本日のお題は、当店でよくあるお問い合わせの一つです。
それは、燃料タンクについてくるアルミパイプ、材質が硬いものや柔らかいものいろいろとありますが、それを曲げようとしたものの、ちょっと力加減を誤ると写真のようにパイプが凹んで潰れてしまったという経験を皆さんお持ちではないでしょうか。
特に材質が硬い場合は指先だけで思うようなカーブに曲げる事が大変で、特に比較的小さな直径でパイプをきれいに曲げるのはなかなか難しいものです。
そこで、今回は材質が比較的硬い方に属する、PILOT製燃料タンクに使われているアルミパイプを例にとって、店主流の曲げ方の説明をさせて頂きます。
上写真はPILOT ガソリン用タンクキャップセットですが、PILOT製の各種燃料タンクに付属しているタンクキャップも同様のパーツ構成になっています。
それでは作業に取り掛かりましょう。
まず、硬い材質で、角が立っている台を用意して下さい。
パイプと台の硬さの加減ですが、パイプの硬さに負けるような柔らかい木の台では小さなカーブに曲げることは難しいですね。
写真は(年季が入っていますが)鉄製の小型バイスで、黄色い点線で示した部分のカドを使います。
次に、このカドにパイプを押し当て、少しだけ曲げます。
このように硬いカドを利用する事で、パイプをつぶさないようにする微妙な力加減が出来るんです。
うまく曲げるコツですが、一回の動作で少しだけ曲げ、次に位置をほんの少し移動して(気持ち的には0.5mm以下で)その位置で少し曲げます。それを何度も繰り返して、カーブに曲げてゆくのです。
曲げている途中でカーブの内側を見たところです。
パイプに、台のカドに当てた部分の傷が見えますね。
こんな感じで少しづつ位置をズラしながら望みの角度まで曲げてゆきます。
90度まで曲げて見ました。
台に当てた部分の小さい傷が出来ていますが、全体にきれいなカーブで曲がっています。
ちなみに、カーブ(アール)を小さくしたい時はパイプをズラす間隔(ピッチ)を狭く、大きなカーブにしたい時は間隔を広くすれば良いです。
曲げ終わったパイプを別の角度から見たところです。くぼみもなくきれいに曲がりました。
なお、この方法でもパイプの硬さによって加える力加減が違ってきますので、ある程度の慣れが必要です。
どうでしょう、指先では小さくきれいに曲がらない硬いパイプを曲げる場合のひとつの方法として参考にして頂ければと思います。