VIPアイロンのシュー交換(後編)

VIPアイロンのシュー交換、前回は分解してシューを取り外すところまでを解説しました。
今回は新しいシューの取り付けに移るわけですが、その前に交換シューの種類について説明させていただきます。

VIPアイロンにはシュー(コテの部分)の形が2種類あり、底面が全く平らなVIPアイロンTYPE-Fとコテの周り、左右のエッジ部分が丸みを帯びているVIPアイロンTYPE-Rの2種類があります。
ちなみに、このTYPE-Fはフラット(FLAT=平ら)の頭文字で、一方のTYPE-Rがラウンド(ROUND=丸い)の略だという事です。

私もこのレポートを書きながらTYPE-FとTYPE-Rが何度も出てきてややこしくなった時がありました。
皆さんも混同しないよう、特にパーツを注文する時は間違えないようにしてくださいね。

 

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ちなみに二つのコテ先(シュー)を並べてみました。
こちらは底面(フィルムなどに当る部分)です。
完全にフラットなVIPアイロン用交換シューTYPE-F用と周囲が丸みを帯びたVIPアイロン用交換シューTYPE-Rの違いが良く判りますね。

 

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こちらは上面です。こちらもかなり形が違う事がお判りになるでしょう。
でも、違いは形だけでなく、他にもあるのです。

 

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ところで、当店に「VIPアイロンTYPE-Rを持っているんだがシューを交換して(TYPE-F用のシューをつけて)TYPE-Fにすることが出来ないか」とか、反対に「シューを取り換えてTYPE-FをTYPE-Rにすることが出来ないか」というお問い合わせが時々寄せられます。

その答えは、ずばり「出来ません!」です。

上写真でお判りになる通りネジ穴の位置(上下の間隔)が異なっていますので、それぞれのアイロンの本体に取り付けることが出来ないのです。
シユーを交換する時にはTYPE-F用交換シューTYPE-R用交換シューを間違って注文しないよう、くれぐれもご注意下さい。

今回はVIPアイロンTYPE-Rのシューを交換しますので、「VIPアイロンTYPE-R用交換シュー」を用意します。

 

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前置きが長くなりましたが、交換シューの取り付けに入ります。
まずシューの上面(内面)を見てください。
写真の例のように、丸い形の抜型跡があるのですが、まれにこの周りにバリが出ていることがあります。
バリが出ていると、ヒーターの熱がうまくシューに伝わらず、その部分のヒーター―(熱線)が過熱、故障する恐れがあります。
そうならないように写真のように工場でバリを取ってあるのですが(当たり前ですがバリが無ければ写真のような修正跡はありません)、指で内部を撫でてみてバリがある(ひっかかる)様ならきれいに取り除いておいてください。

 

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次に、分解した時と逆の順序で元通りに組み立てていきます。まず内部にヒーターを置きます。
配線が窮屈ですので引っ張りすぎないように気をつけて下さい。

 

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ヒーターの上に金属製の押え板を置き、前を短いネジで止めます。
このネジ、いまは軽く締め付けるだけにして、押え板が前後に動くようにしてください。

 

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センサーを取り付けます。写真で白く映っているリング状の部品はセラミック製ですから、極端に強く締め付けると割れてしまう事がありますので、取扱いには注意が必要です。写真は締め付ける前の状態です。

 

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センサーをきっちりと取り付けたなら、前端の短いネジも完全に締め付けます。

ここまで来ればほぼ完成したも同然です。

 

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最後にシューを4本のネジで本体に取り付ければ、シューの交換は完了です。

なお、この作業はあくまでお客様の自己責任で行っていただくものです。
分解、組み立てのやり方によっては、交換前にうまく動作していて物が、作業中に配線が断線するなどして故障してしまう可能性が無いとは言い切れません。

どうか作業は慎重に。特に、窮屈な配線に無理な力をかけて断線などを起こさないよう、くれぐれも注意して下さいね。

 

 

 

 

 


VIPアイロンのシュー交換(前編)

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フィルム貼りに欠かすことのできない小型アイロン、中でも当店が取り扱っているOK模型製のVIPアイロンは軽くて扱いやすく、温度設定が自由にできるというので私も愛用している逸品です。写真は私が長年愛用しているVIPアイロン TYPE-Rです。

このアイロン、長年使っているとテフロン加工が摩耗してきたり、不注意で裏面に傷がついたりすると、フィルムに細かい傷がついて仕上がりが見苦しくなってしまいます。
そんな時のために交換用のアイロンシューが販売されていますので、その交換方法をご紹介します。

 

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長年使っていると、このようによく当たる部分のテフロンコートがすり減ったり傷がついたりします。

 

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最初に、矢印の4カ所のネジを外して古いシューを取り外します。
ここはタッピングタイプのネジで止まっていますので、かなり力を入れて戻さないと駄目です。

 

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中はこんな感じです。
コードにあまり余裕がありませんので、無理をせずに写真のように拡げることが出来る位置を探してください。

 

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まずセンサー止めビスを外します。
センサーを止めている部分のアップです。
複数のパーツを組み合わせているのはここだけです。外す前のセンサーコードの向きと部品の組み合わせ順をよく覚えておいて下さい。
次に先端の「ビス1」を外して押え板を外すと、押え板の下のヒーター(白銀色の部分)がシューから外れます。

 

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分解したところです。アイロンがVIPアイロン TYPE-Rですから、シューはPILOT V.I.Pアイロン Type-R用交換シュー になります。

次回は交換シューの説明と、再組立ての説明をさせていただきます。


リモートアクセサリスイッチとリモートキルスイッチ、どう違う?

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当店にリモートキルスイッチ(上)リモートアクセサリスイッチ(下)はよく似た名前で形も似ていますが、何がどう違うんですか?というお問い合わせが時々寄せられます。
とにかく名前がよく似ていますし、外観、大きさもそんなにかわらないのでごもっともなことだと思います。
更に、商品説明を見ますと、どちらもプロポ信号で(プロポの操作で)電気を使った装置の電源をON、OFFするもの、ということですね。ますます判らなくなってきます。
そこで今回はこの両者の違いをご説明させていただくことにしました。

まず、当店の商品カテゴリではリモートキルスイッチが「ガソリンエンジンアクセサリ」に分類、ガソリンエンジンのイグニッション点火装置の制御用に、とあります。
すなわちガソリンエンジンの点火装置の電源をプロポで入れたり切ったりするための装置なんですね。
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 そして、下のモートアクセサリスイッチは「受信機アクセサリ」に分類されており、プロポ信号で各種電装アクセサリのスイッチを操作するのに使います。
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このカテゴリの違いが両者の違いを説明する大きなポイントになります。

そこで、比較のためにふたつを並べてみました。(受信機側、装置側を合わせるためにリモートキルスイッチは上下逆になっています)
どちらも、右側のオスコネクタをにプロポ受信機に接続します。左側はプロポの信号で点けたり消したりするアクセサリ装置とその電源バッテリーを接続することになります。
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外観では写真の左半分、装置側に出ているコネクタの数が違いますね。でも、最大の違いは中の電子回路にあるんです。

 実際に使用する際には、写真の右側にプロポ受信機を、そして左側にイグニッション装置あるい電装アクセサリを接続します。
すると、この装置には右側の受信機の電源バッテリーと左側の装置(またはイグニッション)の電源バッテリーと、二つの電源をとりつける事になります。

一般的に電子基板(電子回路)は電源のマイナス側はすべて共通になっていますので、普通なら左の装置と右側のプロポはマイナス線でつながってしまうんです。
そこで考えないといけない問題がでてきます。

それはノイズ(雑音)です。左側の装置が豆電球やLEDなどでは雑音は発生しませんが、ガソリンエンジンのイグニッション装置ではスパークノイズがマイナス線を伝わって受信機にワルサをする恐れがあります。

これを防ぐためにリモートキルスイッチでは、簡単に言うと左側の回路と右側の回路の信号を中継する部分に、コストはかさみますが光素子を使用することで右と左を電気的に完全に分離しているんです。

一方のリモートアクセサリスイッチにはそのような対策はとられていません。そのかわり価格もお安くなっていますし、出力が2系統あり、スイッチの設定で2カ所とも同時に点灯させるか、交互に点灯させるかなどの芸当を選べる仕組みも組み込まれています。

結果的にはどちらも同じ電装器具の電源をON/OFFするものですが、ノイズに強い、そうでない、という根本的な違いがありますので使いかたには注意が必要です。

少しややこしい話になりましたが、とりあえずガソリンエンジン機のイグニッション装置の電源ON/OFFには、「リモートアクセサリースイッチ」ではなく、ノイズに強い「リモートキルスイッチ」を使うようにしてください、ということです。

 

 

 


燃料フィルタと燃料 相性がある?

突然ですが、エンジンにはグローエンジンとガソリンエンジンがある事、そしてそれぞれのエンジンにはグロー燃料、ガソリン燃料を使い分けないとダメ、という事は皆さん先刻ご承知ですよね。
これと同じことが燃料フィルターにも言え、フィルターにもガソリン用とグロー用が販売されています。

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そこで、もし燃料との組み合わせを間違って使ったら?
ダメなことは承知で実験してみることにしました。
プラスチックの透明部分が曇るぐらいかもしれないし・・・・・

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ということでガソリン用のPILOT 燃料フィルターをグロー燃料に一晩浸けてみました。

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結果は・・・・
ご覧のとおり透明のプラスチック部分が柔らくグニャグニャになり、指で軽く押すと割れてしまいました。
表面はクリアな透明ではなくスリガラスのようになっています。

透明部分が少し曇るぐらいかな?と思っていた私には結構衝撃的でした。わずか一晩で・・・・・

このことをメーカーに確認したところ、グロー用とガソリン用では透明プラスチック部分の材質が異なるという事です。また、中に入っているO(オー)リングも材質が異なるという事で互換性は無いとのことです。

買ったまま、商品名のとおりにグロー用はグロー燃料に、ガソリン用はガソリン燃料に使えば何の問題もないのですが、フィルターが汚れて交換する時などに両者をごちゃまぜにすると後でとんでもないことになります。見かけではどちらも透明で全く区別がつきませんから。
もちろん手持ちがないからと言ってグロー用をガソリンに使ったり、その逆もご法度です。

メーカーでは区別がつきやすい様にガソリン用は金属部分に濃いブルーの処理をし、
(左:燃料フィルター・ガソリン用、右:フィルター付きおもり・ガソリン用
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グロー用は金属部分が少し緑がかったシルバーになっています。
(左:燃料フィルター・グロー用、右:フィルター付きおもり・グロー用
Glow-800

なお、中に入っている赤いフィルターエレメントは共用でどちらにも使えます。
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折角エンジンを調子よく使うために取り付けたフィルター、種類を間違えるとプラスチックが割れて燃料が漏れたりする危険性もあります。たかがフィルターと言わず、十分気をつけてくださいね。


収縮チューブでサーボを搭載する方法

急に季節が進んでいきなり冬に入ったような感じですが、皆さんいかがお過ごしでしょうか。
そのせいか、このところ天候不順が続き、連載中のPIXHAWKのフライトテストも思うように進んでいません。
そこで、今週はちょっと趣をかえてグライダーネタで行ってみようと思います。

 
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さて、皆さんはグライダーの薄い翼にサーボを搭載するのにどのような方法をとられていますでしょうか。
写真のように薄く窮屈なスペースにエルロンサーボやフラップサーボを、比較的簡単に横積み(平らに積む)するにはどうすれば良いかというのが今日のテーマです。

 

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そこでご紹介するのが当店オリジナル商品のサーボ取付収縮チューブを使う方法です。

なお、この方法では一旦取り付けたサーボを付け替えるというのはなかなか面倒ですので、作業の前にはサーボが正常に動くか、作業前に必ず動作チェックをしておいてください。
それと、サーボのコントロールホーンは、ほとんどの場合は作業後に取り付けたり取り外したりたり出来ませんので、事前にリンケージをきっちりと行い、仮付けをしてエルロンなど動翼の動作巾のチェックをきちんとしておく必要があります。

さて、このサーボ取付収縮チューブですが、上写真左の黄緑色の「TOPMODEL サーボ取付収縮チューブ 幅56mm長70mm 3枚入」と右側、ブルーの「TOPMODEL サーボ取付収縮チューブ 幅41mm長120mm 2枚入」があります。

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まず、こちらの「TOPMODEL サーボ取付収縮チューブ 幅56mm長70mm 3枚入」は折径(折りたたんだ時の横幅)が56mmです。当店で取り扱っているウイングサーボTahmazo TS-D1022MGを入れてみるとすんなりとうまく収まりました。もちろんTahmazo TS-D1016MGもほぼ同じサイズですから問題なく使えます。

 

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一方、こちらは「TOPMODEL サーボ取付収縮チューブ 幅41mm長120mm 2枚入」にTahmazo TS-1014を組み合わせてみました。
Tahmazo TS-1014はウイングサーボに代わって中、小型機のエルロンによく使われているサーボです。こっちのほうは、上のようにすんなりとは入りませんでした。測ってみるとTahmazo TS-1014は外周84mm(「耳」も含む)で、チューブの外周は82mm(折径41mmの倍)です。
計算通りですとチューブの外周が2mm不足する勘定ですがグライダーマニアの多くはサーボの「耳」を取って使われるので、その方法なら全く問題無いのですが・・・。

 

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でも、そこを何とか「耳」をつけたままで、ということでやってみたら、入りましたよ。
一つ上の写真の感じで、サーボを少し斜めにしてサーボの下側(写真では左側)から、両方の耳にチューブが被さるようにダマしダマし被せます。フィルムは少しは伸びますので、そのあたりを加減しながら入れていきます。
まあ、とにかくピッチぴちですけどね。
両耳にチューブが被さったなら、残りのチューブをサーボホーンの下あたりまで被せます。下側はサーボより10mmぐらい大きめに残して余分を切り取ります。

 

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次にチューブをヒートガンかドライヤで収縮させます。
あまりしつこくやるとチューブが破れたりサーボのケースが熱で変形したりしますので、慎重に、様子を見ながら収縮させます。
写真ではまだ少しシワが残っていますが、これくらいは全く問題ありません。

 

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これを翼に固定するのですが、私は写真の接着剤を使っています。
瞬間接着剤でもよさそうなものですが、翼上面の裏側はまっ平らではありませんのでサーボと翼のプランクを密着させることが出来ません。
そこでこの接着剤を、サーボ(チューブ)の中央付近に少し盛り上げるように塗り、翼の中に入れます。
今回使用した接着剤はすぐに固まりませんので、正しく位置決めをした後でチューブが翼の裏面に接触している部分、数カ所に瞬間接着剤をチョン、チョンと流し込んで固定します。

 

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取付の終わったところです。
翼の中にコンパクトに収まりました。

ところで、万が一、取り付けたサーボが故障したときはどうするんですかって?
その時は見えている部分のフィルムを切り開いてサーボを取り出します。翼の中に残ったフィルムはサーボの平面型に合わせて残しておきます。そのあとで、これまでと同じようにチューブを被せたサーボを元の位置に置き、こんどは瞬間接着剤で接着します。
最初に取り付けたときよりフィルムの厚みだけ翼の下面に近づいてきますが、普通はこれぐらいは問題ないはずですよね。