エンジンのブレークイン。

前回、前々回と、エンジンテストベンチやテストベンチ台についてご紹介してきました。

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今回は、エンジンのブレークインについてお話ししようと思います。
ブレークインを一言で言うと、「慣らし運転」です。
新品のエンジンを最高の状態まで仕上げるためには、慎重なブレークインが不可欠です。必ず行ってくださいね。

具体的には、焼きつかないようにじっくりエンジンを回しこんで、エンジンにアタリをつけることを言います。(アタリについては後述します)

その為に、プロペラは、エンジンに大きな負荷をかけないために、ブレークイン用のプロペラを選んで使用します。
今回テストベンチに積んでいる「FA-72」ですと、「12x8」(エンジンの諸元表参照)がブレークインプロペラになります。
お持ちのエンジンの諸元表を参考に、適切なものを選んでください。

以下は私が基本としている方法です。参考にしていただければと思います。
初めに、ニードル全閉状態から3回転開けて、甘め(濃いめの混合気)になるようにしてからエンジンを始動させていきます。
PILOT ポケットブースターDPILOT ポケットブースターAでプラグを熱して、スターターでエンジンを始動させます。
その際、高速回転しているプロペラに近づいたり手を触れたりしないように十分気を付けてください。プロペラの素材に関わらず、大怪我の原因になり大変危険です。

あとは、回転数が上がり過ぎないように、そのまま甘め(濃いめ)でじっくり回していきます。
スロットルは、始めのうちは中スローで様子を見てもいいと思いますが、基本的にフルスロットルで行います。

とにかく注意しなければならないことは、混合気を薄くしない=ニードルを絞り過ぎないこと。
そして、オイル量が多めに(できれば20%以上)入った燃料を使うこと。
混合気が薄かったりオイルが少ないと、エンジンの温度が上がり過ぎ、エンジンが焼けついてしまいます。

燃料でおススメなのは、オイルが23%入っているモーガン クールパワー ニトロ30%。本来ブレークインするのにニトロは要りませんが、当店では現在超特価で販売中ですので、おススメさせていただいています^^
この燃料はニトロの混合率が多いため、クールパワーの名の通り燃焼温度が低く、オーバーヒートしにくいのが特長です。

何度も言いますが、とにかく、じっくりと慎重にエンジンを慣らしてやることが肝要です。そうすることで、アタリの付いたエンジンに仕上がっていくんですね。

ところで、「アタリがつく」という表現はエンジンの話をするときによく使われる表現です。でも初めは何のことかわかりませんよね。
新品のエンジンは、もちろんピストンとシリンダーがぴったり合うように設計されていますが、ごくごく微妙なズレやゆがみ、凹凸があるものです。そのごく微妙なズレがあると、圧縮が上がらなかったり摩擦抵抗が大きく、パワーロスになったり、エンストを起こしたりします。
じっくりブレークインをして、じっくり擦り合せてやることで、ミクロの単位までぴったりと合わさって、摩擦抵抗が少なくなり、圧縮がしっかりかかることで、パワーが出て、最高のパフォーマンスへと近づくんですね。それが、「アタリのついた」エンジン、というわけです。逆に、最初から過負荷にしたり絞って薄いめで高回転域で回すなんてことをすると、キズや焼き付きを起こしたり、エンジンの寿命が無駄に短くなってしまうんです。
より長く楽しく飛ばすために、じっくりエンジンのアタリを付けるようにして頂きたいものです。

そうしてアタリをつけ、中低速域で安定して回るようになったら、ベンチでのブレークインは一応完了といえます。
あとは、機体に積んで、甘めで飛ばしこんで、様子を見ながらニードルを絞り、ピークが出るようにしていきます。
そうすることで、徐々にパワーアップやレスポンスの向上を実感することでしょう。

 

Break-in-2
ちなみに・・・今回は、燃料タンクからの配管にPILOT シリコンチューブ 2色各1m(ピンク・ブルー)を使用してみました。たとえば写真のようにピンクは燃料の通るチューブ、ブルーはマフラープレッシャーに、というように、用途によって色分けしておくと、分かりやすくていいですね。

ブレークインについては以上です。
何かご質問などがございましたら、コメントでもお問い合わせでもお気軽にどうぞ。

次回は、少し前にご紹介した「PILOT サーチ娘(さーちこ)」について、すこし踏み込んでご紹介しようと思います。