レインジャー137 箱開け(3)

当初2回で完結する予定のPILOT レインジャー137の箱開け、予定を変更して今回は延長戦?の3回目となります。

今回メインでご紹介させていただきますのは、レインジャー137のウリの一つ、というか特徴の一つである「翼端スラット」です。
スラットの効用などは前回説明させて頂いていますので、今回はスラットの構造を中心に少し詳しく説明させて頂きます。

まずおさらいですが、黄色の矢印で示した赤いパーツがスラットです。
大きさは、主翼のスパン1370mm、片翼685mmに対して325mmと約半分の長さがあります。
前にも述べましたが、スラットはあらかじめ工場で取り付けされています。
その理由ですが、取付位置と取付角度が結構シビアで、それらが狂うと本来の性能を発揮できないばかりか大きなクセが出る原因にもなるので、工場で治具を使って正確に取り付けておく事にしたそうです。

翼端側から見たところです。
スラットの前縁は主翼下面には回り込まず、上面は前縁に約30mmかぶさっています。

真横から見たところです。
取り付け部材があるので主翼表面との隙間が判りにくいですが、黄色の線が空気の流れになります(手書きの見苦しいラインですみません(-_-;)実際の空気はもっとスムースに流れるはずです)
主翼の迎え角が増した時、主翼前縁から主翼の上面に流れる空気の一部をスラット内部を通して後部から出すことで主翼上面から空気が剥がれるのを軽減し、失速に入るのを遅らせるという仕組みなんです。

スラットの前縁部を下から見たところです。
ここのスラットと主翼とのすき間が空気の入り口となります。

後ろから見るとこんな感じです。
前縁から入った空気がここから出るのですが、スラットと主翼上面の間を通り抜ける時、空気は高速で流れるため内部が負圧となり、プラスチック製のスラットが主翼に張り付いてしまって機能を果たせなくなる場合があるそうです。
これを防ぐために、写真で黒く見えているカーボン材を貼ってスラットの剛性を増していると言う事です。
いろいろと苦労があるものですね。

これでレインジャー137の注目アイテム、スラットの解説は以上です。

引きつづき、まだご紹介していない尾翼を見ていただきましょう。

まず、垂直尾翼と尾輪パーツです。
ラダーは3本のピンヒンジで取り付けられています。
尾輪はラダーに連動して左右に動きます。

水平安定板とエレベーターです。
エレベーターはコの字のピアノ線で連結する形式です。
レインジャー137のエレベーターはフラッペロンの動きとミキシングして、フラップ下げ時の頭上げを防ぐ必要がありますが、そのあたりのミキシング量などは抜かりなく説明書に書かれていますので安心して下さい。

レインジャー137の大きなロゴが入ったステッカーシートも付属しています。下の黒い四角いステッカーは主翼中央、キャビン部分の天窓です。

 

ここでお知らせです。
これまで、3回にわたって解説してきましたレインジャー137、当店では長らく品切れ状態となっていましたが、本日少数入荷しました。

お待ちのお客様はこちらからご注文下さい。(申し訳ありませんが、今回も在庫限り、先着順となっております)


レインジャー137 箱開け(2)

前回の胴体に続き、今回はレインジャー137の主翼を見て見ましょう。

ここで一番特徴的なのが主翼前縁に設置されたスラットです。
上の飛行写真で、主翼の前縁に赤く見えるパーツ、これがそのスラットになります。
スラットは主翼の迎え角が大きくなった時に前縁から空気が剥離する、すなわち失速するのを遅らせるためのものです。
最近の旅客機にも装備されていますが、こちらは着陸時に前縁からせり出してくる可動式スラットです。
一方、レインジャー137に装備されているのは固定式という事になります。

左主翼の上面を見ていただきます。

ここに見える赤いパーツがプラスチック製の前縁スラットで、工場で取り付け済みになっています。
このスラットについては、連載回数を一回増やして次回、もう少し詳しく見てゆきます。

一方、後縁はといいますと、写真のようにフルエルロンになっています。と言ってもこの機体ではフラップとしても作動させますので、正確には「フラッペロンというものですね。
フラップとして使うからでしょうか、翼弦方向(リブ方向)の幅は一般的なスポーツ機のエルロンに比べると広めになっています。
ただ、このように翼端まで達するフルスパンのフラッペロンをベロンと下げると主翼の迎え角が大きくなり、その事で翼端失速が心配されます。
そうならないようにという事で、レインジャー137では写真のようにフラッペロンを翼端に行くにしたがって細くする事でフラッペロンを下げた時にネジリ下げと同じ効果を得て、翼端失速を遅らせる対策の一つとしています。

なかなか奥が深い設計ですよ。

こちらは主翼の裏側です。
赤い前縁スラットが見えますが、上面と違って翼面にはほとんどかぶさっていない点に注目して下さい。

翼の付け根部分の断面を見たところです。後縁のフラッペロンは付いていませんが、翼型は半対称であることが判ります。
前縁部の切り欠きは胴体のフロントウインドウ部分がはまるところです。
でも、この写真では後縁にフラッペロンがついていませんので、翼型が今一つはっきりと判りませんよね。

そこでレインジャー137の組立説明書の図をお借りして掲載させていただきました。(オレンジと紫のラインは、説明のためにこちらで書き加えたものです)

ここで面白い、というか注目していただきたいのがフラッペロンのニュートラル位置です。
図のように、「主翼上面で直線になる」位置がニュートラル位置だそうです。
という事は翼下面がかなり下に湾曲した、アンダーカンバーのついた翼型になり揚力重視という事が読み取れます。

レインジャー137は、このような翼型を持った主翼に前縁スラットとフルスパンのフラッペロンという高揚力装置を組み合わせて短距離離着陸、STOLを楽める機体になっているのですが、次回は最大の特徴でもある、前縁スラットに絞ってもう少し詳しくご覧いただく事にします。

なお、ご紹介していますレンジャー137、当店では初回入荷分が即日完売となり、現在品切れ状態が続いております。製造元のOK模型に問い合わせましたところ、次回予定は10月末とのことでした。
皆様には大変ご迷惑をお掛け致しますが、今しばらく当店の「入荷・再入荷情報」をチェックしてお待ちくださいますよう、お願いいたします。


レインジャー137 箱開け(1)

大きなタイヤと強力な高揚力装置を装備し、未開地や荒れ地での短距離離着陸を得意とする「ブッシュプレーン」。
その飛びとスタイルを再現したいとの思いで模型化された機体が「PILOT レインジャー137」です。
今回から2回に分けて、これまでの機体とはちょっと色合いの違ったレインジャー137のキットを覗いてみる事にします。

まず、キットの内容はこのようになっています。

OK模型製ARF完成機の標準ともいえる構成で、フィルム貼り完成胴体、主翼、尾翼のメインパーツに、プラスチックカウル、ジュラルミン製メインギア、軽量スポンジタイヤ、エンジンマウント、グロー用燃料タンク、スピンナー、リンケージパーツ、透明ウインドウ、ステッカー、そして日本語組立説明書が入っています。

ちなみにこの製品はOK模型の国内工場で作られたものだそうです。

(お断り)上の写真はこのブログへの掲載用に主要パーツを並べたもので、リンケージパーツをはじめとする小物パーツやステッカー、組立説明書などは写っていません。

さて、第一回目は胴体周りのご紹介です。
ご覧の様に、フィルム貼完成胴体のほか、カウリング、スピンナー、透明プラスチックのサイドウインドウで構成されています。

胴体の一番前にセットするカウリングはプラスチック製で、実物のブッシュプレーンに多い水平対向エンジンを搭載した機体をイメージした、横に扁平なデザインです。
仮に組み合わせて見るとこんな感じで、何となくスケール機っぽい雰囲気があふれいています。

胴体キャビンのウィンドウは前面、側面共にスケール感の漂うクリアパーツです。
フロントウィンドウは胴体ハッチと一体構造で、写真のように取り外すことが出来ます。電動にした場合のバッテリーの搭載、取り出しはここから行います。
セットにはここまで出来上がった形で入っています。
なお、キャビンのサイドウィンドウは成型されたクリアパーツを切り取って胴体の内側から窓の部分にはめ込んで接着します。

胴体の中を見てみましょう。
サーボや電動にした場合のリポバッテリーなどを積み込むメカルームは広々と余裕があります。

こちらはブッシュプレーンのスタイルを特徴づけている、機体の大きさからするとアンバランスともいえる大きなタイヤです。
キットに入っているのは、前回のブログでご紹介させて頂きました「PILOT軽量タイヤ89mm」です。
主脚は丈夫なジュラルミン製が採用されています

次回は、ARF完成機には珍しい、主翼前縁スラット付の主翼を中心にご覧いただきます。

 


PILOT 軽量タイヤ 89mm

今回ご紹介しますのは、PILOTレインジャーにも使われている「PILOT 軽量タイヤ89mm」です。


スポンジタイヤと言えば、いかにもスポンジですというような外観?でタイヤのミゾの表現もしていないのっぺりとした外観のものが多いのですが、このタイヤは一見ゴム製タイヤの様な、タイヤらしい外観ですね。

大きさを感じて頂けるように手で持ってみました。
直径89mmということで、ほぼ手のひらくらいの大きさです。

でもこのタイヤの最大のウリは、そのネーミングからもわかりますように「軽量」なんですよ。

確かに手に持ってみると、大きさから予想する重さに反して、エッと思うぐらい軽いです。
で、早速計量しましたところ、20.45gと出ました
20.45gが軽いのかどうか、当店で販売している他のスポンジタイヤと比較してみる事にしてみました。

右に並べて見たのが「PILOTスポンジタイヤ90mm」です。
直径が1mm大きいですが比較対象としては丁度良いと言えるのではないでしょうか。
で、このPILOTスポンジタイヤ90mmの重量は、と言いますと・・・・・

31.55gと出ました
おおまかに「軽量タイヤ89mm」の20gに対し「スポンジタイヤ90mm」は30gとなり、「軽量タイヤ89mm」は「スポンジタイヤ90mm」の2/3の重さしかないという事になります。

ちなみに、ちょっとカテゴリーといいますか用途が違うサリバンの「スカイライトタイヤ3.5インチ(89mm)」の重量はカタログ値63gになっています。
これに比べると今回の比較で重いということになった(された?)「スポンジタイヤ90mm」の30gは、半分以下という事で十分軽いのですがね。

で、結果をまとめるとこうなります。(重量は1個当たり)
PILOT軽量タイヤ89mm 20g<PILOTスポンジタイヤ90mm 31g<SULLIBANスカイライトタイヤ89mm 63g

タイヤの選択には、タイヤの重量だけではなく、機体の重量やスタイルとのバランス、それに皆さんの好みによるところが大きいので一概にどちらが良いかは言えませんが、PILOT レインジャーのように機体のサイズに比べて大きいタイヤが特徴のブッシュプレーンにはこのように軽いタイヤが最適だと思います。