前回の胴体に続き、今回はレインジャー137の主翼を見て見ましょう。
ここで一番特徴的なのが主翼前縁に設置されたスラットです。
上の飛行写真で、主翼の前縁に赤く見えるパーツ、これがそのスラットになります。
スラットは主翼の迎え角が大きくなった時に前縁から空気が剥離する、すなわち失速するのを遅らせるためのものです。
最近の旅客機にも装備されていますが、こちらは着陸時に前縁からせり出してくる可動式スラットです。
一方、レインジャー137に装備されているのは固定式という事になります。
左主翼の上面を見ていただきます。
ここに見える赤いパーツがプラスチック製の前縁スラットで、工場で取り付け済みになっています。
このスラットについては、連載回数を一回増やして次回、もう少し詳しく見てゆきます。
一方、後縁はといいますと、写真のようにフルエルロンになっています。と言ってもこの機体ではフラップとしても作動させますので、正確には「フラッペロン」というものですね。
フラップとして使うからでしょうか、翼弦方向(リブ方向)の幅は一般的なスポーツ機のエルロンに比べると広めになっています。
ただ、このように翼端まで達するフルスパンのフラッペロンをベロンと下げると主翼の迎え角が大きくなり、その事で翼端失速が心配されます。
そうならないようにという事で、レインジャー137では写真のようにフラッペロンを翼端に行くにしたがって細くする事でフラッペロンを下げた時にネジリ下げと同じ効果を得て、翼端失速を遅らせる対策の一つとしています。
なかなか奥が深い設計ですよ。
こちらは主翼の裏側です。
赤い前縁スラットが見えますが、上面と違って翼面にはほとんどかぶさっていない点に注目して下さい。
翼の付け根部分の断面を見たところです。後縁のフラッペロンは付いていませんが、翼型は半対称であることが判ります。
前縁部の切り欠きは胴体のフロントウインドウ部分がはまるところです。
でも、この写真では後縁にフラッペロンがついていませんので、翼型が今一つはっきりと判りませんよね。
そこでレインジャー137の組立説明書の図をお借りして掲載させていただきました。(オレンジと紫のラインは、説明のためにこちらで書き加えたものです)
ここで面白い、というか注目していただきたいのがフラッペロンのニュートラル位置です。
図のように、「主翼上面で直線になる」位置がニュートラル位置だそうです。
という事は翼下面がかなり下に湾曲した、アンダーカンバーのついた翼型になり揚力重視という事が読み取れます。
レインジャー137は、このような翼型を持った主翼に前縁スラットとフルスパンのフラッペロンという高揚力装置を組み合わせて短距離離着陸、STOLを楽める機体になっているのですが、次回は最大の特徴でもある、前縁スラットに絞ってもう少し詳しくご覧いただく事にします。
なお、ご紹介していますレンジャー137、当店では初回入荷分が即日完売となり、現在品切れ状態が続いております。製造元のOK模型に問い合わせましたところ、次回予定は10月末とのことでした。
皆様には大変ご迷惑をお掛け致しますが、今しばらく当店の「入荷・再入荷情報」をチェックしてお待ちくださいますよう、お願いいたします。