フェニックス「P47サンダーボルト」をスケールパイロン仕様に改造

フェニックスモデルの「P47サンダーボルト」をRCAW誌主催のスケールパイロンレース用仕様に改造することにしました。
カラフルな大きなパッケージです。
パッケージを開けると大きな胴体等のパーツがコンパクトにまとめて入っています。
この機体は、基本的には、2C60クラスでセミスケール機として楽しむように設計されていますので、パイロンレースに参加するには、若干強度的に補強が必要です。
主翼は、バルサリブ組みオラカバ仕上げとなっています。
持ってみると大きさの割りに非常に軽量に出来ています。
先ず主翼裏側の引き込み脚を取り付ける部分のフィルムを切取ります。 このように切取ると翼の中が見えますので各部をチェックします。
リブなどは、レーザーカットされたものになっています。
ここでスパーの部分がレースに使うには少し強度が少ないように思います。
それと引込脚を取り付けるベニアとリブの接着部分を念のために補強することにして作業を進めてゆくことにします。

メインギアのユニットを取付けるベニア材とリブが接着されている部分にガラスクロスを瞬間接着剤で貼り付けます。
機体重量も重くなるので、ギアのトラブルでリタイヤでは、面白くないので念のために強度補強をしました。

スパーの部分もバルサがメインで作られているので、この部分もグラスを張り込んで強度UPをしておきます。
見えて手が入る部分は出来るだけグラスを張り込んで補強をしておきます。

パイロンレースでのターンでは主翼に相当の力が掛かり下手をすると主翼がバンザイして折れてしまうこともありますのでそれの予防を施します。
主翼が折れる場合は、先ず主翼上面の部分が挫屈しておれますので、それを防ぐ為にスパーの上下の部分にOK模型の「飛鳥カーボンフラット0430」を貼っておきます。
組立キットならスパーを組立る時に直接貼ってもよいのですが、ARF機なのでスパーの上辺りのフィルムをカットしてカーボンがハマるぐらいの溝を掘ります。
今回のカーボンは、厚さが0.4mmなので荒めのサンドペーパーをカーボンの幅にカットして定板に貼り付けてサンディングして溝をつけることにしました。
サンドペーパーで溝を掘ったところに、フラットカーボンをはめ込んで瞬間接着剤で接着します。 裏面も同じ要領でカーボンを接着しておきます。 本機は、フラップが標準装備になっているのですが、軽量化のためにフラップを固定していまいました。
主翼とフラップの横の部分のフィルムをはがして隙間にバルサを入れて瞬間で接着してしまいます。
バルサの不要な部分をカットして完了です。
このときにフラップがニュートラルの位置に正確にあるように注意しておきます。

水平尾翼も主翼と同じように上下をカーボンで補強しておきます。
パイロンで使用する機体の翼には、通常飛行より相当負担がかかりますので、補強しておいて損はないとおもいます。
特に機体が大きくなれば余計に補強が必要でしょう。

水平尾翼の補強材を取付けたところにフィルムを貼ってカバーしておきます。
機体の視認性も考えて赤のラインにしました。
また、本機のエレベーターは左右を別のサーボで動かす構造になっているので、1サーボで動かすようにする為に左右のエレベーターに3mmピアノ線をコの字加工します。
3mmピアノ線は、OK模型のスープラリトラクト30用のピアノ線し使用しました。
ランディングギア用のピアノ線は、非常に硬いので専用のベンダーで直角にまげます。
両端を曲げ不要な部分を切断します。
この曲げ加工をするときに左右が横から見てねじれないように十分気をつけてます。

出来上がったコの字ピアノ線を差しを水平尾翼に当ててピアノ線を差し込む位置に印をつけます。
左右が同じ距離になるようにしるしをつけます。
印をつけたらエレベーターをはずします。

エレベーターのヒンジは、接着剤と虫ピンで固定されていますので、ピンを抜いてヒンジに沿ってカッターで接着剤をはずします。
しかし、ヒンジがポリ製のためにカッターを上手く入れないとヒンジがこのように切れてしまいました。(ToT) 失敗ついでにOK模型製の「メタルヒンジ」に交換しました。
こちらもスーパーXとピンで止めています。
左右のエレベーターにコの字ピアノ線を取付ける溝を掘ってエポキシ接着剤でピアノ線と固定します。
その時にエレベーターが捻れたりずれたりしないように固定して接着剤が硬化するまで置いておきます。
接着剤が硬化したらもとの状態に水平尾翼にとりつけます。
こちらは、引込脚用サーボベットです。
これを主翼の指定位置に接着します。
エポキシ接着剤でシッカリと接着しますが、一度現物あわせしてキッチリと入るように調整してから接着してください。 アルミパイプ製のカンザシの表面をサンディングペーパーをかけて表面をあらしておきます。
これは、接着剤がはがれにくくするためです。

カンザシは、全長を測って中心の位置に印をつけておきます。
このアルミパイプは、意外とシッカリしているので強度に不安を感じることは、ありません。

通常カンザシの接着には、エポキシを使用するのですが、今回のカンザシはアルミパイプですので弾性エポキシ(難接着用)のEP001を使用しました。 先に差し込んだカンザシの接着剤が硬化したら、アルミパイプにEP001を着け、中央のリブの接着面には、30分硬化型のエポキシにマイクロバルーンを混ぜたものをタップリと塗りもう一方の主翼を接着します。
主翼が完全に接着できるまで固定をしておきます。
本機の場合、ダウエルが前もって取付けたあったので、それに結束バンドをかけたシッカリ締めて固定し中央から後縁にかけては、ビニールテープ等でテンションをかけて固定しました。
写真の中央のテープは、エポキシがはみ出したときにいらないところが汚れないようにマスキングテープを貼っています。
はみ出したエポキシは、アルコールで拭き取ると綺麗にとれますので、その後マスキングテープをはがして仮止めようのテープをつけると良いでしょう。
左右の主翼が接着できたら中央部分のフィルムをはがしてグラステープを瞬間接着剤で貼り補強しておきました。
オリジナルの主翼はシルバーにブルーのラインなのですが、レースでの視認性を考えて前縁側のフィルムをはがして黄色のフィルムに変えています。
エルロンのサーボの準備をしておきます。
サーボは、エンコン以外は、金属ギアのハイトルク型のサーボを仕様しました。
サーボのコードに延長コードを接続するのですが、今まではコネクターが外れないように紐などをくくっていたのですが、OK模型さんから「コネクターロック」が発売されていますのでそれを使うことにしました。 このコネクターロックは、接続したコネクターにこのように中央の凸のあるほうから被せます。 コネクターの接続部分をこのように覆う形でハマり簡単にシッカリと固定することができます。
これにより、主翼等の中でコネクターが外れたり、糸などで縛った場合のように糸が緩んできてコネクターが中途半端に緩んで接触不良を起すようなことを防ぐことができます。
取り付けも簡単なので1度使うと癖になるかも知れません。
エルロンサーボは、オリジナルでは、主翼から若干飛び出すように搭載されるようになっています。
このままでも良かったのですが、少しでも有害抵抗を少なくしようとサーボを主翼内に内装式に改造することにしました。
軽量ベニアを使用してサーボに合わせてケースを作成しました。 左右2個作製しますが、サーボの取り付け方向が左右で逆になるので、コードを通す為の切り込みを入れる位置に注意してください。
サーボケースを取付けるのに上面のフィルムをリブに合わせてカットして下面のプランク材に接着してスパーとリブに補強の板を取付けました。
これでフィルムを補修して完了と行きたいところでしたが、本機のリブは、リブキャップが無く、3mmのリブの厚みだけなのでフィルムの補修がなかなか上手く行かず結局大部分のフィルムを張り替える結果になってしましました。(ToT)/~~~
エルロンサーボは、シュリンクチューブをかけて、スーパーXで直接接着します。
接着する前にニュートラルを出してサーボホーンをキッチリと取付けておきます。
キュアカーボンシートでサーボカバーを作ってテープで止めてエルロンとリンケージしておきました。
引込脚ユニットにロッドをリンケージします。 ユニットには左右がありますので、合わせて仮に取り付けビスの下穴をあけます。
下穴をあけたら一旦ユニットを外して下穴に低粘度の瞬間接着剤を染込ませて硬化させておきます。
こうすることによって穴の強度が上がってビスがバカになりにくくなりますので必ずおこなっておきます。
リトラクトギアのピアノ線の長さを合わせ余分をカットします。
ピアノ線のカットは、ルーターにダイヤモンドカッターで切断しました。
この方が断面が綺麗になるのでお勧めです。
タイヤ取付けようシャフトをピアノ線にイモネジで固定します。
イモネジのあたる部分をDカットしておく事をお勧めします。
タイヤストッパーを固定する部分にもDカットをしておきます。
引込脚ユニットを取り付けて引込脚サーボにロッドをリンケージしておきます。
このリンケージは、キット標準の方法で行いました。
引込脚サーボをリンケージする場合は、ユニットのロッドのストロークとサーボのストロークを必ず合わせておきます。
引込脚専用サーボは、通常のサーボとことなり送信機側でサーボストロークを調整できない物がほとんどですので、ストロークが合わずにサーボに無理な力がかかるとサーボ自体のアンプが焼けたりしてトラブルの原因になりますので十分注意してください。
引込脚ユニットの取り付けが出来たら、ホイールカップを取付けます。
カップは、真空成型されたABS製でグレーに塗装された物が入っていますので曲線ハサミ等を使って切り出します。
本機のメーカー推奨エンジンは、2C60/4c90クラスですが今回は、レースレギュレーションのOS120AXを搭載する為に、エンジンマウントはOS純正を使用することにしました。
左の青色の樹脂製マウントがキット付属のマウントです。
防火壁にエンジンマウントを合わせて取り付け用の穴をあけます。
エンジンの取り付け角度は、マフラーの関係でサイドマウントより若干エンジンヘッドが下がった位置になりました。
マウントのネジを受ける爪付ナットを差し込むのに6mm穴が必要になるので、2mmくらいから数回に分けてドリルの刃を変えて少しづつ位置がずれないように注意してあけてゆきます。
爪付ナットの爪部分にスーパーXをつけてナットを締め付けてナットがはずれにくいようにとりつけます。
防火壁には、塗装がされていますが、燃料の浸透とフィルムのはがれの予防として前もってエポキシ系のクリアー塗料を刷毛塗りしておきました。
さすがにアルミの一体型の専用マウントですので非常にシッカリとした取り付けができました。
エレペーターのリンケージロッドのガイドパイプをカーボン製に交換しました。
これは、エレベーターを2サーボ式から1サーボ式に変更した為にロッドが長くなりましたので、ロッドのタワミが出ないようにする為です。
バルサの丸棒に2mmのピアノ線をY字に取付けます。
このロッドがP47の独特の胴体形状で太い為に長くなって300mmほどになってしまいました。
水平尾翼の取り付け部分の後縁側をエレベーターに取付けたコの字ピアノ線分カットします。
水平尾翼の取り付け位置を決めます。
このときに歪んだり、斜めになったりしないように左右均等になるようにシッカリと位置決めしてください。
位置決めが出来たら印を着け、その印にそってマスキングテープを貼っておきます。
これは、接着剤がはみ出しても他の部分が汚れないようにするためです。
印の部分の1mmぐらい内側をカッターでフィルムを切って行きます。
プランクされているバルサまで切ってしまわないように十分に注意してください。
フィルムをはがしたら、水平尾翼をエポキシ接着剤にマイクロバルーンを混ぜたもので接着します。
水平尾翼が接着できたら垂直尾翼を接着します。
この垂直尾翼は、垂直尾翼の上の胴体部分と一体で成型済みになっているので水平尾翼に当る面を現物合わせで隙間が出来ないように微調整してからエポキシで接着します。
尾翼が接着できたらエレベーター・ラダーのサーボを搭載します。
前が、ラダーサーボ、後がエレベーターサーボでエレベーターサーボは、2サーボ式を1サーボ式に改造しています。
外側がエレベーターです。
2mmのピアノ線をY字に左右の舵にリンケージしています。
ラダーは、ワイヤーリンケージになっています。
尾輪を取付けます。
ラダーに連動して動くようにラダーの下面にピアノ線受けを接着します。
これにタイヤを取り付けホイルストッパーで止めます。
ホイルストッパーのイモネジがあたる部分にDカットをしておくことをお勧めします。
付属の燃料タンクを組立ます。
キットには、シリコンパイプが入っていませんので、別途購入してください。
燃料タンク内に使用するシリコンパイプは、出来れば細く柔軟性の高いものがあればそちらを使用することをお勧めします。
燃料タンクを機体に装着します。
また、エンジンを仮止めしてエンコン用ロッドの位置を決めて加工しておきます。
シリコンパイプを配管するときに間違わないようにマジックで燃料の流れる方向を書き込んでおきます。
こうしておくと同じ色のシリコンパイプしかないときでも配管間違いにくくなります。
エンジンを取り付けてニードルの延長ロッドの寸法を決めて加工しておきます。
後、カウリングの穴あけ加工や位置決めなどもおこなっておきます。
今回は、指定のエンジンより大きな2サイクルエンジンのためにマフラーが非常に大きくなりそのままではカウリング内に収まらないようになりました。
マフラーは、エクステンションを使用して取り付けるのですが、このエクステンションの長さが46.2mmのみでそのまま使用するとカウリングからマフラーが完全に露出してしますので、友人にお願いして26.2mmに切断してもらいました。
これでカウリング内に完全におさまります。
OSさんオプションで短いエクステンションも発売してください。m(__)m
それと、マフラーの形が四角いので排気口の角度の変更が決まってしまうので出来れば以前のように丸いマフラーで排気口の角度が自由に変更できるとマニアにとっては非常に便利なんですけどね・・・・。
メカ室は非常に広いので受信機やバッテリーの搭載場所に困ることはまったくありません。 主翼は、前方にダウエルを差し込んで後を付属の樹脂製のウイングボルトで固定します。
このボルトが万が一の時にヒューズの役をして主翼の破損を極力少なくなるようにしているようです。
主翼中央下部に胴体のアンダーカバーを取付けます。
こちらは、ストッパーでワンタッチで取り付けが可能になっています。
このカバーを取付けるとサンダーボルト独特の太い胴体のイメージが表現されます。
胴体が太いので、120のエンジンを搭載してもさほど違和感がありません。
通常飛行には、若干前重心になるります。
パイロン機の場合は、通常より前に重心を持っていくので意外とそのままでも良いかもしれません。
実際、後に錘をつんで後に重心をもっていったのですが、結局現場でほとんどとってしまいました。
エクステンションを20mm切って短くしたので、マフラーがカウリングの中におさまりました。
空気を逃がすのに大きめにカウリングを開けたのですがテスト飛行の時に色々と作業をすることになりました。
写真では解りにくいのですが、カウリングの前面を透明のポリカ板でほとんどふさいでいます。
これは、エンジンの冷却効果を上げるがためです。
前が開いているほうが空気が良く入って良いように思うでしょうが、実は空気は入り口より出口を大きくしてやるほうが流速が上がってエンジンシッカリ冷やしてくれます。
エンジンヘッドの前の部分を少し開けています。
ここから入った空気がヘッドに当ってヘッドを冷やしてくれるはずだったのですが、テスト飛行をしてみると上手く空気が流れずにオーバーヒート気味になります。
そこで現地で手術することになっていまいました。
まず、マフラーを冷やす為に開けていたマフラーの前の空気取り入れ口をテープで塞ぎました。
エンジンヘッドの後のカウリングを斜めに下げて両サイドを急遽ティッシュに瞬間を染込ませて固めこちらから空気を排出しやすくしました。
まだそれでもエンジンが焼け気味になるのります。
結局マフラーのところに開けたところの胴体側の方が前方より高くなっているので空気がそちらから逆に中に押し込まれているようで、切り口前方にペットボトルを切ってスカートをつけ空気が巻き込まないようにしました。
これでテスト飛行でもエンジンが焼けることなくシッカリ回ってくれるようになりました。
エンジンの冷却の為の空気の流れを調整するのもなかなか難しいものです。
これで無事レースに参加できます。
カウリングの下に白く見えているのは、急遽テープで余分な空気穴を塞いだところです。
さて、いよいよスケールパイロンレースに参戦です。
テスト飛行では、機体が大きい分非常に安定して飛ばすことができます。
以前F1クラスに使用していた、矩形翼のケイサットに比較すると安定度は抜群です。
レース時に急遽加工したところを後からさらに改造しました。
マフラーの前に開けていた空気取り入れ口を透明のポリカ板で塞ぎました。
仮加工していたエンジンヘッドの後に開けた空気の排気部分をグラスとFRP樹脂で加工して成型しました。
空気の巻き込み防止にスカート部分もグラスとFRP樹脂とエポキシパテで成型しました。 FRP製オリジナルのカウリングではカウルフラップが開いた状態に成型されているのでフラップの間をルーターで切ってカウルフラップの部分にドライヤー等で熱を加えてねかせて裏からグラスクロスをFRP樹脂で貼りフラップが閉じた状態にしました。
その後ウレタンの赤で再塗装をしています。
これで飛行中の有害抵抗を少しでも低減することができます。
再テストでは、エンジンが焼けることも無く90度バンクをかけてのパイロンターンをしてもまったく問題ありません。
カウリングを赤にしたので視認性もUPしました。
安価な機体ですがちょっとした改造でスケールパイロンレースを戦える機体にすることが出来ます。