VIPアイロンのシュー交換(前編)

1

フィルム貼りに欠かすことのできない小型アイロン、中でも当店が取り扱っているOK模型製のVIPアイロンは軽くて扱いやすく、温度設定が自由にできるというので私も愛用している逸品です。写真は私が長年愛用しているVIPアイロン TYPE-Rです。

このアイロン、長年使っているとテフロン加工が摩耗してきたり、不注意で裏面に傷がついたりすると、フィルムに細かい傷がついて仕上がりが見苦しくなってしまいます。
そんな時のために交換用のアイロンシューが販売されていますので、その交換方法をご紹介します。

 

2

長年使っていると、このようによく当たる部分のテフロンコートがすり減ったり傷がついたりします。

 

3

最初に、矢印の4カ所のネジを外して古いシューを取り外します。
ここはタッピングタイプのネジで止まっていますので、かなり力を入れて戻さないと駄目です。

 

4

中はこんな感じです。
コードにあまり余裕がありませんので、無理をせずに写真のように拡げることが出来る位置を探してください。

 

5

まずセンサー止めビスを外します。
センサーを止めている部分のアップです。
複数のパーツを組み合わせているのはここだけです。外す前のセンサーコードの向きと部品の組み合わせ順をよく覚えておいて下さい。
次に先端の「ビス1」を外して押え板を外すと、押え板の下のヒーター(白銀色の部分)がシューから外れます。

 

6

分解したところです。アイロンがVIPアイロン TYPE-Rですから、シューはPILOT V.I.Pアイロン Type-R用交換シュー になります。

次回は交換シューの説明と、再組立ての説明をさせていただきます。


アイランドブリーズ箱開け(番外編)

0-600
これまで3回にわたってセットの中身を見てきたOK模型のアイランドブリーズ
すらりと伸びた楕円形の主翼にフラップを装備したマイルドな飛行性能で、どちらかというと低翼入門者やのんびりフライトがお好みの中級フライヤーがターゲットかと思われます。

ところが、その優しい飛行性能が組立にもそのまま通用するかというとどうもそうではないんですね。
数多く機体を作った方ならともかく、初めてガソリンエンジンを使われるかたや初めてフラップ付の機体を組み立てる、というようなかたには戸惑われる部分もあるかと思います。

そのような方のお役に立てばということで、今回はいくつかのポイントを説明させていただく事にします。

1-600
まずはエンジンまわりです。

これはガソリンエンジンに限った事ではないのですが、写真のようにエンジンのスロットルアームと防火壁(第一胴枠)が近い場合、スロットル(エンコン)プッシュロッドをUターンさせないとロッドの動きがしぶくなってしまいます。
この部分の工作ですが、ループプライヤーを使うときれいにU字型に曲げることが出来ます。ちょっとしたことですが、きっちりと仕上げたリンケージはいつ見ても気持ちがいいものです。

また、FG11のスロットルのストロークですが、アイドルはかなり開いていないと安定してアイドルしません。
それにFG-11の下半分の反応は良くないのでエキスポをかける必要もあるみたいです。

なお、FG-11の排気管は、少し曲がっているのでこれは後ろ向けずに外へ向くように固定します。
こうすれば、カウリングを被せた後、マフラーが取り付け可能になります。

3-600
ところで、ガソリンエンジンにはグローエンジンにない装置が必要になります。

その一番手がエンジンのプラグに火花を飛ばすイグニッションユニットで、これは写真のようにタンクの前、第一胴枠の後側に写真の様に取り付けます。

燃料タンクは、薄いスポンジを敷いてベルクロで固定、その時にオンボードタコメーター用のコネクタ(イグニッションユニットから出ています)も止めておきます。
このタコメーター、機体に取り付けたままにするのでなく、エンジンを調整する時だけキャノピーを開けてこのコネクタに挿してエンジンの回転数をチェック、飛行時には取り外しておくという使い方を店主はしています。

次にリモートキルスイッチ、これもガソリンエンジン特有のもので、送信機の操作でイグニッションユニットの電源をON/OFFするものです。機体に手動のスイッチを取り付ける方もおられますが、飛行終了時や緊急時に送信機の操作一つで即座にエンジンを止めることが出来るスグレモノです。
安全のためにもぜひ装備したいもののひとつだと思います。

また、タンクの配管は3本配管で給油用のチューブは写真のような位置に配置します。
こうすることで、ガソリンの給油はキャノピーを開けて行い、飛行時には給油パイプを胴体の中にしまっておくことが出来るので、外に余分なパイプが露出せずスマートですね。

 

2-600
受信機バッテリーとイグニッションバッテリーは共用にしています。店主は2.4GHz帯のプロポ装置を使っていますが、これで問題なく使えています。

使用するバッテリーはリポ3セル(11.1V)、1000mAhのタマゾー受信機用リポバッテリーLP-3S1000RIG。これをカンザシとタンクの間に立てて搭載しています。こうすると場所を取らずに良いですよ。

更に、リポバッテリーはレギュレーターSVR3-6Vを使って出力電圧を6Vにしています。
この写真では見にくいですが燃料タンクの横の側板にとりつけてあります。

イグニッションユニットは受信機の空きチャンネルからリモートキルスイッチを介して電源を取ります。

受信機はサーボの前に斜めにマウントを作って縛っています。こうすることで、受信機から延長コードを出さずにエルロン、フラップのサーボコードを直接受信機に挿す事が出来ます。

使用する受信機ですが、フル装備だと最低8チャンネルの受信機が必要になります。
内訳はエルロンx2、フラップx2、ラダー、エレベーター、スロットル、リモートキルスイッチです。

5-600
アイランドブリーズの組立の中で、戸惑う人が多いのはエルロンとフラップのリンケージではないかと思います。
写真は主翼裏面(下面)のサーボ搭載部分を見たところです。
ピアノ線のプッシュロッドが主翼の上面を貫通してコントロールと繋がることになります。

前々回、2月1日の当ブログで図面を使って説明しましたように、下から上に主翼を貫通するリンケージ方式になっています。
ここで使うサーボはタマゾーTS-D1022MGが指定されており、それ用のマウントがキットに付属しています。

5
最後にこの写真ですが、プッシュロッドガイドホルダーはこんな感じでサーボベッドに接着します。
セットに付属している組立説明書の図では少し判りずらいと思いますので掲載してみました。

また、オンボードリポメーターは、受信機/イグニッション用電源リポバッテリーの残容量を見るためのものです。
リポバッテリーとレギュレーターを使用した電源システムの場合、受信機/イグニッションにはレギュレーターで調節した6Vの電源が常に供給されます。
ですから今まで通り受信機側で電圧を測定しても変動がほとんど無く、肝心のバッテリーの残容量のチェックが出来ないのです。
そのため電源となるリポバッテリーの電圧を見るオンボードリポメーターが必要になるという訳ですね。

初めてガソリンエンジンに挑戦されるかたもターゲットにしている機体という事で、ガソリンエンジン関係パーツの説明が多くなってしまいましたので、大変そうに思われたかも知れません。
確かに最初は戸惑いがあるかもしれませんが、それでも燃費の良さ、燃料の安さなどガソリンエンジンを使うメリットは大変大きいのではないでしょうか。

間もなく、待ちに待った春のフライトシーズンに入ります。
アイランドブリーズとSAITO FG-11ガソリンエンジンの組み合わせで、静かに、ゆったりと、しかも燃料代を気にすることなく思い存分フライトを楽しんで頂きたいと思います。


アイランドブリーズ箱開け(3)

OK模型「アイランドブリーズ」の箱開け3回目、付属パーツを見ていくことにします。

1
まずはメインギア関係ですね。
高価なカーボン製のメインギヤを奢っています。
そしてクラシカルな雰囲気を出すためにホイルスパッツ(タイヤカバー)を装備しています。

 

2
カーボンメインギアを拡大してみました。
写真の上が裏面、下が上面です。
アームが直線ではなく、軽く湾曲しているのがお判りになるかと思います。
このメインギアを機体に取り付けると、胴体からまっすぐ生える(?)のではなく、タイヤが少し後方に付く感じになります。
また、写真でわかる通り、軽く下に湾曲し、着陸時の衝撃を緩和する形になっています。

 

3
メインギアもさることながら、テールギアも贅沢な作りになっています。
尾輪式のスケール機、それもパイパーカブなどの軽飛行機に多用されているタイプで、右のT字金具をラダーに取り付け、そこからスプリングで尾輪のコントロールホーンに連結して尾輪の向きを左右に動かすタイプです。
このあたりにも、のんびりゆったりとフライトを楽しむ本機のコンセプトが現れていますね。

 

4
燃料タンクはガソリン用が同梱されています。基本がSAITO FG-11ガソリンエンジンとなっていますので180ccと小ぶりになっています。燃費の良いガソリンエンジンですからこれでも20分以上のフライトが可能です。
但し、グローエンジンの搭載を考えておられる方はもっと大きなタンクを別にご用意いただく必要がありますね。

スピンナーはOK模型で市販されているABスピンナー63mm白が入っています。これも国産完成機ならではの贅沢ですね。

 

5

以上が主な付属パーツです。
あとは写真のようなリンケージパーツ、レーザー加工されたベニヤ製のサーボベッドなどのパーツ、プラスチック成型品のコントロールホーンカバー、そしてカラフルで大きなステッカーが入っています。

随所に国産ならではのこだわりと贅沢なパーツを使用した優雅なスタイルの「アイランドブリーズ」
穏やかな春の一日、ゆったりとした気分でフライトを楽しまれては如何でしょうか。

さて、次回はこのアイランドブリーズの箱開け・番外編として、メカ積みのちょっとしたコツなどをご紹介することにします。
組み立てる場所がほとんど無いARFとはいえ、ちょっとしたことがメカのスムースな動きや見栄えに大きく差が出るものです。
ぜひ目を通していただけたらと思います。


アイランドブリーズ箱開け(2)

 1Wingpanels

 OK模型の10ccクラスガソリン機「アイランドブリーズ」の箱開け2回目は主翼、尾翼周りを見てゆく事にします。

この機体の最大の特徴は、何といっても楕円形ですらりと伸びた美しい主翼にあります。
この楕円翼は美しい反面、曲線、曲面が多いため組み立てやフィルム貼りは難しく頭が痛いところですがは、キットはフィルム貼り完成機ですから、そんな心配はいりません。
主翼の構造は一般的なリブ組にオールバルサプランクになっています。
写真では上が裏面、下がオモテ面です。

 

2R-wing
この機体は見た目のとおり、のんびり、ゆったりとフライトを楽しむ事をイメージして設計されているとのことで、翼幅(スパン)が大きい主翼にはエルロンのほかにフラップも装備されています。

 

3Flap
このフラップは大きく下にさがるのですが、下側(翼裏面)にテープヒンジで取り付けることで大きく無理なく動かせると共に、翼下面に隙間が出来ず、フラップを上げた通常の飛行状態では翼上面との間にも隙間が出来ずスムースに空気が流れるようになっています。
フラップの奧(翼端側)についているエルロンもテープヒンジで同じように取り付けられています。

翼型はスポーツ機という味付けから、半対象になっています。

 

4Linkage
主翼のヒンジが下面側でテープ止めという事ですが、エルロンとフラップのリンケージも珍しい方式になっています。
組立説明書の一部を借用して説明させていただきますが、図のようにサーボは一般的なエルロン(フラップ)サーボ同様に翼の下面から搭載します。
でもプッシュロッドが主翼上面から出ていますね。初めて見たときにはその構造に少し戸惑いますが、完成機ですから主翼にはこのようなリンケージが出来るように各部の穴が開いていますので(フィルムは切り取る必要がありますが)説明書通りに工作すれば大丈夫だと思います。

5spar
主翼は左右分割式で、カーボンパイプのカンザシを使って胴体の左右に取り付ける方式を採用しています。
もちろん、胴体から取り外すことが出来ますので運搬時などにはコンパクトになります。
ちなみにカーボンカンザシの直径は16mmです。

 

6H-stab

水平尾翼は左右分割で作られています。
左右をカーボンカンザシで連結するのですが、こちらは胴体に接着してしまいますので、組み上げた後は分解、取り外しできません。
エレベーターはヒンジで取り付ける一般的なスタイルで、写真でおわかりのとおりイージーヒンジが使用されています。

 

7V-tail

こちらは垂直尾翼です。
ラダーにはチェッカー模様がすでに入っています。反面、垂直安定部分は無地で寂しいように見えますが、セットに入っているハイビスカスの花のステッカーを貼るとずいぶん華やかになるはずです。

 

次回はカーボン製メインギアなどのその他のパーツを見てゆきます。


アイランドブリーズ箱開け(1)

  Flight

柔らかい曲線で包まれた楕円翼が新鮮なガソリンエンジン10ccクラススポーツ機「アイランドブリーズ」。入荷しても即完売という状態がようやく一段落し、当店でもやっと在庫を持てるようになりましたので、あらためてキットレビューをさせていただきます。

10ccクラスのガソリンエンジン機(従来のグローエンジンで言えば60クラス)として開発されたとのことですが、特にSAITO FG-11を搭載すればマウント周りやカウルの工作をほとんどしなくても良い仕上がりになっている、というのがメーカーであるOK模型の売り言葉になっています。

そのあたりも含めて、キットの中身をチェックしながらご紹介を進めさせていきます。

 

1
全パーツを並べてみたところです。
ご覧のようにフィルム貼りの完成機で、楕円形の平面を持った主翼をはじめとして全体に丸みを帯びたデザインの機体に、ターコイズとオレンジを基調に曲線を生かしたデザインのカラーリングになっています。

それでは早速中身をチェックして行きましょう。

 

2
今回は胴体まわりです。
主要部分の構造は、肉抜きしたベニヤの側板と胴枠、そして後部胴体背面はバルサプランクになっています。
カウルは塗装済みのグラスファイバー製です。

 

3

前部胴体の上半分はハッチになっていて、コックピット部分も含めて大きく取り外しができます。
エンジン仕様にした時の燃料タンクや電動仕様の場合のバッテリーへのアクセスがしやすくなっています。
第一胴枠は当然ながら耐燃料塗装がしっかりと施されています。黒く塗られている部分が塗装部分ですね。

 

4
ハッチの取付方法ですが、前が2本のピン(ダウエル)、後がキャノピーラッチになっており、ワンタッチで取り外しができる様になっています。
ハッチ部分の中央に黒く見えるのは、主翼カンザシが通るカーボンパイプです。主翼を左右分割式にすることで主翼取付部に切り欠きができない分、胴体の剛性がアップする訳ですね。

 

4-1-1200
ここで、ハッチ(キャノピー)をチェックしているときに細かい事に気が付きました。
矢印の先の部分、ここに薄いベニヤ板でプラスチックキャノピーのカドを裏打ちして補強がしてあります。
キャノピーのプラスチックは弾力性が乏しく、特に角の部分は物にぶつけると割れやすいのでこのようなひと手間をかけてある様です。

 

5

カウルを仮に胴体に取り付けてみました。
水平対向エンジンを搭載した実機、パイパーカブのようにカウルが左右に張り出したデザインになっています。
この機体のキャッチフレーズに、SAITO FG-11エンジンを使用すればマフラー以外にはエンジンが一切外に出ない、というのがあります。
このカウルの張り出し部分によって、指定エンジンを横積み(サイドマウント)するとエンジン本体がすっぽりと中に収まるようになっている訳ですね。

もちろん、他のエンジンも搭載出来ますが、エンジンの種類によってはいろいろと穴を開る必要があるかもしれません。

 

6

実際のサイズは上写真のようになります。
カウルには冷却空気取り入れ口が向かって左側に前もって開けられています。

写真では黒く映ってしまって見えませんが、第一胴枠にはガソリンエンジン機のイグニッションキャップが通せるような長穴がちゃんとあけられています。
また、エンジンマウント(SAITO FG-11に付属の純正マウント)に合わせて第一胴枠にはブラインドナットが取付済みになっているなど、細かい点に気を配ってあります。

ちなみに、第一胴枠からエンジンのドライブワッシャーまで(スピンナーのバックプレートまで)の距離は118mmと説明書に記載されています。
指定以外のエンジンやモーターを搭載される場合は参考にしてください。

さて、次回は独特の平面型を持った主翼を見てゆくことにします。
エルロンやフラップのリンケージに工夫がされています。
お楽しみにお待ちください。