TOPMODELマルチコプター レビュー その(4)

トップモデルマルチコプターレビューシリーズ、始める前はサラッとキットのご紹介で終わるつもりでしたが、セットの内容をご紹介がてら組立を始めたところあまりに簡単に組み上がってしまったので、とうとうフライトまでご紹介することになってしまいました。

前回は狭い場所で軽くホバリングをして消費電流やフライトコントローラーの動作確認などを行いましたので、いつも飛行機を飛ばしているフィールドに出かけてフライトさせることにしました。
基本的なセッティングは出来ていますので特に問題なくフライト出来ました・・・・・・

03-02-3

 

と、言いたいところですが、そうはいきませんでした。
当日は背景の竹のなびき具合でお判りになるようにかなりの風が吹く、初飛行にはツライ天候になってしまいました。

0302-2

 

同時に飛行させたGPSと高度センサーのついた機体は自分で位置を修正してくれるので比較的落ち着いて飛んでいましたがこちらはそうはいきません。風に流されない様に風上方向に傾けてないと定位置に静止しません。それでも比較的落ち着いた舵の効き具合でしたので何とか姿勢をコントロールし、ラダー、エルロン、エレベーター、それにスロットルの感覚を確認し、短時間ですが無事初飛行は終了しました。

  

 

その後数フライトをこなし、最後にヘリは飛ばした経験があるがマルチコプターは初めて、という方に飛ばしていただきました。最初はスロットルの扱いに少し戸惑われていたようですがすぐに慣れて、強風の中、飛行というかマルチコプター独特の感覚を楽しんでいただきました。

この機体は、何度も繰り返すようですが、手軽にマルチコプターにチャレンジしていただくことを第一にしていますので、複雑なシステムやセンサーは付いていません。ですから機体の製作やセッティングは超簡単ですが、そのかわりパイロットにある程度の飛行技術が要求されます。ですから不慣れな方の初飛行は出来るだけ無風の日を選ぶとか、先輩に助手をしていただく必要があるかと思います。

順序が逆さまになりましたが最後に、飛行前に行うキャリブレーション(誤差の補正)の方法とモーターの運転、停止の様子をご紹介しておきます。

まず、キャリブレーションには2つあります。1つは使用するプロポのニュートラル位置(スロットルは最スロー)を正確に認識させるための「送信機のキャリブレーション」で、その様子を動画でご紹介します。

 

 

もう一つは機体に正しい水平位置を認識させる「センサーキャリブレーション」です。

 

 

次は、飛行させるためにモーターの運転を開始する「アンロック」操作の方法です。

  

 

以上、トップモデルのクワッドコプターF450のご紹介をしてきました。
当社では補修パーツも充分取り揃えてマルチコプター入門者の皆様のお手伝いをさせていただいています。
また、F450はベーシックな「素材」という一面をもっていますので、今後改造をしたりグレードアップを図ったりする様子を後日ご紹介させていただく予定ですので、ご期待ください。

長らくお付き合いいただいたマルチコプターシリーズは一旦おしまいにし、次回はモーターグライダー「バニラ」のキット紹介をさせていただきます。


TOPMODELマルチコプター レビュー その(3)

新しくTOPMODELオリジナル商品の仲間入りをしたマルチコプターF450、セットの概要と特徴などを前2回でレポートしましたので、今回はモーターやプロペラ、スピードコントローラーなどを総合したパワーユニットについて、少し突っ込んでご紹介することにしますね。

0224-0

上はアームに取り付けたパワーユニットの様子です。
左奥が付属のアンプ、手前はモーターで、これに10×4.5のカーボンプロペラが付きます。モーターのスペックは外径28mm、ステーターは直径22mmで長さ12mm、KV値は1200です。このモーターとプロペラの組み合わせでどれくらいのパワーが出るのか皆さんにも興味のあるところでしょう。

 

0224-2-1

実際にフライトさせるテスト機のバッテリーやコントローラー、受信機などはこんな配置にしてみました。
ここで、黄色の矢印の先に注目です。これはJRプロポから発売されている電流計測のテレメトリーセンサーです。今回はこれを使って飛行中の動力系統の電流を計測してみる事にしました。電流値が判ればアンプやバッテリー、モーターなどへの負荷の度合いが判りますし、飛行時間を推定する元データも得ることが出来ます。

 

0224-3

当店テスト機を屋外に持ち出しました。セット付属のコントローラーは、送信機でモーターのロック解除操作をするとアイドリング状態でモーターが回転するようになっています。

 

0224-4-1

この時の電流は1.40Aという事が送信機のディスプレイに表示されました。
もちろん運転状況に応じてこの数値は刻々と変化するのですが、このシステムによってリアルタイムに上空の機体の状態を把握することが出来るできる訳です。
いやー、今更ですが便利な時代になったものですね。
ところでアイドリング時の1.40Aという表示ですが、コントローラーや受信機に流れる電流も含めてシステム全体に流れる電流値です。モーターを回す前は0.5Aと出ていましたので、アイドリング回転時にモーター4基に流れる電流は合計0.9A、1個当たりは約02Aになります。当たり前ですが全く問題ない数値です。

 

13A-1

 さて、スロットルを上げて目の前で停止(ホバリング)させてみました。少し苦労しましたが何とか機体をじっと停止、ホバリング時の電流値は?という事でディスプレイを見ますと13.10Aと表示されていました。モーター1個当たり3.25Aです。1150gの機体が空中で停止しているわけですから、重量に見あう推力が出ていることは間違いありません。それでは、フルパワーにしたときにはどれだけの推力が出るのかって?それはこのシステムでは判りません。
で、次の装置の出番になるわけです。

 

0224-1

これは当店でも取り扱っているTahmazoのスラストメーター、つまり推力計です。
これにF450のモーター、プロペラ、バッテリー、アンプを装着して運転すると、前に進む力、すなわち推力が測定できます。これに電流計とTahmazoレーザータコメーター(回転計)を別に準備してテストをしてみました。

まず、屋外で測定したホバリングの状態、モーター1基あたりの電流3.25Aの時の推力と回転数をチェックします。3.25Aに電流を合わせて運転するのはなかなか至難の業で、結局測定できた値は電流3.0Aで推力275gと出ました。モーター4基換算で12A、推力1100gになる勘定です。何と、ほぼ屋外での実飛行とぴったりの数値が出ました!ちなみにその時のプロペラ回転数は4600回転/分でした。

次に、このユニットをフルパワーで回せばいったいどうなるのか、ということでスロットルをフルハイにしてみました。
室内で回すと結構な風量と音にちょっと腰が引けます。結果は13.3Aで推力780g、4基合わせると53.2A、推力3120gになります。理論上は自分の重量を差し引いた2kgのものを持ちあげることが出来るという値です。当ショップで販売しているカメラジンバルは210g、これにカメラ約80gを搭載しても全く問題ないことは実証されたかたちです。この時の回転数は7720回転/分でした。

今日はずいぶん長くなって申し訳ありませんでした。
次回はコントローラーの調整方法やフライトの様子をお伝えする予定です(空模様と風次第ですが・・・・)。
ぜひお付き合いください。

 

 


TOPMODELマルチコプター レビュー その(2)

新しくTOPMODELオリジナル商品の仲間入りをしたマルチコプターF450、前回はセットの内容をざっとご紹介させていただきました。

今回はこのモデルの一番の特徴であるフレームをご紹介させていただきます。

1217-1
 
これはフレームにモータースピードコントローラーを取り付けたところですが、ご覧のようにフレームは4本のアームの端を上下2枚の基板の間に挟み込み、ビスで固定する構造になっています。アーム1本を6本のビスで基盤に取り付けていますのでアーム4本で合計24本ですね。ネジ24本を締めるだけでフレームは出来上がり。次にモーターを4本のネジで止めます。こちらはアーム4本分で16本です。
しめて40本のネジを締め付けるだけ、それこそあっという間にほぼ形になってしまいます。

 

1217-2

フレームが簡単に組み上がるのと併せて、動力用配線にプリント基板方式を採用しているのも大きな特徴です。これは下部基盤です。この中に配線が仕込まれています。

 

1217-3

配線は超簡単。写真のように指定のポイントにバッテリーやスピードコントローラーのリード線をハンダ付けするだけです。コントローラー1個につきプラスとマイナスが1本ずつですから、合計8カ所、バッテリー用の配線が2カ所、全部でハンダ付け10カ所で電気関係の工作は終了です。基盤にはプラス、マイナスの表示がしてありますのでプラスに赤線、マイナスに黒線をハンダ付けすることで間違いなく配線できます。本当にシンプルで、配線作業は楽々です。なお、実際の作業ではフレームを組む前にハンダ付け作業を済ませておきます。

 

1217-4

出来上がりはこんな具合です。
嘘のようにすっきりしていますね!中央の2本はバッテリーにつながる線です。普通なら結構太い配線がフレームの中を這いまわって見苦しいばかりか、接続箇所も多くなり、トラブルの火種を抱えることになりかねませんが、F450のプリント基板方式ではそんな事もなく、また点検作業も容易です。

どうですか、トップモデルオリジナルF450が短時間で簡単に組み上がる理由がお判りになったでしょうか。
六角レンチや半田ごてなどの工具の用意さえ出来ていれば、そしてあなたが電動ラジコン組み立ての経験があれば、2時間もかからずに組み上がるということに納得されたと思います。

あっ、工具ということでお伝えしておかないことがあります。
それは、このキットには六角レンチなどの工具類は一切入っていないという事なんです。"(-""-)"申し訳ありません。

ということで(どういう事でや!!と突っ込まないでくださいね)、F450の発売と同時に「TOPMODEL 工具セット」を発売致しました。マルチコプターだけでなく模型製作の色々なシーンに使える、便利ツールセットです。ぜひ一度ご覧ください。
Toolbox

 さて、次回はF450のモーターやプロペラなど、動力関係のレポートです。気になるパワーユニットの消費電流やプロペラの回転数、そして推力などのデータも調べてみたいと思いますのでご期待下さい。

 

 


TOPMODELマルチコプター レビュー その(1)

皆さんすでにご存じかと思いますが、先日から当店ではTOPMODELオリジナルマルチコプターの取り扱いを開始しています。

最初の製品は向かい合うアームの端から端までの寸法が450mmのクワッドコプターです。

4本アームのFourと450mmを組み合わせてF450という名前にしてあります。

1-F450-800

セットに入っている主なパーツはこれからご覧いただくように僅かな点数ですから、ハンダ付けも含めて数時間あれば形は出来上がってしまいます。

まずはメインとなるフレームのパーツです。2枚のプリント基板と4本のアーム、そして取付ネジ、これだけで構成されています。

2-1-FRAME800

 

別売のカメラジンバルなどを取り付ける際に必要となる外付けの脚も入っています。

2-2-800

 

モーター、アンプ、カーボンペラなどの動力関連パーツ。4組入っています。

3-power800

 

マルチコプターの心臓ともいえるコントローラー。基本機能に絞り込んだ分、パソコンを使わずシンプルに設定出来ます。大きさは横43mm、縦30mmです。

4-1FC-800

 

どうです?ヘリや飛行機のキットと比べると格段にパーツ数が少ないですよね。

 このモデルは、とにかくシンプルに、かつ導入コストを低く押えてに、手っ取り早くマルチコプターのフライトを経験してみたいというかた、特にラジコンヘリや飛行機の経験があるモデラー向けの製品です。

動画撮影などを前提にした高価で高度な機能を持ったモデルとは異なり、GPSや高度センサーも装備していませんので、操縦はマニュアルで行います。ですからワンタッチで離陸地点に帰投するゴーホーム機能などはありませんが、その分設定はシンプルで、パソコン等を使う必要はありません。

とにかく自分の体でマルチコプターの基本的な操縦技術や理屈をマスターしたい、という方にぴったりのモデルです。

当店ではスペアパーツはもちろん、カメラを搭載するジンバルも取り揃えていますので練習を重ねて動画撮影なども行っていただけます。また、機体や動力はそのままで、コントローラーだけをGPSなど高度な機能がついたものに取り替えることも可能です。

個々のパーツについては、次回以降もう少し詳しくご紹介していきますのでお付き合いくださいね。


オリンピア 胴体を見る(2)

前回、グライダー大会観戦記でお休みしましたが、再びオリンピア箱開けシリーズに戻ります。

初めてバルサキットに挑戦するモデラーのための飛行機という事で、設計者の気遣いやこだわりをあちこちに見る事が出来るオリンピアですが、今回は胴体のプランク(板張り)について見てみましょう。

(その1)で見た通り、胴体はほぼ完成しているのですが、胴体の上面と下面にベニヤ板やバルサ板のプランク板を貼る作業が残っています。

0202-0

プランク作業で注意することは、胴 体に貼るバルサのプランク材は加わる力の向きの関係で木目を胴体の縦方向(進む方向)に対して横方向にしなければならないんです。一枚の長い板をべったりと貼るのでなく、一枚一枚を貼る場所の胴体の幅に合わせてカットしなければならないんですね。当然オリンピアのレーザーカット部品もそのように一枚づつ幅が変わっているんですが、ここから先に一工夫があります。

 

0202-1

こ れがレーザーカットされたオリンピアのプランク板です。当然のことながら、それぞれのパーツの幅が違っていますよね。そして、よく見ると、前後の端が直線でなくジグソーパズルのように異なった形に レーザーカットされているのがお判りでしょうか。この形を合わせながら板を貼ってゆくことで、貼る順番を間違わずしかも歪まずにきっちりと貼ること が出来るんですね。

0202-4

組立説明書はこんな具合です。ここで、よく見ると上面のジグソーパズルの線は直線の組み合わせで、下面の組み合わせは曲線の組み合わせになっていますよね。

 

0202-6
実物はこんな具合です。手前が直線で上面用、奥が曲線で下面用です。こうすることで、同じ幅の所でも上下を間違えたり上か下か考える必要が無くなるはずです。
ちょっとした気配りというか、設計者の遊び心が感じられるところですね。

胴体からは外れますが、同じプランクということで主翼中央部分はどうなっているかというと・・・

0202-5

一枚づつ合わせ目の切り欠きの形を変えてありますね。これなら前後を間違えることなく作業が出来ます。それと細かいことですが、左右のプランクの突合せ面、一見直線のように見えますが実はここは翼の上面のカーブと上反角の加減で微妙にカーブを描いた形になります。ここをピッタリと合うように削るのはベテランモデラーでも苦労するところなんですが、オリンピアの場合はそのような形に初めからレーザーカットされていますので、多分ほとんどの方は気づかずに作業を終わられると思います。なかなか奥が深いですね。

 

と いう事で、4回にわたって「半生地完成キット」というあまり聞きなれないパターンの機体「オリンピアの中身を見てきました。箱を開けてざっと見ただけで も、正確に組まなければならない箇所や組立が難しい部分、そして不慣れな方が間違えやすいところがすでに出来上がっており、残った部分もこれまでのキットになかった工夫がされていますので、初めてバルサキットに取 り組まれる方にはうってつけの機体が現れたとの印象を受けました。
また、メーカーからはこのオリンピア専用のフィルムセットも発売されましたので、そちらもどんなものか近いうちにレビューを掲載したいと思っています。

 

F450-800

さて、次回はトップモデルが販売を開始したマルチコプター「TOP MODEL F450」をご紹介させていただきます。