なぜ、温度調節機能が必要なのか。

前回までは、現在取り扱っているフィルム貼り用アイロンの違いについてご紹介してきました。

VIPアイロンとE-アイロンの大きな違いとして、細かい温度調節機能の有無を挙げましたが、

なぜ、そんな細かい温度調節機能が必要とされているのでしょうか。

一番の理由は、フィルム、または同じフィルムでも色によって収縮温度やノリが効く温度が異なること。

ということで、手元にあった3種類のフィルムで、実際に検証してみました。

 
Test-2

今回の検証に使うのは、オラカバの赤、Aフィルム AF26ホワイト、それとEライトフィルム 透明パープルです。

オラカバ(以下O)の収縮温度についていろいろ調べてみると、だいたい150度で縮み始めるようです。

Aフィルム(以下A)とEライトフィルム(以下E)は、メーカーHPによるとそれぞれ色によって温度は多少違うものの、

Aが約150度、Eが約200度とのことでした。

 

Start

では、アイロンの温度を計りながら、ノリが効き始める温度、収縮し始める温度を調べていきます。

用意したフィルムをそれぞれ同じ大きさに切って、バルサの端材に貼ったり、アイロンの上に乗せてみたりしました。

Secchaku

すぐに剥がれてしまい、実用にはならないものの、ノリが効き始める温度は、Oが約60度、AとEが約80度でした。

Chijimi

それ以降、少しずつ接着力が増していき、150度程度からOとA、Eは190度あたりでようやく縮み始めます。

下調べしたとおりと言えます。

Better

そして、最もノリが効いているなと感じるのが、それぞれの収縮し始める温度よりも10~20度低い、130度(O、A)と180度(E)でした。

V1

つまり、フィルムを収縮させたい場合はOとAで140度以上、Eなら190度以上に設定してアイロンをあて、収縮させたくない場合はOとAで120~130度、Eなら170~180度に設定しておけば収縮しにくいというわけですね。

VIPアイロンの場合、およそ目盛りの表示通りの温度になってくれるため、そのような細かい設定も可能です。

しかし、E-アイロンのように細かい温度調節機能がない場合は、温度管理をほぼカンだけでしなければなりません。

E1平らなシューが好きな私は、以前まではE-アイロンのツマミを一杯に回しておき、Eライトフィルムはそのままで、オラカバなどは、少し湿らせたウエスを用意しておき、高温のアイロンをあてた後すぐにウエスで押さえて温度を下げるようにして作業していました。

それでも時々、主翼の後縁部分など、フィルムが縮みすぎて生地が見えてしまうという失敗を経験しています。

VIPアイロンType-Fを使えば、そんな失敗も格段に少なくなるというわけです。

オススメですよ。

VIPアイロンと、E-アイロン。

PILOT VIPアイロン 電子制御式 Type Fがラインナップに加わったことで、

OK模型から出ているフィルム貼り用アイロンは全3種類になりました。


E-r-f-2

左から、VIPのType-F、同じくType-R、PILOT e-アイロン サーモスタット式です。

Type-FとType-Rの違いは、前回ご紹介しましたので省略します。

今回は、VIPアイロンとEアイロンの違いです。

そもそも、なぜ「VIP」なのでしょうか。重要人物しか使ってはいけないのでしょうか?

実は、この「VIP」は、「Very Important Person」の略ではなく、

「Very Impressive Performance」という意味が込められているんだそうです。

つまりVIPアイロンは簡単に言うなら、「超感動性能アイロン」、「すごいアイロン」という意味なんですね。

その超感動性能とは、温度の電子制御機能。

つい最近、OK模型のTwitter公式アカウントでこんなツイートが。

Oktweet


V1

つまり、多少の個体差はあるものの、約65℃から約220℃まで、フィルムの特性などに合わせて好きな温度に設定すれば、正確にその温度を出してくれるというのがVIPアイロンの最大の特長という訳なんですね。

E-アイロンにも、全く温度調節機能がないというわけではありません。


E1

このツマミで、「L」から「H」までの温度調節が可能です。

しかし、温度を細かく正確に出すというわけではありません。

シュー部分を開けて中を見てみると


E3

このような構造になっています。電子回路はどこにも見当たりません。

VIPの方はそれぞれ、


V2←Type-R



V3←Type-F

シュー内部はヒーターがあるだけで、持ち手部分内部の基盤に制御回路が組み込まれています。

それが、価格の違いなんですね。これも、お好みに合わせて、お選び下さい。

 

では、なぜ、「細かい温度調節機能があったほうが良い」とされているのでしょうか。

それは、また次回にご紹介します・・・^^

→なぜ、温度調節機能が必要なのか。

Type-F、登場。

先日から当店で取り扱いを開始しましたPILOT VIPアイロン 電子制御式 Type F


TypeF

従来のPILOT VIPアイロン 電子制御式 Type Rと、一体何が違うのでしょうか。比較してみましょう。


IMG_0029-1

左がType-F、右がType-Rです。

並べてみて、見た目ですぐわかるのが、「匠」なるシール?が貼ってあること、もち手の部分は同じであること、Type-Fのほうが少し短いことと、木製のパーツが付いていること、ですね。

シューの形状は、どんな違いがあるのでしょうか。

まず、Type-R。

R-1
R-2

次に、Type-F。

F-1
F-2

Type-Rは、アールの付いている部分が多く、Type-Fは、平らな部分が多いですね。

多分、Type-FのFは「Flat」の頭文字なんでしょう。

私はこのフラットタイプが好きで、個人的にフラットな部分が多いシューは、フィルム貼りの際、角の部分をシャープに仕上げるのがより楽だと思っています。

これが大きな違いの一つですね。

もう一つの大きな違いが、「作業性」とのこと。重心位置が違っているので作業がしやすくなっているそうです。

では試しに、重心をチェックしてみます。


R-3

Rのほうは、この辺り。


F-3

Fは、この辺りです。

持ち手部分からの距離は、ほぼ同じ位置ですので、同じ重心位置のように見えるかもしれません。

しかし、


R-n-f-1

これだけ長さが違う上に、実際に作業することを考えると


R-4

Rはここから先は大変熱くなって持てないのに対し


F-4

Fは、シューにかなり近い位置で持てるように、木製パーツで保護されています。

RとFは、製品自体の重量はほぼ同じなのですが、実際に作業してみると、Fの方が重心に近い位置を持って作業できるため、かなり軽く感じるんですね。

Type-Rの独特のシュー形状がお好きな方は、どうにか工夫して、もっと先の方を持てるようにしてみてもいいでしょう。

VIPアイロンの特長である、

R-n-f-2

約100度~200度までの正確な温度調整機能。これはどちらにも搭載されています。

このVIPアイロンで、どんなフィルムも、どんな生地完も、ドンと来い!です。

 

Type-Rと、Type-F。お好みに合わせて、選んでくださいね。

 

関連する次の記事へ
→VIPアイロンと、E-アイロン。

 

サマーセールも残り3日とちょっとです。

特価商品のラインナップ、実は少しずつ増えていました。お気づきでしたか?

まだチェックされていない方、お急ぎ下さい^^

スーパー?ウルトラ?その2

では、「スーパーマイクロバルーン」と「ウルトラマイクロバルーン」の特性を、もう少し詳しく見てみましょう。

使用用途の一つに、エポキシ系接着剤に添加して、軽量化を図るというものがありますよね。

その際、「スーパー」と「ウルトラ」どちらを選ぶかで、接着剤が硬化した後の特性が変わるんです。

実際に検証してみましたので、動画をご覧ください。

 

いかがでしたか?

改めて、検証の内容を書いてみます。

使用接着剤は、コニシボンド クイックメンダー30(2液式のエポキシ系接着剤)です。

採用した理由は、手短にあるエポキシ系接着剤の中で一番硬くなり、検証結果が最もわかり易かったため。

接着剤のみ、「スーパー」入り、「ウルトラ」入りの3種類を、それぞれプラスチック板に載せて硬化させます。

完全硬化後、プラスチック板を曲げて、それぞれの場合の弾性を見ます。

はじめに、主剤0.5g、硬化剤0.5gの1:1のみを硬化させた場合。

手短なもののうち、最も硬くなるとはいえ、ある程度の弾性があります。

次に、主剤0.5g、硬化剤0.5gに、スーパーマイクロバルーン約1ccを添加した場合。

最後に、主剤0.5g、硬化剤0.5gに、ウルトラマイクロバルーン約1ccを添加した場合。

「スーパー」は、割れてしまいましたが、「ウルトラ」は、割れませんでした。

 

これは、割れなかった「ウルトラ」が単に優れているというわけではなく、

「スーパー」は硬さを出したい場合に、「ウルトラ」は弾性を保ちつつ(感覚的には向上しているようにも感じます)、軽量化を図りたい場合に使うことで、

それぞれの特性をより発揮させることができるんですね。

例えば、グラス胴のモーターグライダーのモーターマウントなら「スーパー」、サーボマウントなら「ウルトラ」といった使い分けがお勧めです。

 

スーパー?ウルトラ?その1

OK模型のマイクロバルーンは、エポキシ接着剤の軽量化のために混ぜて使用したり、接合部の補強のために、ふりかけてから瞬間接着剤を流したり、という使い方をします。

現在発売されているのは、「スーパーマイクロバルーン」「ウルトラマイクロバルーン」の2種類です。

Baloon1

今回は、この2つの違いを紹介してみようと思います。 

まずは、質感、流動性を見ていただこうと動画をとってみました。

はじめに、「スーパー」です。

 

特に振ったりしなくても、サラサラと流れています。

続いて「ウルトラ」。

 

詰まってしまうのか、振っても出て来ません。ボトルを押して、やっと「ボフッ」といった感じで出てきます。

空中に舞う様子は見られますので、「スーパー」よりは軽いのでしょうが、これでは「ウルトラ」の方が流動性が良くないように見えます。

 

メーカーに聞いてみたところ、「スーパー」は微粒子のガラスのバルーン、「ウルトラ」は超微粒子のウレタンのバルーンだそうです。

つまり、ウレタン製の「ウルトラ」は、静電気が発生してまとまってしまい、流動性が損なわれているのかもしれませんね。

 

次は、重量を比べてみます。

まずは、「スーパー」

Super-weigh

7.4gです。もちろん、ケースの重量は予め引いてあります。

同じ容器に、「ウルトラ」を入れて量ってみると・・・

Ultra-weigh
なんと、1.5gと出ました。これでは半分どころか、4分の1以下の重量です。

まだ空気を沢山噛んでいるのでしょうか。それにしても軽いですよね。

比べてみた結果、「ウルトラ」の方が一見流動性が良くないように見えるものの、重量はかなり軽いことが確認できました。

かといって、「スーパー」の方が劣っているというわけでもありません。

この2つは、使い分けをすることで、さらにそれぞれの特性を活かすことができるのです。

その使い分けは・・・次回にご紹介しますね。

その2へ