ヒンジテープの使い方(2)

前回のおさらいですが、固定翼と動翼の継ぎ目を「ヒンジライン」と言います。

写真はラベンダーの尾翼部分で、黄色の点線で強調したラインがヒンジラインになります。
ラダーやエレベーターはこのラインを支点にして動くわけでが、今回はどのようにして「PILOTヒンジテープ」でこの部分を作るのかを説明させていただきます。

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上図はエルロンを装備した主翼(右翼)で、動翼はエルロン、ヒンジラインはテープAとして赤で示した部分になります。
ここにヒンジテープを使ってヒンジを作るわけです。

まず、固定翼(主翼本体)に動翼(エルロン)をマスキングテープなどを使って仮止めします。
仮止めと言っても適当に止めるのでなく、きちっと正規のニュートラル位置に止めるのは言うまでもありません。
この時、ヒンジライン沿いのエルロンと固定翼の間には、上の断面図のように少し隙間を開けておきます。
ここが重要なポイントです。
「少し隙間を」ってどれくらい?とお思いでしょうが、中小型グライダーなら0.7mmから1mm以下というところですね。

動翼を仮に固定したなら、、動翼と固定翼の継ぎ目、平面図の赤線部分(上面ヒンジライン)の端から端までテープAを貼ります。
テープAはきっちり端まで貼らないとフラッターの原因になりますので気をつけて下さい。

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次に翼下面にテープB(青色で表示)を貼ります。テープBはヒンジライン全体に貼るのではなく、長さ20~30mmに切ったものを使います。
貼る枚数は動翼の巾(ヒンジラインの長さ)によって決めてください。

テープBの貼り方ですが、まず動翼を断面図のように固定翼の上に折り返します。
折り返した時、図のように浮かせるのではなく、ペタンと固定翼の上に重ねてください。

次に 折り返した面の上から(図では右側から)長さ20~30mmに切ったテープBを貼ります。
テープBは最初に動翼の両端2カ所を貼り、その後で間に数カ所貼ります。
動翼と固定翼のヒンジライン部分には隙間を開けていますので、この隙間部分でテープAとBがくっつき、ヒンジになる訳です。

テープBを貼る間隔、枚数は動翼の大きさにより変わりますが、ピンヒンジイージーヒンジなどの通常タイプのヒンジを取り付ける個数と同じぐらいで良いと思いますので、7~10cm間隔というところでしょうかね。

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テープBを貼り終ったらこんな感じになります。
これで作業は終わりです。

 

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最後に動翼をくるりと元に戻せば完成です。

文章で表すと結構難しそうですが、案外うまく行くものです。
中小型グライダーの製作に欠かす事の出来ないこのテクニック、ぜひ身につけて下さい。


ヒンジテープの使い方(1)

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いきなりタイトルと関係がないようなOK模型の小型グライダーバルサキット「ラベンダー」が登場しましたが、今回のタイトルにおおいに関係があるんです。

 

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そのラベンダーの尾翼周り、水平尾翼と垂直尾翼です。
垂直尾翼にラダーが、水平尾翼にエレベーターがついているのはごく普通のレイアウトですが、この方向から見ると固定翼と動翼の間に隙間が無いのがお判りになりますか。
ラダーと垂直尾翼の間は少し判りづらいですが、水平尾翼とエレベーターとの境界(ヒンジライン)はのっぺりと平らになっているのが判りますね。
それでは、一体どうしてこんな風になるんでしょうか?

 

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方向を変えて垂直尾翼とラダー部分の境界を斜め上から見たところです。
黄色い丸で囲んだ部分を良く見てください。写真の上側(機体の右舷側)には隙間が無く、手前側(機体の左舷側)には隙間が空いているのがお判りになるかと思います。

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上写真の黄色い丸で囲った部分を真上から見た断面図はこのようになります。
垂直尾翼とラダーを繋ぐヒンジに「テープ」を使用しています。
この、ヒンジにテープを使っているのが、ヒンジラインの片面がのっぺりと平らになっている理由なんです。

前置きがずいぶん長くなりましたが、ここでやっと題名のヒンジとテープという言葉が出てきましたね。

上の写真や図にあるように、垂直尾翼とラダーの間は片面に隙間が無く、反対側(画面では下側)には切り欠きが出来ます。
ラダーはこの分だけ(図の)下に動くことが出来ます。反対方向の上には当たるものがありませんので問題なく可動出来ます。
これで舵として機能できる訳ですね。

図のように固定翼(垂直尾翼や水平尾翼)と可動翼(ラダーやエレベーター)をテープで繋ぐ仕組みを「テープヒンジ」と言います。
「ヒンジテープ」を使って「テープヒンジ」を作る・・・・・ややこしいですね。
でもこれは中小型グライダーによく使われる手法で、特にラベンダーのように厚さ3mmという薄い尾翼の機体には最適の方法なんですよ。

 

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で、これが「テープヒンジ」の材料となるOK模型製の「ヒンジテープ」、もちろん当店で取り扱っています。

 

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一見すると身近にあるセロハンテープやビニールテープのようですが、実は全く違うものです。

ヒンジとして使うには、簡単に裂けない、特にヒンジライン方向(テープの長さ方向)に裂けない事が大事です。ヒンジライン方向に裂けてしまうという事は、固定翼と動翼が分裂してしまうという事で、あってはならない事ですよね。
次に接着力が強い事。理由は言わなくてもお判りですね。
その上に、厚さはできるだけ薄く、でも強度があること。それでもって伸縮しない事。僅かな伸びは必要ですが、ビニールテープのように力がかかった時に伸びてしまうようでは困ります。
更に水に強い事。セロファンテープのように水がかかるとふやけたり剥がれたりするのでは安心して飛行機を飛ばすことが出来ませんからね。

このようにたくさんの条件をクリアーした特殊なテープがヒンジテープとして使えるものなんです。

次回はヒンジテープを使ってヒンジ部分を工作する方法を説明させていただくことにします。


JRプロポ用ショルダーストラップ

プロポを首からぶら下げるネックストラップ(プロポベルト)ですが、送信機を手で支える力が軽減され、指先で微妙なスティック操作をするのが楽になるので愛用しておられる方も多いと思います。

今回ご紹介するプロポ用ショルダーストラップ、その名のとおり、ネックストラップは首にかけるのに対し、ショルダー=肩にかけるタイプのストラップです。

製品にはご覧のようにJRのロゴが入っていますが、今のところ日本では販売されていないようです。
当店では、6月19日に台湾から輸入したものをテスト販売させて頂いたところ好評を頂きましたので、今回追加輸入を致しました。
そこで、これを機に少し詳しく商品のご紹介をさせていただきます。

 

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JRのマークがついているのはアルミ製のバックプレートで、こちらが背中側になります。
もちろんストラップの長さはアジャスターバックルで調節できます。
また、肩に当る部分には柔らかい材質のパッドがついていますので長時間の使用も苦にならないでしょう。

 

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一般的なプロポに使用する場合はこのようになります。
送信機を保持するフックは一か所ですが、そのフックは金具を介して左右のハーネス(ベルト)で引っ張られていますので、送信機が左右に大きくぐらついたりすることがありません。
特に飛行前の点検時などで屈んだり送信機を持つ手を離しても、送信機が首からぶらんぶらんとつり下がることなく、また体から大きく離れる事がありませんので、安心して作業できるのではないでしょうか。
もちろん、飛行中は送信機を支える力がほとんど要りませんので、両手(の指)は微妙で繊細な操作に専念できるわけです。

 

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送信機吊り下げフック部のクローズアップです。このように、左右のハーネスについたフックを一つにまとめる金具が付属しています。

 

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ストラップをかけたところを後ろから見るとこんな具合です。アルミプレートのお蔭でハーネスが肩からズリ落ちる心配もありませんし、左右の脇の下をくぐるベルトはしっかりと胴まわりにフィットします。

 

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スイッチ類が前面パネルにたくさん並んだヨーロピアンスタイルのJR XG14E、これを使いこなすためのはショルダーストラップは欠かすことが出来ませんね。

今より一層微妙で繊細なスティックさばきをしたいとお考えのかた、長時間飛行をされるかた、スイッチ類の多い多チャンネルプロポをお使いのかた、ぜひこのショルダーストラップの使用をご検討下さい。


VIPアイロンシュー交換(番外編)

私も含めて、ラジコングライダーや飛行機を作っているモデラーにとって、OK模型のVIPアイロンと言えばバルサ製飛行機のフィルム貼りに欠かせない道具という答えがほぼ当たり前、というか普通ですね。
ところが、最近日本ヴォーグ社から発売された「キルトジャパン」という雑誌、もちろんラジコン関係の専門誌ではありませんが、こちらにVIPアイロンType-Fが紹介されているとの情報がお客様から寄せられました。

模型以外の分野でどんな使い方をされているのかが気になって、早速その「キルトジャパン」誌を書店から取り寄せて記事を拝見しました。
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素晴らしいパッチワークのかずかずが掲載されています。
素人の私の目でも十分楽しむことが出来ました。
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その中にはこんな作品も。
1930年代に活躍したカーチスF9C スパローホーク戦闘機の様ですが、羽布貼り主翼表面の凹凸表現や張り線、アンテナなど機体のディテールが精密に再現されています。そのほか周囲にあしらわれた同時代の飛行機も秀逸ですね。
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ついつい話が飛行機の方に行ってしまいましたが、本題に戻ってVIPアイロンの紹介記事ではこのアイロンをアップリケ布に接着芯(飛行機用フィルムのようにドライタイプの糊がついているようです)を貼り付けるのに最適だとか。
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私はキルトやパッチワークのことは全く判りませんので記事の受け売りになってしまいますが、それによりますとVIPアイロンが200度の高温を出せる事、その温度をダイヤル一つで簡単に設定出来る事、軽くて使いやすいこと、そしてTYPE-Fの平らな底面がきれいな仕上げに最適であることなどが説明されていました。

なんだか模型用のフィルム貼り作業に共通する点が多いと思いませんか。

それもそのはずですよね。
VIPアイロンが登場する前、私は家庭用の大きくて重いアイロンを使ってフィルム貼りに悪戦苦闘していました。
そんな事を考えると、家庭用のアイロンも模型用のVIPアイロンも元をただせば同じアイロン、記事で取り上げて頂いたVIPアイロンの(私から見れば)新しい使い方もVIPアイロンの正しい使い方の一つだな、と思った今回の話題でした。

さて皆さんにお知らせです。
只今当店では3月17日午前10時まで「送料無料キャンペーン」を実施中です。
いよいよ春本番、お得なこの機会にぜひショップを覗いてお買い物をお楽しみください。


VIPアイロンのシュー交換(後編)

VIPアイロンのシュー交換、前回は分解してシューを取り外すところまでを解説しました。
今回は新しいシューの取り付けに移るわけですが、その前に交換シューの種類について説明させていただきます。

VIPアイロンにはシュー(コテの部分)の形が2種類あり、底面が全く平らなVIPアイロンTYPE-Fとコテの周り、左右のエッジ部分が丸みを帯びているVIPアイロンTYPE-Rの2種類があります。
ちなみに、このTYPE-Fはフラット(FLAT=平ら)の頭文字で、一方のTYPE-Rがラウンド(ROUND=丸い)の略だという事です。

私もこのレポートを書きながらTYPE-FとTYPE-Rが何度も出てきてややこしくなった時がありました。
皆さんも混同しないよう、特にパーツを注文する時は間違えないようにしてくださいね。

 

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ちなみに二つのコテ先(シュー)を並べてみました。
こちらは底面(フィルムなどに当る部分)です。
完全にフラットなVIPアイロン用交換シューTYPE-F用と周囲が丸みを帯びたVIPアイロン用交換シューTYPE-Rの違いが良く判りますね。

 

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こちらは上面です。こちらもかなり形が違う事がお判りになるでしょう。
でも、違いは形だけでなく、他にもあるのです。

 

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ところで、当店に「VIPアイロンTYPE-Rを持っているんだがシューを交換して(TYPE-F用のシューをつけて)TYPE-Fにすることが出来ないか」とか、反対に「シューを取り換えてTYPE-FをTYPE-Rにすることが出来ないか」というお問い合わせが時々寄せられます。

その答えは、ずばり「出来ません!」です。

上写真でお判りになる通りネジ穴の位置(上下の間隔)が異なっていますので、それぞれのアイロンの本体に取り付けることが出来ないのです。
シユーを交換する時にはTYPE-F用交換シューTYPE-R用交換シューを間違って注文しないよう、くれぐれもご注意下さい。

今回はVIPアイロンTYPE-Rのシューを交換しますので、「VIPアイロンTYPE-R用交換シュー」を用意します。

 

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前置きが長くなりましたが、交換シューの取り付けに入ります。
まずシューの上面(内面)を見てください。
写真の例のように、丸い形の抜型跡があるのですが、まれにこの周りにバリが出ていることがあります。
バリが出ていると、ヒーターの熱がうまくシューに伝わらず、その部分のヒーター―(熱線)が過熱、故障する恐れがあります。
そうならないように写真のように工場でバリを取ってあるのですが(当たり前ですがバリが無ければ写真のような修正跡はありません)、指で内部を撫でてみてバリがある(ひっかかる)様ならきれいに取り除いておいてください。

 

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次に、分解した時と逆の順序で元通りに組み立てていきます。まず内部にヒーターを置きます。
配線が窮屈ですので引っ張りすぎないように気をつけて下さい。

 

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ヒーターの上に金属製の押え板を置き、前を短いネジで止めます。
このネジ、いまは軽く締め付けるだけにして、押え板が前後に動くようにしてください。

 

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センサーを取り付けます。写真で白く映っているリング状の部品はセラミック製ですから、極端に強く締め付けると割れてしまう事がありますので、取扱いには注意が必要です。写真は締め付ける前の状態です。

 

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センサーをきっちりと取り付けたなら、前端の短いネジも完全に締め付けます。

ここまで来ればほぼ完成したも同然です。

 

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最後にシューを4本のネジで本体に取り付ければ、シューの交換は完了です。

なお、この作業はあくまでお客様の自己責任で行っていただくものです。
分解、組み立てのやり方によっては、交換前にうまく動作していて物が、作業中に配線が断線するなどして故障してしまう可能性が無いとは言い切れません。

どうか作業は慎重に。特に、窮屈な配線に無理な力をかけて断線などを起こさないよう、くれぐれも注意して下さいね。