカリカリしていませんが、やっぱり賞を頂くと嬉しいようですね。

という訳で、今回は何十年もタイムスリップしたようなイベントにどっぷりと浸かってきました。
今当店で扱っている商品群も何十年かすればこのようなイベントに登場するんでしょうか。
そんな日を想像しながら会場を後にしました。

Japan Drone 2016

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少し前になりますが3月26日〈土)、幕張メッセで開催されていた「ジャパンドローン 2016」を覗いてきました。

英語ではJapan Drone 2016-Expo for Commercial UAS market-というように、主として商用無人航空機の展示会の様ですが、当店でもマルチコプターF450を取り扱っていますのでドローンという名にひかれての顔出しでした。

 

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会場に到着、いきなり目に入ったのがこれ!
アメリカのプレデターXPですね。高度7500m、滞空時間35時間という性能は、目的が違うとはいえマスコミ等で騒がれているマルチコプターベースの「ドローン」とは規模、性能に天と地の差がありますね。
ブースの周囲が閑散としていて拍子抜けしましたが、飛行機マニアとしては興味津々なこの機体、このイベントに集まった人々にはあまり関心が無いのかな。

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で、会場を見て回ったわけですが、モデラーですからどちらかというと模型関係の展示についつい目が行ってしまいます。
当店が扱っているラジコン模型関係の会社の多くが加盟されている団体「日本ラジコン模型工業会」さんも出展されていました。

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ラジコン模型工業会さん合同の展示ブースに並んでいるのは私たちにもおなじみの商品です。

でも・・・・・・

 

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この保険や、

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保護回路が一杯つまったこのバッテリーの展示でもお判りになるように、主なターゲットは模型ではなく産業用なんですね。

それにしても、多彩な分野の展示、デモ飛行、講演等も行われずいぶん賑やかな催しでした。

模型から始まったドローンですが、今では新しいビジネスとして広範囲な分野の会社が参入、機体やシステム、用途を模索している業界の様子がちょっと判ったような気がしました。

マルチコプターに代表されるドローン、だんだんとモデラーの扱う模型からは遠ざかっていくようですが、新しい産業としてこれからも目が離せない世界ではあるなと感じた一日でした。

 

 

 

パプリカ3 箱開け(2)

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OK模型の2mクラスモーターグライダー「パプリカ3」の箱開けキットレビュー、2回目はグライダーの命ともいうべき主翼と、尾翼をご紹介します。

 

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3段上反角の主翼を構成するパネルは5枚です。右前の白い大きなパネルが中央翼、左の赤いパネルが外翼、楕円形の小さなパーツは翼端板で外翼に接着します。
組み立て後は中央翼と外翼が外れて3分割出来ます。先代パプリカ2が中央で2分割式だったのと比べると、運搬時は非常にコンパクトになった感じがします。

カラーリングは上面、下面(裏、表)ともに中央翼が白、外翼が赤になっています。

 

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まず中央翼をご覧いただきます。

左右一体になっていますので胴体には2本のネジで取り付けます。

 

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薄型翼を採用した中央翼にはフラップが取付済みです。写真のようにテープヒンジで下面を止めてありますので、フラップを下に大きく下げることが出来ます。

写真では判りませんがフラップリンケージは主翼上面を貫通してホーンに連結する方法です。これだと着陸時に地面にホーンが当たるなどして壊れる事が少なくなりますね。

 

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外翼は前縁が曲線を描いた独特の形です。白い翼端版は外翼に接着します。

飛行時はカーボンカンザシで中央翼と外翼をつなぐ方式です。

 

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外翼はOK模型製の軽量Eライトフィルムで被覆されています。
少し判りづらいですがエルロンのヒンジは翼上面側のテープヒンジです。
写真は下面側で、エルロンサーボを取り付けるハッチ穴が透けて見えます。
この部分のフィルムを切り取ってウイングサーボを取り付けます。

 

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尾翼は開き角度98度のVテールです。
写真の上が裏面、下が上面で両面赤色です。
上面側の中央補強材を接着する部分のフィルムは前もってカットしてありますから、工作時の手間も省けますし、翼の裏表を間違える事もないでしょう。

 

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尾翼のヒンジは上面側のテープヒンジです。写真は裏面を見たところです。
主翼の外翼同様、E-ライトフィルムで仕上げてありますので軽量化のための丸穴やコントロールホーン取付用の横長の溝が透けて見えますね。

 

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セットには胴体、主尾翼関係の主要パーツの他、日本語組立説明書、リンケージパーツ一式、ベニヤ製サーボベッド、ステッカーなどが含まれています。ですから、これまでご覧いただいたように本機は部品点数も少なく、当然工作個所も少ないので組立は簡単な部類に入ります。
これで競技会クラスの高性能機が出来上がるのですから嬉しい限りです。

前モデルであるパプリカ2に比べて主翼面積が同じで重量が1150gから880gに軽量化されたパプリカ3をぜひ飛ばされては如何でしょうか。

 

パプリカ3 箱開け(1)

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桜の開花宣言もちらほらと聞かれるようになり、春本番、まさにフライトシーズンに突入というこの頃です。
こちらの桜は当店の近く(大阪府東大阪市)の桜並木で今日2輪だけ咲いていた貴重な?桜です。

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さて、こんな時期こそ暖かい風に乗って大空を静かに滑空するグライダーを楽しんでみたいと思うのは私だけではないと思います。
そこで、今回はOK模型から最近発売されたパプリカ3の箱を開けてキットの中身をご紹介させていただきます。

機体の概略ですが、2mクラスグライダーの定番ともいうべきパプリカシリーズ3代目「パプリカ3」ですが、今回の「3」の最大の特徴は軽量化だそうです。
前モデルのパプリカ2と翼幅、主翼面積はそのままで、全備重量が1150gから880gと300g近く軽量化が図られています。
これは機体の軽量化→モーターの小型化、省電力→リポの小型化→全体の更なる軽量化、という良い循環のなせる業で、車でいえば今ハヤリのダウンサイジングという事になりますね。
もちろん主翼翼型や平面型の見直しで空力面の向上も見逃せ無いポイントです。
そのあたりを順を追って見てゆきましょう。

 

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全体は、いつものOK模型標準とでもいうべきもので、フィルム貼り完成済みの主尾翼、グラスファイバーのポッドとカーボンテーパーパイプを組み合わせた胴体、それにリンケージパーツ一式と日本語組立説明書、カラーステッカーと、シンプルな構成です。

上の写真はパワーユニットが同梱されていない「パプリカ3 ベーシック」ですが、これに推奨モーターと折ペラのセットが付属した「パプリカ3 DX」も発売中です。

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胴体はこのようになっています。
グラスファイバー製の胴体ポッドにカーボンテールパイプの組み合わせはOK模型の最近のグライダーの標準パターンですが、先代パプリカ2と大きく異なるのは、テールパイプがポッドに工場で接着済みという事です。
空力が命のグライダーにとって、主尾翼の取付角度を設計通りにする事が高性能を発揮するポイントであるのは皆さんご承知のとおりです。
ところが、パプリカのように胴体が前後2つに分かれている形式ではパイプの取付(接着)角度が狂っていると尾翼の取付角がかわってしまうので、性能が充分に発揮できないという事になります。

もちろん、ポッドとパイプが別パーツになっていた先代パプリカ2には組立治具が入っていましたので正確に工作が出来たのですが、「3」ではその部分の工作がまったく不要になったのが、大変嬉しいところです。

 

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キャノピーを取り外すと、メカ室が大きく口を開けます。後方の主翼下のスペースと併せると結構広いので、重心位置さえ合えばかなりメカの搭載の自由度は巾広いようです。

 

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こちらはカーボン製テールパイプの後端付近です。
Vテールのリンケージパイプ用の穴がきれいに開けられています。
ここも、ドリルやヤスリで開けるとなると、割れやすく気を遣うところですので、ここまで仕上げてあると大いに助かりますよね。

 

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こちらは推奨パワーユニットで、パプリカ3 DXに同梱されているものです。
モーターは新しいTahmazo ER-221912dで直径38mmのアルミターボスピンナー10×6折ペラの組み合わせです。
この組み合わせ、メーカーさんのデータではリポ3セルで 1,350g の静止推力を発揮するそうですから、880gのこの機体には十分すぎるパワーがあるという事ですね。

次回はグライダーの命ともいうべき主尾翼を中心に見てゆくことにします。

最後にお知らせです。
今回ご紹介しています「パプリカ3 DX」のメカ搭載済み完全完成機をトップモデルオリジナルとして発売中です。パプリカ3を飛ばして見たいが、組み立てる時間が無くて・・・・とおっしゃるかたは是非一度ご検討下さい。